第3517回 欧州カップ決勝トーナメント1回戦 (1) リール、アウエーの第1戦で引き分ける
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■決勝トーナメントストレートインのリールとリヨン
3月に入り、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、カンファレンスリーグという欧州カップの決勝トーナメント1回戦が始まった。カンファレンスリーグにはフランス勢は出場していないが、チャンピオンズリーグにはリールとパリサンジェルマン、ヨーロッパリーグにはリヨンが出場する。リールとリヨンはリーグフェーズでトップ8入りしたため、プレーオフを経由せず、1月中旬以来の欧州での戦いとなる。リーグフェーズで8位以内に入ったチームは決勝トーナメント初戦はプレーオフに勝利したチームとアウエーで戦う。
■23年ぶりに対戦するリールとボルシア・ドルトムント
チャンピオンズリーグが火曜日と水曜日、ヨーロッパリーグが木曜日に行われ、フランス勢で最初に登場したのは3月5日、リールはボルシア・ドルトムントとのアウエーでの第1戦に臨む。ボルシア・ドルトムントはリーグフェーズでは10位、7位のリールとは勝ち点わずか1の差である。プレーオフではリーグフェーズ23位のスポルティング(ポルトガル)と対戦、アウエーの第1戦で3-0と勝利、ホームでの第2戦はスコアレスドローで勝ち抜いてきた。
両チームは2001-02シーズンのUEFAカップのベスト8決定戦で対戦している。この模様は本連載第43回で紹介したが、第1戦はリールの本拠地、第2戦はボルシア・ドルトムントの本拠地と、今回とは逆の順に試合が行われた。ホームで得点差をつけて勝ちたいリールであったが、先制を許し、同点に追いついて第2戦に臨む。ドルトムントのウェストハーレン競技場での第2戦、スコアレスドローとなる。当時はアウエーゴール2倍ルールがあったため、リールは敗退し、ボルシア・ドルトムントは決勝まで進出した。
■国内で苦戦する昨季チャンピオンズリーグ準優勝のボルシア・ドルトムント
それから23年、2010年代以降はボルシア・ドルトムントはチャンピオンズリーグの常連チームとなる。昨年まではコンスタントに決勝トーナメントに進出し、昨季は決勝に進出している。ところが、今季はクラブOBのヌリ・シャヒンがアシスタントコーチから監督に昇格したが、国内リーグでは苦戦し、1月に解任される。後任の監督となったのはかつてモナコでも指揮を執ったニコ・コバチである。コバチ新体制下の元でボルシア・ドルトムントはプレーオフを勝ち抜き、リーグ戦でも連勝し、リーグ戦での順位を10位にあげ、決勝トーナメントに臨む。
一方のリールはチャンピオンズリーグは3季ぶりの出場となる。リーグ戦は5位であるが、ボルシア・ドルトムント戦の直前にはパリサンジェルマンに1-4と大敗している。しかし熱心なファンが4500人、黄色い壁がそびえるウェストファーレン競技場に駆けつける。
■ボルシア・ドルトムントに追いついたリール
試合は意外な展開となった。アウエーのリールがボール支配率で優位に立つ。それでも決定機をつかんだのはホームのボルシア・ドルトムントであった。22分に右からのCKのチャンスを得て、リールの守備陣がクリアしたボールを、ペナルティエリアの外ではあったが、ノーマークのカリム・アディエミが左足でミドルシュート、これがゴールに突き刺さり、黄色い壁が一気に揺れた。この先制点に勢いづいたのがボルシア・ドルトムントであった。前半アディショナルタイムにはパスカル・グロスのシュートがゴールに入るが、オフサイドの旗が上がり、リールは最少失点で後半を迎えた。
リールはボール支配率で上回り、シュート数でも優位に立ったが、枠内にシュートが飛ばない。リールの初の枠内シュートは68分、リールの誇る攻撃陣のバンジャマン・アンドレからジョナサン・デイビッドへとパスをつなぎ、デイビッドが縦パスを出して、ハコン・アルナル・ハラルドソンがシュート、スイス代表のGKグレゴリー・コベルの壁を破ってリールは同点に追いつく。
試合はこのまま引き分け、両チームの対戦はこれで3戦連続で引き分けとなった。リールは昨季準優勝のボルシア・ドルトムントに互角以上の試合展開で自信をもって第2戦に臨むのである。(続く)