第2964回 リール、チェルシーとの第1戦を落とす
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■グループリーグの後半戦で3連勝し、首位突破したリール
チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出したパリサンジェルマンの戦いについて前々回と前回の本連載で紹介したが、今回はもう1つのフランス勢のリールを紹介しよう。リールはこれまでの欧州の戦いでは全く振るわず、UEFAインデックスはグループリーグに参戦した32チームの中で最低レベルだった。しかし、昨季のフランスリーグのチャンピオンということで第1シードに組み込まれた。身分不相応な第1シードであり、同じグループGのヴォルフスブルク(ドイツ)、セビリア(スペイン)、レッドブル・ザルツブルク(オーストリア)は内心喜んだであろう。その通り、リールの前半戦は2分1敗と勝ちがなく、得点もわずか1点だけで折り返した。ところが、後半戦は3連勝でグループを首位で通過した。
■決勝トーナメントの相手は昨季覇者のチェルシー
首位通過したリールは決勝トーナメントの1回戦でグループリーグを2位で通過したチームと対戦する。リールが対戦する可能性があったのはアトレチコ・マドリッド、ビジャレアル(スペイン)、スポルティング・リスボン、ベンフィカ(以上ポルトガル)、インテル・ミラノ(イタリア)、チェルシー(イングランド)の6チームである。奇遇なことにベンフィカ以外はすべて第1シードである。つまり、昨季のタイトル(各国のリーグ、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ)で第1シードとなったチームが必ずしも過去の欧州の舞台で成績を残しているわけはないというリールのようなチームが多かったことを意味している。とは言ってもアトレチコ・マドリッドはUEFAランキングだけならば第1シードに入っており、チェルシーも第2シードの上位の力を持っている。この両チームとの対戦は避けたいところであったが、リールの相手はチェルシーとなった。
■クラブワールドカップも制したチェルシー、もたついているリール
チェルシーはグループHではユベントス(イタリア)に次ぐ2位であったが、ユベントスとの直接対決は1勝1敗、得失点差では優っている。昨季のチャンピオンズリーグの優勝チームとして出場したクラブワールドカップでは優勝を果たした世界一のチームである。プレミアリーグでもマンチェスター・シティ、リバプールに次ぐ3位につけている。今年になってからはリーグ戦だけではなく、FAカップ、リーグカップ、クラブワールドカップと過密な日程で戦っているが、負けたのはリーグ戦のアウエーのマンチェスター・シティ戦のみ、8勝2分1敗という成績でリール戦を迎える。
一方のリールは国内リーグ戦もチャンピオンズリーグ同様、11月から勝ち点を伸ばしてきた。また1部で唯一アフリカ選手権に選手を派遣していないチームである。しかし、フランスカップでもベスト16決定戦でRCランスにPK負けし、このアフリカ選手権中に2敗しており、順位は11位にとどまっている。
リールはチャンピオンズリーグでこれまでにイングランド勢と4回(8試合)対戦しており、そのうち3回(6試合)はマンチェスター・ユナイテッドが相手であったが、チェルシーとも2季前のグループリーグで対戦している。この時は2試合ともチェルシーが勝利している。
■アウエーで積極的に攻めるが、2点を奪われたリール
スタンフォードブリッジでの試合、チェルシーは8分にカイ・ハバーツがハキム・ツィエクのCKにヘディングで合わせて先制する。しかし、ベストメンバーのリールは試合を優位に進め、積極的に攻める。ホームのチェルシーはボール支配率ではほぼ互角であったが、リールは積極的にシュートを放つ。
後半に入ると、チェルシーは引き気味となる。今季のチャンピオンズリーグのホームゲームではまだ1失点という堅守をリールは崩せない。チェルシーは63分に右サイドでルーベン・ロフタス・チーフがボールを奪い、エンゴロ・カンテが長い距離をドリブルで駆け上がる。ゴールが近づいたところで、カンテは左サイドにクロスをあげる。これをクリスチャン・プリシッチが冷静にループシュートで決めて追加点となった。
その後もリールは攻撃をし続けるが、0-2で敗れ、ホームでの第2戦に望みを託したのである。(この項、終わり)