第2997回 リヨン、ウェストハムに準々決勝で敗れる(2) フランス人選手が所属するウェストハム
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■ウェストハムの本拠地となったロンドンスタジアム
ヨーロッパリーグ準々決勝でリヨンはイングランドのウェストハムと対戦するが、第1戦はアウエー、ロンドンスタジアムで行われる。ロンドンスタジアムは2012年のロンドンオリンピック、パラリンピックのメイン競技場であり、その再利用についてはオリンピック前年の2011年に決定された。ウェストハムだけではなくトットナム・ホットスパーも名乗りをあげたが、陸上トラック部分を取り除いてサッカー専用競技場とするトットナム・ホットスパー案に対し、ウェストハムの提案はオリンピック時の姿を残し陸上など多目的利用を可能とする低予算のものであり、満場一致でウェストハムの提案が採択された。
このロンドンスタジアムにウェストハムが移ったのは2016年のことであり、フランスのチームはここで試合をしたことがない。リヨンはフランスのサッカーチームとして初めてロンドンスタジアムで試合を行うことになる。ただし、2015年のラグビーのワールドカップではフランスはルーマニアとこの競技場で試合をしている。
■フランス代表のアルフォンス・アレオラ、クルト・ズーマが所属するウェストハム
そのウェストハムは他のロンドンのクラブとは異なり、財政規模は大きくないが、多くの外国人選手から構成されている。その中にはGKのアルフォンス・アレオラ、DFのクルト・ズーマ、イッサ・ディオップというフランス人の選手もいる。アレオラはフランス代表であるが、所属するパリサンジェルマンがコスタリカ代表のケイロル・ナバスに加え、欧州選手権優勝のイタリア代表からジャンルイジ・ドンナルンマを獲得したことから、出場の機会がほぼなくなったことからレンタル移籍された。またズーマも今季エバートンから移籍してきた。ディオップはフランスの年代別代表の常連であり、2016年には19歳以下の欧州選手権で優勝した。フル代表の経験はないが、セネガル人の父親とモロッコ人の母親の間でフランスで生まれており、今後いずれかの国の代表となる可能性がある。そしてアンダーエイジでのフランス代表から他国の代表となったのがアルトゥール・マスアクである。現在はコンゴ民主共和国の代表メンバーである。
■リヨンからウェストハムに移籍したサマシ・アブ
ビッグクラブではないウェストハムは過去にもディミトリ・パイエというフランス代表の選手が在籍しているが、リヨンとウェストハムに所属した唯一の選手がサマシ・アブである。1990年代に活躍したアブはコートジボワール生まれであるが、13歳の時にマルティーグの下部組織に入るため単身フランスにわたる。その後、リヨンの下部組織に移り、1992年にリヨンとプロ契約、フランスの年代別代表に選出される。この時にアブの才能を発見したのが後のフランス代表監督となるレイモン・ドメネクである。1997年にはウェストハムに移籍している。ウェストハムではアブのプレーは衝撃を与えた。現在はコートジボワールに戻り、アビジャンで若手育成に携わっている。
■ロンドンスタジアムでプレーしたことのあるタンギ・エンドンベレ
第1戦をロンドンで戦うリヨンであるが、リーグ戦の順位は9位と中位のままである。しかし、ヨーロッパリーグではここまでアウエーゲームでは4戦全勝である。もちろんリーグ戦で順位を上げて来季のヨーロッパリーグへの出場権をつかみたいが、ヨーロッパリーグで優勝してチャンピオンズリーグの出場を狙っている。
リヨンにはこのロンドンスタジアムで今季、試合をした経験のある選手が1人だけいる。それがタンギ・エンドンベレである。もともとリヨンに所属していたエンドンベレはイングランドのトットナム・ホットスパーに移籍し、昨年10月にはリーグ戦のアウエーゲームでウェストハムとの試合に出場している。エンドンベレは今年1月末にリヨンにレンタル移籍という形で復帰してきた。トットナム・ホットスパーは同じくリヨン出身でフランス代表であるウーゴ・ロリスがチームメイトであったが、なかなかレギュラーとして定着できず、古巣への復帰となったわけである。ウェストハム戦は0-1と敗れており、半年ぶりの試合に闘志を燃やしているのである。(続く)