第3480回 好成績で越年するフランス勢(3) リールもプレーオフ出場以上を確定

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■勝利すればプレーオフ出場以上を確保できるリール

 前回の本連載で紹介したようにブレストはチャンピオンズリーグのリーグフェーズの年内最終戦でオランダのPSVアイントホーフェンを1-0と破った。フランスのチームがオランダのチームを破ったことはUEFAインデックス争いでも大きな意味を持つ。
 さて、3回目の今回はリールを紹介しよう。勝ち点10で第6節を迎えた3チームの中で、得失点差などによる順位は最も低いが、欧州での近年の実績は一番あり、唯一第3シードになっている。第6節の相手はオーストリアのシュトゥルム・グラーツである。昨季のオーストリアのリーグチャンピオンであるが、第4シードで全体では35番目と低い位置にある。本連載第3437回で紹介した通り、第1節ではブレストと対戦、ブレストに記念すべき欧州カップ初勝利をプレゼントしている。シュトゥルム・グラーツは開幕から4連敗を喫し、ようやく第5節でスペインのジローナに勝利、ここまで1勝4敗、29位と振るわない。リールはこの試合で勝利すれば、プレーオフ出場となる24位以内を確定することができる。年内に決勝トーナメントへの道を確定しておきたいところである。

■9か月前にヨーロッパカンファレンスリーグで対戦した両チーム

 第3シードのリールと第4シードのシュトゥルム・グラーツ、チャンピオンズリーグでは成績を残していないチーム同士の対戦であるが、両チームは昨季のヨーロッパカンファレンスリーグ(当時の名称)のベスト8決定戦で対戦している。3月7日にグラーツで行われた第1戦ではリールがジョナサン・デイビッドの2得点などで3-0と先勝する。リールで行われた第2戦では1-1のドロー、1勝1分のリールが準々決勝に進出した。それから9か月しかたたないが、両チームは対戦することになった。

■圧倒的優位なリール、先制するも2点のリードを守れず

 キックオフ直後からホームのリールが優位に試合を進める。16分にはリールのオサメ・サハラウイがペナルティエリア内で倒される。リールにPKかと思われたが、VARの判定の結果、リールにPKは与えられなかった。リールのボール支配率は8割に達したが、デイビッドが決定機を逃し続けたこともあり、無得点が続く。ようやくリールが先制点を奪ったのは37分のことであった。バンジャマン・アンドレが中盤でボールを確保し、アレクサンドロ・リベイロを経由してサハラウイにパスする。ノルウェー生まれのモロッコ代表であるサハラウイは左足のグラウンダーのシュートを決める。
 リールが一方的に攻めながらもなかなか得点が生まれなかった試合が、この1点で動き始めた。前半アディショナルタイムが3分と表示されたが、47分にリールはミチェル・バッカーが追加点を決める。これまでの試合の流れから判断すると、リールのリードはこれでも少なすぎたが、リールがリードを広げるのではなく、1点差に迫られて前半を終えることになった。シュトゥルム・グラーツは48分にオタル・キテイシュベリが右足で強烈なシュートを放ち、これが決まってリールのリードは1点となった。
 この前半アディショナルタイムの余韻は後半が始まっても続いた。後半開始間もない47分にシュトゥルム・グラーツはミカ・ビレースが同点ゴールを決める。圧倒的に試合を支配していたリールは2点のリードをわずか数分で追いつかれてしまったのである。

■交代出場でファーストタッチが決勝点となったハコン・アルナル・ハラルドソン

 一方のシュトゥルム・グラーツはこれで自信を取り戻した。次第にボール保持率も高めていく。76分にペナルティエリア内でデイビッドが倒されるが主審はホイッスルを鳴らさず、リールのイレブン、ファンは焦りの表情が現れる。
 しかし、リールのファンを歓喜させる決勝点を奪ったのは今季ほとんど試合に出場していなかった途中出場の選手だった。80分にピッチに入ったハコン・アルナル・ハラルドソンは81分にファーストタッチが決勝ゴールとなった。
 3-2で勝利したリールも決勝トーナメントへのプレーオフ出場以上の成績を確保したのである。(続く)

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