第3481回 好成績で越年するフランス勢(4) パリサンジェルマン、ようやく2勝目をあげる

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■チャンピオンズリーグでは振るわない、国内無敵のパリサンジェルマン

 前回までの本連載では3勝1分1敗の勝ち点10という成績で第6節を迎えたモナコ、ブレスト、リールの戦いぶりを紹介してきた。モナコは敗れたが、ブレストとリールは勝利、順位を上げた。
 これら好調な3チームをよそに苦戦しているのがパリサンジェルマンである。チャンピオンズリーグの常連で第1シードとなったが、ここまで1勝1分3敗と前回まで紹介したチームとは逆の成績であり、決勝トーナメントのプレーオフにも出場できない25位にとどまっている。残る3試合の中には第1シードのマンチェスター・シティ(イングランド)との試合も含まれている。国内リーグでは10勝4分と無敗であり、首位を独走している。しかし、第5節でバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に敗れてからは国内リーグでも引き分けが続き、失速気味である。週の半ばに行われるチャンピオンズリーグの試合はリーグ戦とは異なるメンバーを出場させているとはいえ、戦力が充実しており、リーグ戦とは選手の力量に大きな差があるとは思えない。

■パリサンジェルマンよりも下位のレッドブル・ザルツブルク

 パリサンジェルマンの第6節はアウエーでのレッドブル・ザルツブルク(オーストリア)戦である。レッドブル・ザルツブルクは第3シード、ここまでの成績はパリサンジェルマンよりも悪く、第2節でオランダのフェイエノールトに勝利しただけの1勝4敗で32位である。圏外同士の対戦となり、この試合で敗れたならば決勝トーナメントは遠のく。両チームの過去の対戦は1回、2011-12シーズンのヨーロッパリーグのグループリーグでのことである。2試合ともホームチームが勝利したが、最終結果はレッドブル・ザルツブルクが2位、3位になったパリサンジェルマンは敗退した。カタール資本がパリサンジェルマンに投資した初年はこの程度の力しかなかったのである。

■圧倒的に試合を支配したパリサンジェルマン、30分に先制

 12月10日に行われた試合、熱心なパリサンジェルマンのサポーター1500人がザルツブルクのレッドブルアリーナに駆けつける。ようやくパリサンジェルマンはパリサンジェルマンらしい試合を展開することができた。バイエルン・ミュンヘン戦で退場となり、この試合は出場停止となったウスマン・デンベレに代わって李康成が先発し、ゴンサロ・ラモス、ブラッドリー・バルコラと攻撃陣を形成する。試合は立ち上がりからパリサンジェルマンのペースで進む。パリサンジェルマンは精度の高いシュートを次々に放つが、レッドブル・ザルツブルクはGKが右に左にセーブし、パリサンジェルマンのゴールを許さない。
 先制点は30分に生まれた。左サイドからバルコラが長いクロスを上げ、ファーサイドでアクラフ・ハキミが競り勝ってヘディングで折り返す。これをラモスが右足で蹴りこんでネットとスタジアムの片隅が揺れる。今季のチャンピオンズリーグでパリサンジェルマンの初めてアウエーの地でのゴールとなった。その後もパリサンジェルマンは決定的なシーンを繰り返し、前半は11本のシュートを放ちながらも最少得点で折り返した。

■2点差以上の勝利は8か月ぶりとなるパリサンジェルマン

 後半に入ってもパリサンジェルマンは試合を一方的に支配し、シュートを浴びせるが、なかなか追加点をあげることができなかったが、72分にはヌーノ・メンデスが待望の追加点をあげる。これは今季のパリサンジェルマンがチャンピオンズリーグの試合では初めての後半の得点となった。さらに85分にはデジレ・ドゥエがゴールを決めて、3-0と勝利する。思うように得点を奪うことができなかったが、最終的なスコアは及第点であり、パリサンジェルマンらしい結果となった。
 パリサンジェルマンがチャンピオンズリーグの試合で2点差以上つけて勝利したのは、昨季の準々決勝の第2戦でバルセロナ(スペイン)に4-1で勝利した4月16日以来、ほぼ8か月ぶりのことである。(続く)

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