第2484回 フランスカップ準決勝(2) レンヌ、5年ぶり7回目の決勝進出
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■4日前にもリーグ戦で対戦したレンヌとリヨン
フランスカップ準決勝の組み合わせは4月2日の火曜日にリヨン-レンヌ戦、3日の水曜日にパリサンジェルマン-ナント戦が行われた。
この直前の週末にリーグ戦の第30節が行われたが、3月29日の金曜日にレンヌはリヨンとホームで対戦しており、その4日後に舞台を入れ替えて戦うことになる。そのリーグ戦はリヨンがやや押し気味で試合を進めながら、なかなかゴールを決めることができなかった。しかし途中交代出場のマルタン・テリエが86分に決勝点を奪い、チャンピオンズリーグ本戦出場権を獲得きる2位浮上を狙うリヨンは勝ち点3を上乗せした。一方、ヨーロッパリーグ出場権の4位以内を狙うレンヌは8位から10位に後退してしまった。
■リヨンでプロデビューしたハテム・ベンアルファ
このレンヌ-リヨン戦も注目は今季からレンヌに加入し、ゴールを量産しているハテム・ベンアルファである。ベンアルファはパリサンジェルマン時代の監督であり、現在はイングランドのアーセナルの監督を務めているウナイ・エメリとの確執があったことをヨーロッパリーグの2回戦でアーセナルと対戦した際に紹介したが、ベンアルファはそれ以外にも様々なトラブルを引き起こし、クラブを追い出されている。プロとなってその最初がリヨンであった。リヨンの下部組織からプロとなったのが2004年のことである。年代別代表の主力でもあったベンアルファは天才児として名をはせ、2007年にはフル代表にデビューするまでになった。しかし、自信過剰からくる監督やクラブの経営トップとのトラブルは絶えず、2008年にはマルセイユに移籍する。マルセイユでの2年目に監督に就任したディディエ・デシャンとそりが合わず、これが原因で今でもフランス代表復帰の道が閉ざされていると言われている。
アーセナルに勝つことのできなかったベンアルファはリヨンを見返したいところである。昨季終了後にパリサンジェルマンから戦力外となって退団した際に引退することも考えたが、そのベンアルファを拾ったのがレンヌであった。これまで国内外のクラブに所属したベンアルファにとって現在所属しているレンヌは最も小さいクラブかもしれないが、最も居心地の良いクラブでもある。地元のファンに支えられ、ここまでリーグ戦で6得点、ヨーロッパリーグで2得点をあげている。そのベンアルファはレンヌというクラブにとって48年ぶりのタイトル、そして自分を追い出したリヨンへのリベンジという点でモチベーションの上がる一戦となる。
■ブルーノ・ジェネジオ監督の契約のかかるリヨン、先制を許す
一方のリヨンであるが、リーグ優勝は不可能であり、フランスカップを獲得すれば、今季で契約満了となるブルーノ・ジェネジオ監督の来季以降の契約についても影響を与えるかもしれない。
これまでのフランスカップ、リヨンは10回準決勝を戦い、そのうち7回は決勝に進出しているが、レンヌは14回の準決勝のうち6回しか決勝にコマを進めていない。
平日の夜の試合であるが、グルーパマ競技場には4万8000人近い観客が集まった。4日目のヒーローのテリエはベンチスタートである。ホームのリヨンはなかなかペースをつかむことができない。先制点はレンヌ、40分に左サイドのイスマイラ・サールからのクロスを受けたエムバイ・ニアンがリヨンの守備陣をかわしてシュート、前半を1-0とリードして折り返す。
■2度追いついたリヨンを突き放したレンヌ
後半立ち上がりにリヨンはベルトラン・トラオレが同点ゴールを決める。しかし、ここからリヨンは低調な試合内容となってしまう。55分にレンヌは注目のベンアルファがCKを蹴り、これをジャンプ力のあるバンジャマン・アンドレがヘディングで勝ち越し点をあげる。76分にレンヌはアンドレがペナルティエリア内でハンド、リヨンのムーサ・ダンベレがPKを決めて同点とするが、レンヌは81分にベンアルファが攻撃の起点となり、ラミ・バンスバイニが決勝点をあげる。レンヌは5年ぶり7回目の決勝進出を決めたのである。(続く)