第3353回 パリサンジェルマン、ホーム第1戦でバルセロナに敗れる(1) 因縁の両チーム
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■唯一グループリーグ2位通過で8強入りしたパリサンジェルマン
4月になり、欧州カップは準々決勝を迎える。フランスからはチャンピオンズリーグのパリサンジェルマン、ヨーロッパリーグのマルセイユ、ヨーロッパカンファレンスリーグのリールが、それぞれ準決勝を目指す。第1戦はチャンピオンズリーグは9日と10日、ヨーロッパリーグとヨーロッパカンファレンスリーグは11日に行われる。
フランス勢として先陣を切るパリサンジェルマンに期待がかかるが、組み合わせ抽選は3月15日に行われた。チャンピオンズリーグでベスト8入りしたチームはグループリーグの組み分けの段階で第1シードが4チーム、第2シードが4チームであったが、グループリーグでは8チーム中7チームが首位突破している。グループリーグで唯一2位にとどまったのがパリサンジェルマンであった。
■準々決勝の相手はバルセロナ
組み合わせ抽選の結果、パリサンジェルマンはバルセロナ(スペイン)と対戦、10日にパルク・デ・プランスで第1戦、16日にカンプノウで第2戦を行うことになった。なお、組み合わせ抽選は準々決勝だけではなく、勝ちあがった準決勝以降も同時に決まり、勝ち抜いた場合はアトレチコ・マドリッド(スペイン)とボルシア・ドルトムント(ドイツ)の勝者と準決勝で戦うことになる。残りの準々決勝はアーセナル(イングランド)-バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、レアル・マドリッド(スペイン)-マンチェスター・シティ(イングランド)となる。
■過去13回対戦、大逆転負けを喫した7年前
いずれも強豪ばかりであるが、パリサンジェルマンが引き当てた相手のバルセロナとは少なからず因縁がある。まずはこれまで欧州カップで13回対戦している。これはバイエルン・ミュンヘンと並んでパリサンジェルマンが最も多く対戦しているチームである。本連載でもしばしば取り上げてきたが、最初の対戦は1994-95シーズンのチャンピオンズリーグの準々決勝、直近の対戦は3季前の2020-21シーズンのチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦である。決勝での対戦が1回だけあり、1996-97シーズンのカップウィナーズカップ、オランダのロッテルダムで行われた試合でパリサンジェルマンは0-1で敗れ、連覇を逃している。
しかし、なんと言っても忘れられないのは7年前の2016-17シーズンのチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦であろう。第1戦をホームで戦ったパリサンジェルマンは4-0と大勝、十分な貯金を持ってバルセロナに乗り込んだが、1-6と敗れ、2試合合計得点で5-6と欧州カップ史上に残る大逆転負けを喫したのである。
■多くの選手、監督がバルセロナからパリサンジェルマンに移籍
この時、バルセロナの指揮を執っていたのが現在のパリサンジェルマンの監督であるルイス・エンリケである。バルセロナでの第2戦で1ゴールをあげたリオネル・メッシ、2ゴールをあげたネイマールはその後パリサンジェルマンに移籍している。メッシ、ネイマールとも昨夏にパリサンジェルマンを去っていったが、そのパリサンジェルマンが攻撃力を保つためにバルセロナから獲得したのがウスマン・デンベレである。
また、パリサンジェルマンはカタール資本となったばかりの時にマクスウェルをバルセロナから獲得している。バルセロナでは精彩を欠いたマクスウェルであったが、パリサンジェルマンに来て活躍したことは記憶に新しい。
一方、オランダからバルセロナに幼少時に移住し、バルセロナの下部組織で育ったシャビ・シモンズは16歳の時にパリサンジェルマンに移籍、3年契約を結んだが、思わしい結果を残すことができず、故国のPSVアイントホーフェンに移籍、現在はドイツのRBライプチヒでプレーし、カタールでのワールドカップにも出場した。
このようにバルセロナからパリサンジェルマンに多くの選手、スタッフが移籍しているがひとえにそれはパリサンジェルマンの資金力のなせる業である。
この資金力のあるチームが、バルセロナとの対戦の前に騒動を起こしたのである。(続く)