第3536回 パリサンジェルマン、アストン・ビラに先勝 (1) チャンピオンズリーグには初出場のアストン・ビラ
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■1982年に欧州王者となったアストン・ビラ
チャンピオンズリーグの準々決勝は第1戦が4月最初の週、第2戦が4月第2週の火曜日と水曜日に行われる。
リーグフェーズの成績を加味して決勝トーナメントの組み合わせ抽選が行われ、パリサンジェルマンの準々決勝の相手はイングランドのアストン・ビラとなった。アストン・ビラは欧州チャンピオンとして1982年のインターコンチネンタルカップで訪日していることから日本のファンの皆様はよくご存じのチームであろう。1980-81シーズンのイングランドチャンピオンとなったアストン・ビラは1981-82シーズンのチャンピオンズカップに出場して優勝、12月に東京で行われたインターコンチネンタルカップではウルグアイのペニャロールに0-2と敗れたが、1982-83のチャンピオンズカップにも前年優勝チームとして出場した。
しかし、その後のアストン・ビラはチャンピオンズリーグと名称を変えた欧州のトップトーナメントにも出場できず、ヨーロッパリーグ、UEFAカップなどの欧州の舞台からは遠ざかっていた。
■アストン・ビラを復活させたウナイ・エメリ
そのアストン・ビラに転機をもたらしたのが、2022-23シーズンの途中に監督を更迭されたスティーブン・ジェラードの後に監督に就任したウナイ・エメリである。本連載の読者の方であればよくご存じのスペイン人監督であり、2016年から2018年まで2年間パリサンジェルマンの監督を務めている。在任中はチャンピオンズリーグでのバルセロナ(スペイン)との大逆転負け、リーグ戦でモナコに優勝を奪われたことが話題になるが、リオネル・メッシ、ネイマール、キリアン・ムバッペというスーパースターが来る前のチームで安定した成績を残している。
2022年10月にアストン・ビラでの初采配はホームでのプレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド戦、この試合で勝利し、27年ぶりの快挙は選手とファンの心をつかんだ。そしてこのシーズンは7位となり、ヨーロッパカンファレンスリーグの出場権を獲得、これはアストン・ビラにとっては13年ぶりの欧州カップ出場となった。
フルシーズンの指揮を執った2023-24シーズン、アストン・ビラはプレミアリーグで4位になり、前身のチャンピオンズカップ以来42年ぶり、チャンピオンズリーグとしては初出場となった。
■リーグフェーズでは8位、決勝トーナメントにストレートイン
今季のチャンピオンズリーグのリーグフェーズの段階で初出場は4チームあったが、アストン・ビラ以外はブレスト、ジローナ(スペイン)、ボローニャ(イタリア)であり、欧州優勝経験もあるアストン・ビラはまさに復活という名がふさわしいのである。
そしてリーグフェーズでは第2節ではホームでバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)を破るなど、開幕3連勝、敗れたのはクラブ・ブルージュ(ベルギー)とモナコという伏兵相手の試合のみ、最終節はセルチック・グラスゴー(スコットランド)を4-2と下し、リーグフェーズを8位で終え、決勝トーナメントストレートインとなったのである。
決勝トーナメント1回戦ではプレーオフを勝ち抜いてきたクラブ・ブルージュと対戦した。リーグフェーズではアウエーで戦い、0-1と敗れているが、アウエーでの第1戦で3-1と勝利し、ホームでの第2戦でも3-0と連勝した。決勝トーナメント1回戦で連勝したのはアストン・ビラ以外はアーセナル(イングランド)、バルセロナ、バイエルン・ミュンヘンだけである。
■監督以外にも縁のある選手が多いアストン・ビラ
アストン・ビラは4月初めの時点でプレミアリーグでは7位、このチームを支えるのはスコットランド人の主将のジョン・マッギン、イングランド代表のマーカス・ラッシュフォード、オリー・ワトキンス、イングランド代表入りしたばかりのモーガン・ロジャーズなどの英国勢に加え、フランス代表経験のあるアクセル・ディザジ、ルカ・ディーニュ、ブバカル・カマラ、そして副将を務めるのはアルゼンチン代表のエミリアーノ・マルティネス、そしてパリサンジェルマンからレンタルされたマルコ・アセンシオなど、パリサンジェルマン、フランスに縁のある選手が名を連ねているのである。(続く)