第3289回 勝ち残りを決めるフランス勢 (1) 2位以内を確定したマルセイユ

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■好調なヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグのフランス勢

 本連載の第3273回から第3282回にかけてフランス勢の欧州カップの第2節から第4節までを取り上げ、まずまずの成績を残していることを紹介した。
 そして11月下旬に第5節、12月中旬に第6節が行われるが、フランス勢はチャンピオンズリーグでは足踏み状態であったが、ヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグでは続々と決勝トーナメント進出を決めた。
 ヨーロッパリーグ第5節は11月30日に行われた。フランス勢の状況を確認しておくと、グループBのマルセイユ、グループFのレンヌは首位で第5節を迎え、グループEのトゥールーズも2位で残り2試合を迎える。

■マルセイユもアヤックスも国内では不振

 マルセイユの第5節はホームでアヤックス(オランダ)戦である。第5節のもう1試合はマルセイユの試合に先立って行われ、ブライトン(イングランド)がアウエーでAEKアテネ(ギリシャ)を下す。この時点でブライトンは勝ち点を10に伸ばし、勝ち点8のマルセイユを抜いて暫定首位となる。
 今季のアヤックスは不振で、国内リーグでも10戦連続勝ちなしを記録し現在8位、そしてヨーロッパリーグでも最下位に低迷している。ただ、マルセイユも国内リーグでは低迷、10月8日以来勝利から見放され、現在12位である。それだけにファンの期待は欧州での活躍、ベロドロームの6万人の観衆の前で勝利して首位を奪回したいところである。

■マルセイユが先行し、アヤックスが追いつく展開

 9月21日にアムステルダムで行われた試合は3-3という打ち合いになったが、マルセイユの試合もまた得点の奪い合いとなった。キックオフ直後からマルセイユはピエール・エメリク・オーバメヤンが前線で暴れる。6分にはペナルティエリア内に入ったイスマイラ・サールが後ろから押されて、ペナルティを得る。これを9分にオーバメヤンが決めて先制する。しかし、その直後の10分にはアヤックスはブライアン・ブロベイのシュートで追いつく。
 マルセイユはボール支配率で上回り、積極的にシュートを放つ。そして26分にマルセイユはシャンセル・ムバンバがジョナタン・クロースの蹴ったCKにヘディングで合わせて勝ち越しゴールをあげる。2度目のリードも長く続かなかった。30分にはブロベイがジョルダン・ベルトゥをかわしてゴール、アヤックスはまた追いついた。アムステルダムではアヤックスが先行し、マルセイユが追いつくという展開であったが、マルセイユでは逆の展開となった。
 後半の立ち上がり、47分にはオーバメヤンがゴール前でオーバーヘッド気味のアクロバティックなシュートを決めて勝ち越す。さらに63分、アヤックスのステファン・ベルハイスがマルセイユのホアキン・コレアに対して危険なタックル、当初は主審はイエローカードを提示したが、VARの結果、カードの色は黄色から赤に変わる。1点リードしたマルセイユは残り30分近くを1人多く戦うことができる。
 ところが、79分にアヤックスはチューバ・アクポムがクロスをヘディングで合わせて同点ゴールを決める。スコアはアムステルダムの試合と同じ3-3となる。

■決勝点は後半アディショナルタイムのピエール・エメリク・オーバメヤンのPK

 ここから一気にギアをあげたのが追いつかれたマルセイユであった。終盤に次々と選手を交代させ、勝ち越し点を取りに来る。後半のアディショナルタイムが6分とアナウンスされた直後、ベロドロームが揺れた。アヤックスのGKディアント・ラマイがボールをキャッチしようとした際に、サールの顔をたたいてしまう。このプレーがPKとなり、マルセイユのオーバメヤンがペナルティスポットに向かう。オーバメヤンはGKの動きと逆にPKを決め、ハットトリックを達成し、マルセイユが勝ち越した。
 アヤックスはここから選手を投入し、追いつこうとするが、マルセイユが4-3と勝利する。この結果、グループBの首位をマルセイユは奪還、勝ち点11とし、2位のブライトンとともに2位以内を確定した。両チームは首位を争って12月14日にブライトンで直接対決するのである。(続く)

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