第3185回 フランス勢最後の望み、ニース(5) バーゼルとのアウエーの第1戦は引き分ける
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■欧州の経験が豊富なバーゼル
ヨーロッパカンファレンスリーグの準々決勝は4月13日と20日に行われ、ニースと対戦するバーゼルは現在スイスリーグで6位であるが、スイスを代表するクラブである。100年以上の歴史を持ち、低迷した時期もあったが、今世紀に入ってからはコンスタントに欧州カップに出場している。チャンピオンズリーグではこれまで3回、決勝トーナメントに進出したことがある。いずれも決勝トーナメント1回戦で敗れているが、スイスのクラブとして唯一チャンピオンズリーグの決勝を経験したクラブである。チャンピオンズカップ時代には準々決勝に進出したことが1度だけある。ヨーロッパリーグでは2013年に準決勝に進出したのが最高であり、優勝したチェルシー(イングランド)に敗れている。そしてヨーロッパカンファレンスリーグでは昨年の第1回大会に出場、決勝トーナメント1回戦でマルセイユにホーム、アウエーとも1-2で敗れている。欧州での経験の豊富なバーゼルは、ニースに勝利すれば、10年ぶりの欧州カップでの準決勝進出となる。
そしてバーゼルはその熱狂的なサポーターが有名である。テニス選手のロジャー・フェデラーもサッカーファンであるが、バーゼル出身で、バーゼルの有力なファンである。そして過激なサポーター集団がしばしば過度な応援でトラブルを起こしており、このニース戦でも汚点を残してしまう。
■バーゼルで警戒すべき攻撃陣
決勝トーナメントは月に1回(2試合)のペースで行われ、1回戦が終わってから準々決勝まではほぼ1月、この間にニースは2分1敗と勝ち星がなく、順位も9位に後退してしまったが、バーゼルも1勝1分1敗と停滞気味である。3月の下旬はインターナショナルマッチデーで国際試合もあったことからクラブとしての試合は少ないが、両チームともメンバーを入れ替えてバーゼルの本拠地であるザンクト・ヤコブ・パルクでの第1戦に臨む。
バーゼルで警戒すべき選手はFWのアンディ・ゼキリ、コソボをルーツとするスイス代表、今大会でもすでに5ゴールをあげている。ニースはここまで2得点をあげている選手が3人いるが、先発メンバーとなったのはフランス人のガエタン・ラボルドだけで、アルジェリア代表のビラル・ブラヒミはベンチスタート、コートジボワール代表のニコラ・ペペはメンバーから外れている。
■PKでバーゼルが先制、テレム・モッフィの2得点でニースが逆転
23分にバーゼルはダン・エンドイがボールをペナルティエリア内に持ち込み、ニースのジャン・クレール・トディボが倒してしまう。主審はバーゼルにPKを与え、ゼキ・アムドゥニがカスパー・シュマイケルの守るゴールを破って先制点はホームのバーゼルのものとなった。
先制点を奪われたニースはフランス代表にデビューしたケフラン・テュラムがその直後にゴールを狙うが、シュートは枠から外れる。しかし、ニースは38分に追いついた。クロスをゴール前に陣取っていたアーロン・ラムジーがヘディングで落としたところをテレム・モッフィが左足で得点を決めた。次第に試合の主導権を握ってきたニースは前半のアディショナルタイムの46分に、ラボルドからのクロスを左足で決め、2-1と逆転してハーフタイムを迎えた。
■劣勢ながら追いついたバーゼル
前半の終盤から主導権を握ったニースは後半もボール支配率でバーゼルを上回る。しかし、劣勢のバーゼルは66分にミカエル・ラングのクロスにエンドイが合わせ、シュマイケルがCKに逃れた。71分にはバーゼルはアンディ・ぺルマールが遠い位置からゴールを狙う。このロングシュートはニースの選手に当たり、サイドに跳ね返ったが、これをラングが拾ってクロスを上げる。アムドゥニがヘディングでシュート、バーゼルは2-2の同点に追いついた。
追いつかれたニースはラボルドが連続シュートを放つが、決めきれない。後半アディショナルタイムに入っても攻め続けたが、勝ち越し点を決めることはできず、ニースはアウエーの第1戦を2-2のドローで終えたのである。(続く)