第3065回 チャンピオンズリーグ開幕 (5) パリサンジェルマン、ユベントス相手に9試合目で初勝利

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■フランスとイタリアの国内リーグを制し続けるも、欧州では対戦のない両チーム

 1980年代の半ばから1990年代の半ばにかけてパリサンジェルマンはユベントス(イタリア)と欧州の大会で4回顔を合わせ、8試合戦った。結局、最初の対戦で2引き分けし、アウエーゴール2倍ルールで敗退したのがベストの成績で、4回ともユベントス相手に敗退している。
 最後の対戦となった1997年初めの欧州スーパーカップから25年の時が過ぎた。その後、パリサンジェルマンは低迷期もあったが、カタール資本が入った2010年代からはチャンピオンズリーグには皆勤出場、そして上位に進出している。一方のユベントスもACミランなどの力が落ちたこともあり、リーグを制覇し続けている。フランスとイタリアにおける一強チームでありながら、不思議なことに両チームはチャンピオンズリーグなどの欧州カップでは対戦がなく、今季のチャンピオンズリーグの初戦が四半世紀ぶりの対戦となった。

■パリサンジェルマン出身の多いユベントス

 ワールドカップが秋に開催されるため、チャンピオンズリーグの開幕時点で両チームともリーグ戦での戦いを重ねており、パリサンジェルマンは5勝1分で首位、なんといってお6試合で24得点な爆発的な得点力が目を引く。一方のユベントス、2勝3分で7位と若干出遅れている。パリサンジェルマンから移籍したアンヘル・ディマリアやフランス代表のポール・ポグバなどは負傷で欠場している。先発メンバーにはパリサンジェルマンに所属していたアドリアン・ラビオ、レアンドロ・パレデスが名を連ね、モイズ・キーンはベンチスタートとなる。昨季までマルセイユに所属していたポーランド代表のアルカディウシュ・ミリクはセルビア代表のドュサン・ブラホビッチと東欧コンビの2トップを組む。

■シーズン開幕前からシステムを確立したパリサンジェルマン

 一方のパリサンジェルマンは、GKはジャンルイジ・ドンナルンマ、DFは3バック、右からセルヒオ・ラモス、中央にマルキーニョス、左にプレスネル・キンペンベ、MFは右からアクラフ・ハキミ、ビティーニャ、マルコ・ベラッティ、ヌーノ・メンデス、FWは中央にキリアン・ムバッペ、右にリオネル・メッシ、左にネイマールという布陣である。クリストフ・ガルティエ監督が就任以来、3バック、MFは4人、攻撃陣はMNMを起用という方針は揺るぐことなく、一貫しており、相手がユベントスとあっても変更することはない。

■抜群の決定力を誇るキリアン・ムバッペの2ゴールで歴史的勝利

 4万8000人近い大観衆の見る中で、パリサンジェルマンはキックオフ直後から積極的に攻めた。両翼のハキミとヌーノ・メンデスが左右から攻めあがる。そして先制点は5分、左サイドからムバッペが攻めあがり、ネイマールとパス交換し、最後はムバッペがボレーでネットを揺らす。ムバッペは1998年生まれ、すなわちユベントスに勝てなかったパリサンジェルマンを知らない世代である。この先制点で波に乗ったパリサンジェルマンは一方的に試合を支配する。
 試合開始から攻撃のチャンスが全くなかったユベントスであるが、19分にようやくパリサンジェルマンのゴール前に迫るが、イタリア代表GKのドンナルンマの好セーブにあう。
 そして追加点をあげたのはやはりムバッペであった。今度は右サイドからベラッティとハキミがパス交換し、ハキミがクロスをあげる。これをムバッペが右足でボレーシュート、パリサンジェルマンが序盤に2点をリードし、ハーフタイムを迎えた。圧倒的に試合を支配していたパリサンジェルマンであるが、シュートは少なく、前半は双方4本ずつであった。しかし、パリサンジェルマンは2本の枠内シュートがそのまま得点に結びつき、ムバッペの決定力たるや恐ろしいものがある。
 後半も序盤にムバッペがハットトリック達成か、というシーンがあったが、シュートは枠から外れる。53分にユベントスは1点を返した。パレデスがショートコーナー、フィリップ・コスティッチがファーサイドにクロスをあげ、これをドンナルンマが触ることができず、米国代表のウェストン・マッキニーがヘディングでゴールを決める。後半は両チームが積極的にシュートを放つ展開となったが、これが唯一の後半の得点となり、パリサンジェルマンが9試合目にして初勝利をあげたのである。(続く)

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