第3247回 欧州カップのグループリーグ組み分け決定(3) アウエーの延長戦で得点をあげたリール

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■ヨーロッパカンファレンスリーグのプレーオフに参戦するリール

 フランスから欧州カップに出場する6チームのうち、マルセイユとリールはプレーオフ等を勝ち抜かなければ本戦にあたるグループリーグに勝ち進めないが、前々回と前回の本連載で紹介した通り、マルセイユはチャンピオンズリーグの予備戦3回戦でギリシャのパナシナイコスにPK戦で敗れ、ヨーロッパリーグへ転戦することになった。
 リールはヨーロッパカンファレンスリーグのプレーオフに参戦した。ヨーロッパカンファレンスリーグは他のタイトルと異なり、グループリーグに直接参戦するチームはなく、予備戦、プレーオフを勝ち抜いた22チーム、ヨーロッパリーグのプレーオフで敗れた10チームが本戦を戦う。プレーオフから参戦できるのはUEFAインデックスで上位5つのリーグのみである。

■試合終了間際の得点で第1戦に勝利したリール

 リールの相手はクロアチアのHNKリエカである。リエカと言えばユースの大会が有名で、多くの選手がリエカの地から世界に羽ばたいた。リエカは昨季のクロアチアリーグ4位で予備戦2回戦からの参戦となる。コソボのドゥカジーニ、フェロー諸島のB36トースハウンを下し、プレーオフに進み、3年ぶりの欧州カップのグループリーグ出場を狙う。
 プレーオフの第1戦は8月24日にリールで行われる。この時点でリールはリーグ戦を2試合消化しており、開幕戦は本連載第3233回で紹介した通り、ニースとアウエーで引き分け、第2節はホームでナントを2-0と退けている。リールのピエール・モーロワ競技場には2万人を超える観客が集まった。HNKリエカは2日前に監督のセルゲイ・ヤキロビッチがクラブの首脳陣に断りも入れずディナモ・ザグレブに移籍してしまい、監督不在で大一番を迎える。キックオフ直後からリールは積極的に攻める。激しい試合内容となり、7分にはリールのストッパーのバフォデ・ディアキテが負傷のため、17歳のレニー・ヨロに交代する。リールが押し気味に試合を進めたが、先制点はHNKリエカであった。24分にマルコ・パサリッチが20メートルの位置からシュートを決める。これに対しリールは前半終了間際の43分にエドン・ゼグロバがジョナサン・デビッドからのパスを受けて同点ゴールを決めた。
 後半に入ってもリールは攻め続けるが、なかなか勝ち越し点を奪うことができない。ホームで勝利の欲しいリールは89分にヨロがCKからヘディングシュートで勝ち越し点をあげる。その後のリエカの猛攻をGKのルカ・シュバリエを中心とした守りで勝ち切った。

■第2戦は0-1となり、延長戦に突入

 第1戦と第2戦の間に行われたリーグ戦、リールはアウエーでロリアンに1-4と大敗する。不安を抱えてクロアチア入りしたリールであるが、第1戦のヒーローのヨロを先発で起用する。引き分けでよいリールに対し勝利が必要なHNKリエカは立ち上がりから攻める。前半は両チーム無得点のまま、ハーフタイムを迎える。リールはあと45分守り切れば本戦出場となる。しかし、後半に入っても劣勢のリールは58分にリエカにゴールを許してしまう。これで通算スコアは2-2となり、アウエーゴール2倍ルールのない現行ルールでは延長戦を戦うことになる。69分にリールは、ゼグロバの右サイドからのクロスをエースのダビッドがヘディングでゴールに叩き込む。これでリールが勝ち越しかと思われたが、リールのイバン・カバレイロがオフサイドの位置にいたことからゴールは取り消されてしまう。その後もリールは攻め続け、後半のアディショナルタイムも8分と表示されるが、リールは得点を奪うことができず、試合は0-1で終わる。

■延長後半にゴールを決めたエースのジョナサン・ダビッド

 2試合通算得点が2-2と並んだことから試合は延長戦に入る。延長後半に入った108分、リールはデビッドが得点をあげる。最後はリールは負傷で長らく試合に出場していなかったサミュエル・ウムティティも投入し、1-1、2試合通算得点3-1でヨーロッパカンファレンスリーグの本戦に出場することになったのである。(続く)

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