第3441回 予想外の序盤となったフランス勢(2) 初対決でレアル・マドリッドを下したリール
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■王者らしい戦いでシュツットガルトを下したレアル・マドリッド
チャンピオンズリーグのグループフェーズの第1節でリールはポルトガルのスポルティングとアウエーで対戦、前半に退場者が出たこともあり、0-2と完敗した。ホームに戻ってきて心機一転初勝利を狙いたいところであるが、その相手は昨年度の優勝チームであるレアル・マドリッド(スペイン)である。
レアル・マドリッドは第1節ではドイツのシュツットガルトとサンチャゴ・ベルナベウで対戦、前半は両チーム無得点で折り返したが、後半開始早々にキリアン・ムバッペが先制点をあげる。チャンピオンズリーグで優勝するためにマドリッドにやってきた男の有言実行である。ただ、この日のシュツットガルトはよいパフォーマンスで、68分に追いつく。レアル・マドリッドは勝ち点1どまりか、と思われた終盤にアントニオ・リュディガーが勝ち越しゴール、そして18歳の至宝エンドリッキが終了間際に追加点をあげて3-1、勝利の味を知っているチームらしい試合運びであった。
■両チームのGKの好守が目立った前半
リールはレアル・マドリッドと初めての対戦となる。レアル・マドリッドのムバッペはルカ・モドリッチなどとともにベンチスタート、先発メンバーの攻撃陣はトップにエンドリッキ、右にフェデリコ・バルベルデ、左にビニシウス、トップ下にジュード・ベリンガムという布陣である。一方のリールはカナダ代表のジョナサン・デイビッドとコソボ代表のエドン・ジェグロバの2トップに攻撃を託す。
試合は戦前の予想通り、レアル・マドリッドが鋭い攻めを見せる。6分には左サイドの攻撃からビニシウスがペナルティエリアに持ち込んで右足でシュート、これをリールのGKルカ・シュバリエがセーブして先制を許さない。さらに19分はハーフウエーライン付近でレアル・マドリッドがボールを奪い、そのままエンドリッキが長い距離をドリブルで駆け上がり、ペナルティエリアに右から入り込み、最後は左足でシュート、これもまたシュバリエが防ぐ。これに対して25分にはリールがこのゲームで最初の得点機を迎える。ジェグロバが体勢を崩しながらもクロスを上げ、デイビッドがヘディングュート、これをマドリッドのGKアンドリー・ルニンが跳ね返し、そのこぼれ球をさらにデイビッドが右足でシュートするもレニンがまた防ぐ。
■VARでPKを獲得したリール、ジョナサン・デイビッドが決める
そして問題のシーンは前半終了間際の44分のことであった。リールはペナルティエリアのすぐ外からFKのチャンス。レアル・マドリッドの選手はペナルティエリア内で壁を築く。キッカーはジェグロバ、ジェグロバのクロスはレアル・マドリッドの壁に当たって大きくクリアされ、試合はそのまま続行されたが、リールの選手はレアル・マドリッドのハンドを主張する。主審もゲームを止め、VARの判定を行い、エドゥアール・カマビンガの左手にボールは当たり、リールのPKを認めた。キッカーはデイビッド、25分には2度にわたってセーブされたルニンに対して、冷静にGKの動きとは逆方向の隅にPKを決め、リールが先制する。リールが先制したときにすでに前半アディショナルタイムに入っていたが、レアル・マドリッドは残されたわずかな時間でリールのゴール前までボールをつなぎ、最後はエンドリッキがループシュート、これが外れてハーフタイムとなる。
■終盤の猛攻に耐えたリール、初顔合わせで歴史的な勝利
この1点でリールは勢いづく。後半の最初の得点チャンスはリール、54分に右サイドから攻めあがったジェグロバがシュート、これは枠を外れたが、ファンを沸かせた。
ムバッペ、モドリッチを投入したレアル・マドリッドは試合終盤は攻めたが、リールは猛攻に耐え、1-0と勝利した。ここまでチャンピオンズリーグで14戦連続無敗(10勝4分)のレアル・マドリッドはこの試合で引き分け以上だとクラブの記録に並んだが、それを初顔合わせのリールが阻んだ。歴史をさかのぼれば、1992-93シーズンのUEFAカップ、レアル・マドリッドと初対戦となったパリサンジェルマンもレアル・マドリッドを2試合通算得点で下したのである。(続く)