第3508回 チャンピオンズリーグのプレーオフ (2) 異例ずくめのブレスト-パリサンジェルマン戦

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■2回目となるチャンピオンズリーグでのフランス勢対決

 新方式となった欧州カップ、チャンピオンズリーグとヨーロッパカップではプレーオフが導入されるが、フランス勢はチャンピオンズリーグのパリサンジェルマン、モナコ、ブレストが参戦し、パリサンジェルマンとブレストというフランス勢対決が実現した。
 チャンピンズリーグにおけるフランス勢対決はこれが2度目のことである。1回目は2009-10シーズンの準々決勝のリヨン-ボルドー戦である。本連載第1087回から第1090回にかけてこの対戦について紹介したが、3月30日にリヨンで行われた第1戦ではリヨンが3-1と勝利し、4月7日にボルドーで行われた試合はボルドーが1-0で勝利、2試合通算得点でリヨンが初の準決勝進出を決めている。リヨンでの試合はジェルラン競技場、ボルドーでの試合はシャバン・デルマス競技場、両チームとも現在は新しい競技場を使用している。時代を感じさせる試合である。
 また欧州カップでのフランス勢対決はヨーロッパリーグの前身のUEFAカップでは1998-99シーズンの3回戦でモナコとマルセイユが対戦、ヨーロッパリーグでは2004-05シーズンのベスト8決定戦のリール-オセール戦がある。
 そして、かつてはUEFAカップの予選として存在していたインタートトカップでは1997年にリヨンとモンペリエが対戦している。
 現在の欧州カップの出場数を考えれば、フランスからはチャンピオンズリーグが多く、ヨーロッパリーグ、カンファレンスリーグの出場チーム数は少なく、今後はチャンピオンズリーグでしかフランス勢対決は起こらないであろう。

■パリサンジェルマンにとっては欧州カップで初のフランス勢との対戦

 そのチャンピオンズリーグの常連となったパリサンジェルマンであるが、意外なことにこれが初めてのフランス勢との欧州カップでの対戦となる。そしてその初対戦の相手がマルセイユやリヨンのように国内でもライバル関係にあり、欧州で実績を残したチームではなく、欧州カップ初出場のブレストというところがさらに不思議である。
 欧州カップで同一リーグ勢と対戦するということは決勝トーナメント(プレーオフ)に進出しなくてはならない。今季のチャンピオンズリーグで初出場となったのはブレスト以外にジローナ(スペイン)、アストン・ビラ(イングランド)、ボローニャ(イタリア)、スロバン・ブラチスラバ(スロバキア)だけであるが、この中でプレーオフ以上に進出できたのはブレスト以外にはアストン・ビラだけである。そのアストン・ビラもチャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンズカップでは1981-82シーズンに優勝しており、1982年12月12日に東京・国立競技場で行われたインターコンチネンタルカップに出場したことから、日本の読者の皆様の中にはアストン・ビラの初出場に違和感をお持ちの方もいらっしゃるであろう。

■前半戦のリーグ戦はパルク・デ・プランスでパリが勝利

 パリサンジェルマンとブレストは国内リーグでも対戦するわけであるが、前半戦では9月14日の第4節にパルク・デ・プランスで対戦している。まだリーグフェーズの始まらない時期の対戦、パリサンジェルマンが3-1と勝利し、この結果がそのままリーグフェーズの結果とならなかった。

■組み合わせ抽選会の翌日にブレストでのリーグ戦で対戦

 かろうじて、得失点差でパリサンジェルマンが15位に滑り込んだが、組み合わせ抽選の行われた1月31日の翌日、今度はブレストで両チームが戦ったのである。
 組み合わせ抽選が行われてから他の大会で対戦するということは欧州カップ以外でも国内カップ戦でも起こりうるが、極めて珍しい。ブレストは2月1日のリーグ戦と11日のチャンピンズリーグでホームゲームでパリサンジェルマンを迎えるが、リーグ戦は本来の本拠地であるブレストのフランシス・ルブレ競技場で対戦するが、チャンピオンズリーグではUEFAの規程により、ギャンガンのルドゥルー競技場で戦うことになる。同じ相手と場所を変えてホームゲームを戦うということもまた珍しい。
 驚きの連続であるが、前哨戦となるリーグ戦での対戦は2月1日17時に1万5000人を超える満員の観衆を集めてキックオフされたのである。(続く)

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