第3469回 中盤戦のチャンピオンズリーグ(3) バルセロナに敗れ、5戦目で初黒星のブレスト
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■最後のチャンピオンズカップでマルセイユを下したスパルタ・プラハ
前々回と前回の本連載ではモナコを紹介したが、今回はモナコと並んで序盤を2勝1分と負けなしで乗り切ったブレストを紹介しよう。チャンピオンズリーグだけではなく、欧州カップも初出場というブレストが第3節を終えて5位につけていることは驚き以外の何物でもない。
ブレストの第4節はチェコのスパルタ・プラハとのアウエーゲームである。予備戦から勝ち抜いてきたスパルタ・プラハは1勝1分1敗の勝ち点4である。欧州カップではフランス勢に6連敗中であるが、オールドファンであれば忘れられないのが最後のチャンピオンズカップとなった1991-92シーズンのマルセイユとの対戦である。翌年からチャンピオンズリーグとなるが、改革前夜となるこの大会でリーグ戦方式が導入された。この大会では1回戦と2回戦はホームアンドアウエーでノックアウト方式で行われ、勝ち残った8チームが2つのグループに分かれてホームアンドアウエー方式のグループリーグを戦い、それぞれのリーグ首位が1回戦方式の決勝戦(ロンドンのウェンブリー)を戦うというもので現在とは逆の構成であった。
フランスから唯一出場したマルセイユは1回戦はルクセンブルクのウニオン・ルクセンブルクを一蹴したが、2回戦でスパルタ・プラハと対戦、ホームの第1戦では3-2と勝利したが、アウエーの第2戦で1-2と敗れ、今はなきアウエーゴール2倍ルールに阻まれ、グループリーグを戦わずして大会を去った。
■スパルタ・プラハを圧倒し、アウエーで勝利をあげたブレスト
クラブ史上、公式戦では最も遠くへの遠征となったブレスト、会場は1万7000人の観衆で埋まったが、その中の1000人はブレストからの応援、ゴール裏の上層階には白いユニフォーム、下層階には赤いユニフォームで統一してブレストを応援する。この地元ファンに後押しされた白いユニフォームのブレストはアウエーを苦にせず、立ち上がりから攻め続ける。そしてブレストは37分に左CKからの展開でエジミウソン・フェルナンデスが先制点をあげる。今夏にドイツのマインツからレンタルしたスイス代表はブレストに来て初ゴールを記録した。
後半もブレストは試合を支配し、終盤の80分にはルドビック・アジョルクがスパルタ・プラハのGKのパスをインターセプト、ゴール前へのボールを相手のストッパーに当たり、オウンゴールとなってブレストは追加点を記録した。地元のファンの前で一矢報いたいスパルタ・プラハの反撃を後半アディショナルタイムの1点に抑え、ブレストはアウエーで2-1と勝利したのである。
■初のビッグクラブへの挑戦となるバルセロナ戦
ブレストは3勝1分で全体順位を4位まで上げたが、ここまでの対戦相手にビッグクラブはなかった。第5節はスペインのバルセロナとアウエーでの対戦となる。バルエロ名は第1節でアウエーでモナコに1-2と敗れたことを本連載第3437回で紹介したが、それ以降は3連勝、その中にはバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)も含まれている。国内リーグでもレアル・マドリッドを押さえて首位に立っており、本来の力を発揮している。
ブレストが乗り込んだのはカンプノウ競技場ではなく、オリンピック競技場である。カンプノウ競技場が改修中であるため、バルセロナは昨年からホームゲームをここで開催している。会場は46,000人の観衆で満員となったが、そのうち3,000人はブレストから奇跡を期待してやってきた。
■ロベルト・レバンドフスキが通算100ゴール、ブレストに奇跡は起こらず
ところが奇跡は起こらなかった。10分にはロベルト・レバンドフスキへのパスを競り合ったブレストのGKマルコ・ビゾットが後ろから押してしまい、PKとなる。レバンドフスキ自身がいつもの動作でPKを右隅に決める。レバンドフスキはリオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウドに次いでチャンピオンズリーグ通算100ゴールを記録する。
後半に入って61分にブレストはゴールライン上でシャルドネが決定的なピンチを防ぐが、66分にバルセロナはダニ・オルモが追加点を決める。さらに後半アディショナルタイムにはレバンドフスキがゴールを決める。ブレストは5戦目にしてチャンピオンズリーグで初黒星、しかし全体順位は9位と大健闘しているのである。(続く)