第3273回 フランス勢の欧州カップ中盤戦(1) ニューカッスルで大敗したパリサンジェルマン

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■中盤戦を迎える欧州カップ

 自国開催のラグビーワールドカップも終了し、欧州選手権予選も突破を決め、フランス国内の代表チームへの熱狂はひとまず収まった。秋も深まり、ラグビーワールドカップの終了とともにサマータイムも終了し、一気に日暮れが早くなった。この時期に終盤戦を迎えるのが欧州カップである。欧州カップについてはフランスから6チームが参戦しているが、第1戦については本連載第3259回から第3261回で紹介した通り、3勝3分という成績であった。今回からは中盤戦までのフランス勢の戦いを紹介しよう。

■21年ぶりにチャンピオンズリーグの本戦に出場するニューカッスル

 フランス勢で最も注目と期待を集めるのがパリサンジェルマンであることに異論はないであろう。第3259回と第3260回で紹介した通り、強豪ひしめくチャンピオンズリーグのグループFでボルシア・ドルトムント(ドイツ)を2-0と下している。
 パリサンジェルマンは第2節でニューカッスル(イングランド)とアウエーで対戦する。日本の皆様であれば、クリス・ワドルを擁し1983年のジャパンカップキリンサッカーで優勝したことをよくご存じであろう。しかし当時のニューカッスルは2部リーグのチームであった。欧州三大カップ出場もほとんどないチームが日本に遠征してビッグタイトルを獲得したのは驚きだった。ところがプレミアリーグの発足前年に2部リーグで優勝してプレミアリーグのメンバーになってからはトップレベルを保ち、2回だけ最下位となって2部相当のチャンピオンシップに降格したが、2回とも優勝して1年でプレミアリーグに返り咲いている。昨季は4位に入りチャンピオンズリーグに出場、11シーズンぶりに欧州カップに出場することになった。チャンピオンズリーグの本戦については2002-03シーズン以来21シーズンぶりのことになる。

■2年前にサウジアラビア資本となったニューカッスル

 ニューカッスルの躍進の原動力となった理由は2年前にサウジアラビア資本になったことである。この2年間の大型補強が欧州への扉を開いた。
 ニューカッスルとの対戦を前にパリサンジェルマンのファンはかつてのパリサンジェルマンの姿を思い起こしたであろう。ニューカッスルがサウジアラビア資本となった10年前の2011年にパリサンジェルマンもカタール資本となり、それからクラブはチャンピオンズリーグの常連となった。
 21年ぶりに欧州最高の舞台に戻ってきたニューカッスルの初戦はアウエーでACミラン(イタリア)とスコアレスドローであった。セントジェームズパークでの試合は2003年3月19日の二次リーグ最終戦のバルセロナ(スペイン)戦以来のことである。この試合で勝利すれば決勝トーナメント進出の可能性もあったが、0-2で敗れている。

■守勢のニューカッスルがゴールラッシュで大勝

 国内リーグ戦ではパリサンジェルマンがマルセイユを4-0、ニューカッスルはシェフィールド・ユナイテッドを8-0と大勝し、両チームは10月4日のセントジェームズパークでの試合に臨む。パリサンジェルマンがボール支配率では上回るものの、ニューカッスルは地元ファンの期待に応えた。先制点を上げたのは劣勢のニューカッスル、17分にアレクサンダー・イサクがシュート、パリサンジェルマンのGKジャンルイジ・ドンナルンマがはじいたところをミゲル・アルミトンが押し込んで先制ゴールとなる。前がかりになったパリサンジェルマンに対し、守備を固めたニューカッスルは少ないチャンスで追加点を奪った。39分、ギマランイスの右足のシュートをドンナルンマが防ぐが、再びギマランイスがゴール前にボールをあげ、ダン・バーンがヘディングでシュート、VARになったが得点が認められる。
 パリサンジェルマンがハーフタイムの時点で2点差をつけられたのは2017年12月のバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)戦以来のことである。
 後半に入っても50分にシーン・ロングスタッフの追加点を許す。56分にルカ・エルナンデスが1点を返したパリサンジェルマンであるが、後半アディショナルタイムにファビアン・シェアにもゴールを奪われ、1-4と敗れ、1勝1敗となったのである。(続く)

このページのTOPへ