第3474回 明暗が分かれたヨーロッパリーグのフランス勢(1) 下位から脱出できないニース

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■勝ち点2にとどまるトウエンテを迎えたニース

 前回までの本連載ではチャンピオンズリーグのフランス勢を紹介し、モナコ、ブレスト、リールが好調である一方、最有力のパリサンジェルマンが苦戦していることをお伝えした。
 今回からはフランス勢が2チーム出場しているヨーロッパリーグの中盤戦以降の模様を紹介しよう。第3453回と第3454回の本連載で両チームの第3節までの戦いを紹介し、リヨンは10位と上位につけているが、ニースは32位と苦しい展開である。
 ニースの第4節は、11月7日18時45分キックオフの試合でホームのアリアンツ・リビエラ競技場にオランダのトウエンテを迎える。トウエンテは昨季のオランダリーグで3位に入り、チャンピオンズリーグの予備戦に参戦する。ここでオーストリアのレッドブル・ザルツブルクに敗れ、ヨーロッパリーグのリーグフェーズに転戦してきた。第1節ではイングランドのマンチェスター・ユナイテッドとアウエーで引き分けたが、第2節ではホームでトルコのフェネルバフチェと引き分け、第3節はホームでイタリアのラツィオ・ローマに敗れ、勝ち点2で28位にとどまっている。

■立ち上がりに先制点、後半に追加点を許したニース

 両チームとも国内リーグでは上位をキープし、週末のリーグ戦とはメンバーを大きく変えてこの1戦に臨む。ここまで1分2敗のニースも調子の上がらない相手をホームに迎えて勝利したいところである。ところが、プレスをかけてニースを押し込んだトウエンテは8分にダーン・ロッツがクロスボールをハーフボレーで合わせて先制点、ニースは出ばなをくじかれる。ニースは次第に盛り返し、前半終了間際にようやくトウエンテのゴール前に迫るが、追いつけないままに前半を終える。
 両チームとも後半開始時に選手交代、後半に入ってもトウエンテが優勢に試合を進める。トウエンテは60分にはサム・ラマースがドリブルで持ち込んで追加点をあげる。
 2点を追うニースは65分に3人を選手交代、その直後の66分にニースはクロスからソフィアン・ディオップがつなぎ、最後はジェレミー・ボガのシュートが決まり、1点差に詰め寄る。

■退場者を出しながらも追いついたニース

 ところがこのゴールをアシストしたディオップは70分に危険なタックルを犯し、レッドカード、VARでの確認を行っても判定は覆らず、追い上げムードのニースには厳しい時間となる。しかし、1人少ないニースは終盤に攻勢をかける。いくつかチャンスをつかんだ後、88分にジョナタン・クロースからのクロスをモハメドアリ・ショーが決める。イングランド育ちでイングランドとフランスのアンダーエイジの経験のある20歳のゴールでニースはなんとか勝ち点1を獲得したのである。

■68年ぶりの対決となるニースとグラスゴー・レンジャーズ

 ニースは続く第5戦もホームでの戦いとなる。11月28日にアリアンツ・アリーナを訪れたのはスコットランドのグラスゴー・レンジャーズ、実にニースとは68年ぶりの対戦となる。ニースが当時のチャンピオンズカップに初出場した際の初戦で顔合わせした。ホーム、アウエーともホームチームが2-1で勝利し、当時はPK戦が存在しなかったため、プレーオフを行い、ニースが勝利している。グラスゴー・レンジャーズはスコットランドリーグでは日本人選手の活躍にけん引されたセルチック・グラスゴーに大きく差をつけられて3位にとどまっている。しかし、ヨーロッパの舞台では好調でここまで2勝1分1敗で勝ち点7で10位、トップ8をうかがう勢いであり、マンチェスター・ユナイテッド、トットナム・ホットスパーズというイングランド勢に迫りたいところである。
 国内リーグでは過去8試合負けなしで順位を5位まで上げてきたニース、68年ぶりの戦いでまた勝利をあげれば、下位から脱出するチャンスであったが、厳しい結果となったのである。(続く)

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