第3093回 グループリーグ終盤戦の欧州カップ(6) ニース、フランス勢唯一の首位突破
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■2位通過が多いフランス勢の中で首位突破を果たしたニース
ここまで本連載ではチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに参戦したフランス勢5チームについて紹介してきた。グループリーグで敗退したのはチャンピオンズリーグのマルセイユだけであるが、それ以外のパリサンジェルマン(チャンピオンズリーグ)、レンヌ、モナコ、ナント(以上ヨーロッパリーグ)の4チームは2位通過であった。フランス勢で唯一グループリーグを首位通過したのが今回紹介するヨーロッパカンファレンスリーグに出場したニースである。
ニースは昨季リーグ5位、ヨーロッパカンファレンスリーグのプレーオフでマッカビ・テルアビブ(イスラエル)を延長戦の末に下したことは本連載第3056回から第3058回にかけて紹介した通りである。
■序盤戦で上位シード相手に2引き分け、中盤戦は1勝1敗のニース
ニースは第3シードとしてグループDに入る。第1シードのパルチザン・ベオグラード(セルビア)、第2シードのケルン(ドイツ)、第4シードのスロバーツコ(チェコ)がライバルである。
9月8日の第1節はホームにケルンを迎える。ニースはこの時点でリーグ16位、ファンの不満もたまっている。試合前のファンのトラブルにより、ケルンのファンが負傷し、試合開催が危ぶまれたが、1時間遅らせてキックオフされた。波乱の開幕となったが、先制点を奪ったのはアウエーのケルンであった。19分のステファン・ティッゲスのシュート、ニースのGKマルシン・ブルカが動くことができなかった。ケルン優位の試合であったが、ニースは60分にガエタン・ラボルドがシュート、これをケルンのティモ・ヒュバースが手で止める。ニースはPKをアンディ・ドロールが決めて、劣勢の試合ながら勝ち点1を獲得した。
第2戦はアウエーでのパルチザン・ベオグラード戦、最もタフな試合である。この試合、ニースは立ち上がりの2分にジョー・ブライアンが先制点を奪う。ニースは守りに入ることなく攻め続ける。後半に入って60分、パルチザン・ベオグラードに得点を許し、追い付かれたが、ニースは攻め続けるも勝ち越し点を奪うことができず、2戦連続のドローとなった。
ケルンが1勝1分、ニースとパルチザン・ベオグラードが2分、スロバーツコが1分1敗で中盤戦を迎える。
ニースは最下位のスロバーツコ相手に中盤戦で連勝したいところである。その思惑通り、10月6日のアウエーでの対戦でニースは54分にあげたニコラ・ペペの1点をブルカを中心とする守備陣が持ちこたえ、初勝利をアウエーの地であげる。この勢いでニースでも連勝と選手もファンも意気込む。ところが第1戦のファンの騒ぎにより、ニースのアリアンツ・リビエラ競技場の試合は無観客となった。ニースは14分にソフィアン・ディオップが先制点を決める。しかし74分に追いつかれてしまい、さらに84分にニースのジャン・クレール・トディボがレッドカードで退場、残り時間を10人で戦うことになる。そして86分にスロバーツコに逆転ゴールを奪われ、中盤戦は1勝1敗となる。
■首位のパルチザン・ベオグラードをホームで破り、最終節へ
中盤戦で抜け出したのがパルチザン・ベオグラードでケルンに連勝した。勝ち点を8に伸ばした首位チームを今度はファンの待つホームに迎える。ニースは29分にペペが先制点をあげる。ファンの声援を受けてニースは攻め続けるが、パルチザン・ベオグラードは74分にリカルド・ゴメスのゴールで追いつく。しかし、77分にニースはマリオ・ルミナの決勝ゴールで勝利、ニースはパルチザン・ベオグラードと並んで勝ち点8で最終節を迎えることになった。
■最終節はケルンと引き分け、直接対決の結果でパルチザン・ベオグラードを上回る
両チームは勝ち点で並ぶが、直接対決ではニースが優位である。11月3日の最終節、ニースはアウエーでケルン、パルチザン・ベオグラードはホームでスロバーツコと対戦した。ニースは前半の終了間際にラボルドとビラル・ブラヒミが立て続けに2点を奪う。勝利すれば首位の可能性もあるケルンは後半に入って2点をあげ、追い付かれてしまう。試合はこのまま2-2のドローとなったが、パルチザン・ベオグラードもドローとなり、勝ち点9で並び、直接対決の結果、ニースが首位通過となったのである。(この項、終わり)