第3166回 パリサンジェルマン、今年も1回戦で敗退 (3) 終盤にも追加点を奪われ、バイエルン・ミュンヘンに連敗
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■負傷を押して出場した主将のマルキーニョスが前半に負傷退場
前半のビッグチャンスを逃し、後半はやや気落ちしてしまった感じのあるパリサンジェルマン、チャンスを逃し、先制点を奪われたパリサンジェルマン、61分に先制点を奪われたが、バイエルン・ミュンヘンのハイプレスからボールを奪われたことが原因で、まさにマタイス・デリフトにクリアされた幻の先制ゴールと同じパターンであった。
この失点には伏線がある。負傷を押して出場したマルキーニョスが前半の36分に負傷交代する。主将としての責任感から出場したが、残念な形でピッチを去ることになった。マルキーニョスに代わって出場したのがノルディ・ムキエレであり、3バックは配置を交代した。しかし、ムキエレは後半開始時に17歳のエル・シャダイル・ビチャイルと交代する。パリサンジェルマンのチャンピオンズリーグの戦いにおいて、途中で交代出場してきた選手が交代するというのは2012-13シーズンのエセキエル・ラベッシ以来10シーズンぶりのことである。このような守備陣の変更がバイエルン・ミュンヘンのハイプレスからの失点につながった。
■セルヒオ・ラモスのヘディングを片手で防いだヤン・ゾマー
バイエルン・ミュンヘンに得点を奪われたことで、2試合通算得点で上回るために、パリサンジェルマンは残りの約30分で2得点が必要となる。守備陣で気を吐いたのがセルヒオ・ラモスである。先制点を奪われた3分後の64分、パリサンジェルマンは右サイドからCKのチャンス、リオネル・メッシのCKをヘディングで見事に合わせたのがセルヒオ・ラモスであった。しかし、ゾマーが左手だけで見事にクリア、ビッグセーブの前に同点のチャンスを逃す。前半のデリフト、後半のゾマーと守備でのビッグプレーでパリサンジェルマンは気落ちする。
2点が必要なパリサンジェルマンは人数をかけて攻めるが、その分スピードが落ち、バイエルン・ミュンヘンの守備を崩すことができない。特に、マルキーニョスからキャプテンマークを受け継いだキリアン・ムバッペも第1戦で見せたスピードのある突進力は影を潜めた。
■交代選手が活躍し、終了間際に追加点をあげたバイエルン・ミュンヘン
2点の必要なパリサンジェルマン、逃げ切りを図るバイエルン・ミュンヘン、終盤に両チームは選手交代を仕掛ける。この選手交代でバイエルン・ミュンヘンの監督の采配が的中した。バイエルン・ミュンヘンの準々決勝進出が濃厚となった88分、パリサンジェルマンがバイエルン・ミュンヘン陣内深くに攻め込んでいたが、パリサンジェルマンで交代して入っていたウォーレン・ザイール・エメリがジョシュア・キミッヒにボールを奪われ、キミッヒからゴールライン前でボールを受けたジョアン・カンセロが右サイドをそのままボールを持って駆け上がり、左サイドのセルジ・ニャブリにパス。ニャブリはファーストタッチでシュート、追加点をあげたカンセロもニャブリもその直前に交代出場した選手がダメ押しゴールを決めた。
■パリサンジェルマン出身の選手が得点を重ねたバイエルン・ミュンヘン
バイエルン・ミュンヘンがホームの第2戦でも2-0と勝利、2試合合計で3-0と勝利した準々決勝に進出、敗れたパリサンジェルマンは2年連続で決勝トーナメント1回戦で姿を消した。
パリサンジェルマンはバイエルン・ミュンヘンと2020年の決勝から5回戦い、7失点しているが、シュポ・モティンが3得点、キングスレー・コマンが2得点とそのうち5得点はかつてパリサンジェルマンに所属している選手によるものである。
また、このパリサンジェルマンの敗退によってフランス勢で欧州カップで残っているのは最下級のヨーロッパカンファレンスリーグに出場しているニースだけとなった。グループリーグに出場した6チーム中、マルセイユ以外の5チームが決勝トーナメントに進出したフランス勢であったが、ヨーロッパリーグはプレーオフでナント、モナコ、レンヌの3チームすべてが敗退、そしてチャンピオンズリーグではパリサンジェルマンが敗退、フランスリーグのUEFAランキングも5位から陥落する危険性が出てきたのである。(この項、終わり)