第3337回 パリサンジェルマン、決勝トーナメント1回戦を突破 (2) 移籍騒動の中、キリアン・ムバッペの先制ゴールで先勝
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■キリアン・ムバッペの移籍に揺れる国内リーグで独走態勢のパリサンジェルマン
2年連続でチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦で敗れているパリサンジェルマン、今年の相手はスペインのレアル・ソシエダ、近年はスペインリーグで上位の成績を残しているとはいえ、過去2年間のような欧州を代表するようなビッグクラブではない。地元バスクの選手も多いが、アントワン・グリエズマンはこのクラブの育成組織からプロ契約を果たしており、2022年からは日本の久保建英が所属している。今シーズンもリーグでは優勝こそ難しいが、上位につけており、来季の欧州カップ出場を虎視眈々と狙う。
一方のパリサンジェルマンであるが、リーグ戦に関しては本連載第3301回で紹介した通り、リーグ開幕直後は苦戦したが、9月15日に行われた第5節のニース戦で敗れたのが最後でそれ以来は負け知らず、前半戦を首位で折り返した。後半戦に入っても負け知らずで3勝1分、折り返し時点で2位のニースとは勝ち点5の差であったが、勝ち点差を11に広げて、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントを迎える。
順調なように見えるが、昨年来、クラブだけではなく社会を騒がせてきたキリアン・ムバッペの移籍に関わる話がここで再浮上し、今季終了後にレアル・マドリッドへの移籍という情報が流れるようになった。
■スペイン勢を苦手とするパリサンジェルマン、リヨンと対戦歴のあるレアル・ソシエダ
そのような状態でパリサンジェルマンとレアル・ソシエダは初めて欧州カップで対戦することになる。パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントでのスペイン勢とはレアル・マドリッド、バルセロナというビッグクラブとの対戦を重ね、その戦績は悪い。
一方のレアル・ソシエダはチャンピオンズリーグの出場回数そのものが少ないが、決勝トーナメントでフランス勢と戦ったことが1回だけあり、ちょうど20年前の2003-04シーズンの1回戦でリヨンと対戦し、ホーム、アウエーともリヨンに0-1で敗れている。ただ、その10年後、すなわちレアル・ソシエダが前回チャンピオンズリーグに出場した際はプレーオフでリヨンと対戦、今度はホーム、アウエーともレアル・ソシエダが勝利し、グループリーグに進出した(グループリーグでは最下位となり敗退)。
■レアル・ソシエダの守備的布陣を崩せない前半のパリサンジェルマン
2月14日、パルク・デ・プランスには4万6000人を超える観衆が集まり、水色と白の縦縞のレアル・ソシエダを迎える。パリサンジェルマンは渦中のムバッペがCFとして先発、右にウスマン・デンベレ、左にブラッドリー・バルコラと攻撃陣はフランス人で固める。他のフランス人選手が中盤のウォーレン・ザイール・エメリだけである。
レアル・ソシエダはスペイン人選手で固め、日本の久保建英、マリのアマリ・トラオレ、ポルトガルのアンドレ・シウバの3人だけが国外組、EU域内の外国人選手は1人というチャンピオンズリーグの上位進出チームらしからぬメンバー構成である。
ムバッペの移籍騒動に揺れるものの、パリサンジェルマンのファンは与しやすい相手ということで楽観的なムードが広まった。ただし、ルイス・エンリケ監督以下のスタッフは油断することなく、この1戦に臨む。アウエーで第1戦を迎えるレアル・ソシエダが守備的な布陣を敷くことも十分織り込んだうえで、パリサンジェルマンはボールを支配する。しかし、なかなかパリサンジェルマンはシュートに結びつけることができず、レアル・ソシエダの術中にはまったかという印象でハーフタイムを迎えた。
■ムバッペとブラッドリー・バルコラのゴールで先勝したパリサンジェルマン
フラストレーションのたまる中で均衡を破ったのは58分であった。デンベレの右からのCKを主将のマルキーニョスが左サイドにつなぎ、ノーマークのムバッペが至近距離から右足でゴールを決めた。波に乗ったムバッペは64分にも右足のミドルシュート、これはレアル・ソシエダのGKが左手1本で防ぐ。70分には左サイドを駆け上がったバルコラがそのままシュートし追加点をあげる。
パリサンジェルマンはホームで2-0と勝利して第2戦を迎えるのである。(続く)