第3538回 パリサンジェルマン、アストン・ビラに先勝 (3) 2点差で勝利したパリサンジェルマン
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■シード順、リーグフェーズ順位の最下位同士の戦い
チャンピオンズリーグ準々決勝の組み合わせはこのパリサンジェルマン-アストン・ビラ(イングランド)戦以外にアーセナル(イングランド)-レアル・マドリッド(スペイン)、バルセロナ(スペイン)-ボルシア・ドルトムント(ドイツ)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)-インテル・ミラノ(イタリア)と欧州5大リーグのクラブで占められた。
この中で半数の4チーム(パリサンジェルマン、レアル・マドリッド、バイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムント)は第1シードであるが、アストン・ビラは唯一の第4シードのクラブとしてここまで勝ち残った。また、この8チームの中でリーグフェーズの成績が一番悪いのは15位のパリサンジェルマンである。そのようにシーズン開幕前、あるいはリーグフェーズ終了時ではあまり期待されなかったチーム同士の試合である。
■ベンチスタートとなったマルコ・アセンシオ
アストン・ビラにとっては優勝した1982年以来43年ぶりの高いレベルでの戦いとなったが、アストン・ビラがチャンピオンズリーグで優勝した1982年5月はパリサンジェルマンがフランスカップを制し、初タイトルを獲得した月でもある。パルク・デ・プランスは満員の47,000人で埋め尽くされるが、アストン・ビラのファンも2000人駆け付ける。その中にはウィリアム皇太子とその息子のジョージ王子も海を渡ってやってきた。
パリサンジェルマンの布陣であるが、GKはジャンルイジ・ドンナルンマ、DFは右からアクラフ・ハキミ、ベラウド、ウィリアン・パチョ、ヌーノ・メンデス、MFは中央にビティーニャ、右にジョアン・ネベス、左にファビアン・ルイス、FWは中央にウスマン・デンベレ、右にデジレ・ドゥエ、左にフビチャ・クバラツヘリアという陣容、メンバー外のマルキーニョスに代わって右サイドのハキミが主将を務める。
一方のアストン・ビラであるが前回の本連載でも紹介した注目のマルコ・アセンシオはベンチスタート、先発の攻撃陣はトップにマーカス・ラッシュフォード、右にモーガン・ロジャーズ、左にジェイコブ・ラムジー、トップ下に主将のジョン・マッギンというメンバーである。
■先制は守勢のアストン・ビラ、すぐさま追いついたパリサンジェルマン
試合は立ち上がりからパリサンジェルマンがボールを保持し、パスをつないで試合を支配する。これは想定内と白いユニフォームのアストン・ビラはブロックを組んで組織的な守備で対応する。30分経過したところでボール支配率はパリサンジェルマンが80パーセント、アストン・ビラは20パーセント、そしてシュート数も8対1とパリサンゲルマンが圧倒していた。しかし、カウンターアタックを狙っていたアストン・ビラは35分、ヌーノ・メンデスからボールを奪い、マッギン、ラシュフォードと、右サイドから左サイドに展開、最後はユーリ・ティーレマンスがゴール前にクロスを供給し、これをロジャーズが決める。テレビカメラは歓喜するロイヤルファミリーの親子をとらえる。
これに対してパリサンジェルマンはすぐに追いつく。38分にドゥエがペナルティエリアのすぐ外からシュート、完全なコースを狙ったシュートでエミリアーノ・マルティネスも及ばず、同点に追いついた。
■スーパーゴール連発で2点差で勝利したパリサンジェルマン
後半に入っても試合の流れは変わらず、49分には左サイドをクバラツヘリアがドリブルで駆け上がる。ペナルティエリアに入ってアストン・ビラの選手を交わして最後は右足で角度のないところからのシュート、これが決まって勝ち越し点となる。本連載第3535回で紹介したリーグ優勝を決めたアンジェ戦で活躍した新加入の選手がこの日も活躍した。
一方、アストン・ビラは59分にアセンシオを投入するが、目立った動きはできない。ボールを支配されただけではなく、枠内にシュートを立て続けに浴びせられたアストン・ビラはマルティネスが次々とセーブし、パリサンジェルマンの追加点を許さず、1点差でホームに戻れば十分に勝機はある。しかし、そのマルティネスもスーパーゴールは止めることができなかった。後半アディショナルタイムの92分、ヌーノ・メンデスのゴールでパリサンジェルマンは2点のリードで第2戦に臨むのである。(この項、終わり)