第3186回 フランス勢最後の望み、ニース(6) ホームの第2戦でニースが先制
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■フランスで問題を起こしたバーゼルのサポーター
欧州カップでフランス勢最後の望みとなったニース、最も格下とはいえ、ヨーロッパカンファレンスリーグの準々決勝をスイスとのバーゼルと戦う。4月13日のアウエーの第1戦は押し気味に試合を進め、最後に追いつかれたものの、2-2のドローとなり、4月20日のアリアンツ・リビエラ競技場のホームゲームに備える。
さて、前回の本連載でバーゼルには熱狂的なサポーターがおり、しばしば問題を起こしていると紹介したが、欧州カップのフランス勢との試合で前科がある。まずは2016年2月に行われたヨーロッパリーグの決勝トーナメントの1回戦、バーゼルはサンテチエンヌと対戦し、サンテチエンヌでの第1戦はサンテチエンヌが3-2と勝利したが、第2戦ではバーゼルが2-1と勝利、アウエーゴールの差でバーゼルが2回戦に進出した。このサンテチエンヌでの試合の際、バーゼルのファンが大挙し、町中で問題を起こして帰っていった。
そして昨季はヨーロッパカンファレンスリーグの2回戦(ベスト8決定戦)でバーゼルはマルセイユと対戦している。3月10日にマルセイユで行われた第1戦の時も、バーゼルのファンがマルセイユの市街地で暴動を起こしてしまった。試合はマルセイユがホーム、アウエーとも2-1で勝利し、ベスト8入りしているが、マルセイユ市民にとっては歓迎されざる客の代償は大きかった。
■バーゼルのサポーターのニースへの移動を禁止したフランス国務院
このような前科を考慮し、国務院はバーゼルのファンがニースに移動することを禁止した。にもかかわらず、バーゼル側は850人のサポーターがニースに向けて移動を強行、試合前日の19日にはバーゼルとニースのサポーターがイタリア国境にあるマントンで衝突を起こし、7人が負傷するという事件が起こったのである。
また、この試合はオランダ人が主審を務めることが発表され、フランスのファンの間では騒然となった。なえならば、オランダはちょうどUEFAインデックスでフランスに迫っており、オランダ人審判が公平な笛を吹くかという疑念があるからである。
■試合開始から果敢に攻めたニースが先制点
そのような物々しい雰囲気の中で、4月20日21時に第2戦はキックオフされる。この試合の勝者が準決勝で対戦するチームはすでに決定しており、イタリアのフィオレンティーナが待ち受ける。会場のアリアンツ・リビエラ競技場は今年が開業10周年、古豪ニースの過去の栄光は先代のレイ競技場で積み上げられた。新しい競技場にとって、最も輝かしい一夜になる可能性がある。
ニースは第1戦と第2戦の間のリーグ戦はブレストに0-1と敗れ、このところ勝利から遠ざかっている。バーゼルもヤングボーイズと引き分けてニースに乗り込む。
ニースのキックオフで試合は始まり、3万人のニースのファンのみに後押しされたニースは試合の序盤からバーゼルのゴール前に迫り、繰り返しCKのチャンスを得る。6分にはヒチャム・ブダウイのシュートがゴールインするが、テレム・モッフィがオフサイドの位置におり、ノーゴールとなる。
試合開始からニースの時間が続き、9分にはモッフィが高い位置でプレスをかけ、バーゼルの選手からボールを奪う。ニースはケフラン・テュラム、アーロン・ラムジー、そしてガエタン・ラボルドとつなぎ、最後はラボルドが左足でシュート、これがニースの先制点となる。
■VARの末、ペナルティが認められず、追加点をあげることができなかったニース
1点を先制したニースはその後も積極的に攻め上がり、追加点を狙う。リードを許したバーゼルも少ないチャンスは得点力のある前線の選手にボールを供給するが、薄い攻撃で、ニースの守備陣に簡単に抑えられてしまう。
後半に入り、58分、モッフィがペナルティエリア内でアンディ・パルマールに倒される。ニースの選手は審判にペナルティをアピールする。VARとなったが、主審はペナルティではないと判断、試合は再開される。このジャッジがこの試合の行方を左右したのである。(続く)