第547回 2005-06フランスカップ(1) パリサンジェルマン、マルセイユ、レンヌ、ナントが4強
■盛り上がりを欠くフランスのクラブシーンにサプライズ
前回の本連載では今年スタッド・ド・フランスで開催されたサッカーの試合で代表の試合よりもはるかにリーグカップの決勝の方が多くの観衆を集めたことを紹介した。このことからわかるとおりワールドカップイヤーと入っても代表チームよりもクラブチームにファンの関心が集まっている。しかし、フランスのクラブシーンはリーグ優勝が早々と決まり、欧州カップでは準々決勝で姿を消し、他国のクラブシーンが佳境を迎えるのに対して、盛り上がりを欠いている。盛り上がりを欠いたフランスのクラブシーンに思いもかけぬ大きなサプライズが現れた。
■ベスト8は6チームが1部勢
今年のフランスカップについては本連載では第512回から第516回にかけて年初に行われたベスト32決定戦について紹介したが、ベスト16決定戦は1月の末に行われる予定であったが、天候の関係で延期される試合が続出した。ベスト16決定戦は1月27日に始まったが、16チームが勢揃いしたのは結局2月22日のことであった。ベスト16の顔ぶれは1部リーグ8チーム、2部リーグ4チーム、4部に相当するCFAから3チーム、5部に相当するCFA2のチームが1チームとなった。今季UEFAカップに出場して活躍したストラスブールブール、モナコがアマチュアチームに敗れて姿を消しているほか、オセール、ランスなどは1部チームと対戦し敗退している。
3月に行われたベスト8決定戦は1部同士の対戦が1試合(マルセイユ-ソショー)だけで、残りの1部勢6チームは下位チームと対戦した。この6チームはボルドーが2部のモンペリエに敗れた以外は順当に勝ちあがり、パリサンジェルマン、ナント、リヨン、レンヌ、リールとともに、1部同士の戦いはマルセイユがソショーを下してベスト8に進出した。また、唯一の2部以下同士の対戦はCFAのカレーと2部のブレストが対戦する。本連載第512回で紹介したとおり、いまや完全にフランスカップのスペシャリストとなったカレーがブレストを下してベスト8に進出する。
■窮地のパリサンジェルマン、ベスト4入り
今年はワールドカップが開催されることもあり、準々決勝から決勝まで4月に行われる。4月11日と12日に準々決勝、20日に準決勝、29日に決勝と言うスケジュールになっているが、日程が重なる可能性もあった欧州カップからフランス勢が姿を消したことから、予定通りに日程が消化された。
準々決勝の組み合わせは11日にパリサンジェルマン-リール、リヨン-マルセイユ、12日にレンヌ-モンペリエ、カレー-ナントとなった。11日には話題の多いクラブが登場した。まずパリサンジェルマンは1991年以来このクラブを所有してきた契約型衛星放送のカナルプリュスがクラブを米国の投資会社であるコロニーキャピタルなどに売却するという窮地に立たされている。リールは本連載でも紹介したとおり、昨年リーグ2位でチャンピオンズリーグに出場し、決勝トーナメント進出には届かなかったが大健闘、リーグ戦でも常に2位争いをしてきた。パリサンジェルマンはリールに先制点を許したが、逆転勝ちをしてベスト4入りする。
■リヨン、ドメネク時代以来の33年ぶりの勝利ならず敗退
そしてリヨンとマルセイユについてはここで改めて解説する必要はないであろう。リヨンの前に黄金時代を築いたチームがマルセイユである。リヨンがマルセイユにフランスカップで最後に勝ったのは1973年の準々決勝のことである。この時のリヨンのイレブンの中に現在のフランス代表監督のレイモン・ドメネクがおり、ドメネクはその直後に代表にデビューしている。リヨンは勝ち進み3度目の優勝を果たしている。33年ぶりの勝利を狙ったリヨンであるが、マルセイユに1-2と敗れ、今年も二冠はならなかった。
翌12日に行われた試合はリーグ8連勝と波に乗るレンヌがモンペリエを延長の末5-3と振り切る。また、フランスカップのスペシャリストであるカレーもナントの前に屈した。準決勝に臨む4チームは全て1部のチームとなったのである。(続く)