第3196回 終盤を迎えた欧州カップ (2) ヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグを戦うフランス人選手
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■現在は実質的にフランス人選手のいないマンチェスター・シティとインテル・ミラノ
前回の本連載ではチャンピオンズリーグの準決勝に進出したレアル・マドリッド(スペイン)とACミラン(イタリア)に多数のフランス人選手が所属することを紹介した。
このほかに準決勝に進出したマンチェスター・シティ(イングランド)にはバンジャマン・マンディが所属し、今夏まで契約が残っているが、2021年夏に女性への暴行事件を起こし、現在も裁判が続いており、出場停止となっている。かつてはサミル・ナスリ、ガエル・クリシー、バカリ・サーニャ、古いところでニコラ・アネルカも所属していた。
インテル・ミラノ(イタリア)のトップチームには現在フランス人選手はいないが、過去にはユーリ・ジョルカエフ、ローラン・ブラン、パトリック・ビエイラも所属したことがある。
■アドリアン・ラビオとポール・ポグバを擁するユベントス
それではヨーロッパリーグの準決勝に出場しているチームに目を転じてみよう。ユベントス(イタリア)にはアドリアン・ラビオとポール・ポグバというフランス代表の中盤を支える2人の選手がいる。ラビオはパリサンジェルマンでは契約上のトラブルを起こして、ユベントスに移籍した形となったが、ユベントスでタイトル獲得のチャンスとなった。ポグバは2018年のワールドカップ優勝メンバーであるが、昨年のカタール大会は負傷のため、メンバーから外れている。プロ契約をしてからユベントスとマンチェスター・ユナイテッドを往復しているが、ユベントスでは国際大会のタイトルは獲得していない。
■若手が所属するセビリアとレバークーゼン
セビリア(スペイン)には2人の若いフランス人選手が所属する。20歳のタンギ・クアシはパリサンジェルマン育ちでプロ契約をしたが、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に移籍し、昨夏にセビリアに移籍したDFである。23歳のロイック・バドはレンヌの選手であるがイングランドのノッティンガム・フォレストにレンタルされていたが、ジュール・クンデの移籍の穴を埋めるべく、昨年12月末日にセビリアにレンタルされた。年初から試合に出場していたが、2月に負傷、準決勝には出場できない見込みである。フランス人ではないが、マルセイユから今年初めにセビリアにレンタルされたパプ・ゲイエはフランス生まれのセネガル代表であるが、準決勝ではメンバー入りしないようである。
レバークーゼン(ドイツ)にはムーサ・ディアビとアミン・アドリが所属している。フランス代表として活躍しているディアビもパリサンジェルマン育ちである。パリサンジェルマンでプロ契約、イタリアのクロトーネにレンタルされ、2019年にレバークーゼンに加入してからはウイングとしてアシスト、ゴールを積み重ねてきた。アドリは2部時代のトゥールーズに所属していた。今季1部に復帰したトゥールーズはフランスカップで優勝したが、1年で1部に復帰したのではなく、2部降格1年目は3位となり、ナントのプレーオフに敗れ、1部昇格はならなかった。このタイミングで内外のクラブが逸材アドリの獲得に走り、結局はレバークーゼンに移籍することになった。
ASローマ(イタリア)には現在フランス人選手はいないが、長くこのチームを支えたのがバンサン・カンデラ、1998年のワールドカップ優勝メンバーであり、その当時はASローマに所属していた。2000年代にローラン・ブランの後継者としてフランス代表のストッパーを務めたフィリップ・メクセスもASローマに所属していた期間がキャリアの頂点であったといえるだろう。近年はASローマに所属するフランス人選手がいないのが不思議である。
■ヨーロッパカンファレンスリーグのセミファイナリストたち
ヨーロッパカンファレンスリーグではウェストハム・ユナイテッド(イングランド)にはアルフォンス・アレオラとクルト・ズーマというフランス代表がそろっている。フィオレンティーナ(イタリア)のフランス代表のジョナタン・イコネがリールから移籍している。バーゼル(スイス)にはジャン・ケビン・オーギュスタン、アンディ・ディウフ、アンディ・ぺルマール、ウーゴ・ボーグルと4人のフランス人が所属している。AZアルクマール(オランダ)にはフランス人選手は所属していない。
欧州の頂点を目指して戦うフランス人を紹介してみた。(続く)