第685回 4強が決定したフランスカップ(4) マルセイユ、ソショー、スダン、モンソーレミンが4強
■リーグ上位チームが姿を消し、人気チームの残った8強
1月末にフランスカップはベスト8が出そろったが、リーグ首位のリヨン、2位のリールと欧州の場でも活躍しているチームが姿を消してしまった。これもまたカップ戦ならではの楽しみである。リーグ上位のチームが不在であっても、昨年決勝戦で対戦したパリサンジェルマン、マルセイユはそろって8強入りしている。さらに、ナショナルリーグのバンヌ、CFAのモンソーレミンという下部リーグのチームが今後どのような新たな波乱を起こすかも注目される。
準々決勝は2月27日と28日に行われるが、組み合わせ抽選は2月4日に国営放送局であり、フランスカップの中継を一手に引き受けているフランス2のテレビ番組の中で行われた。27日にはスダン-ナント、マルセイユ-バンヌ、28日にはモンソーレミン-ランス、ソショー-パリサンジェルマンと言う組み合わせで準々決勝が行われることになった。
■勝者が必ず決勝進出するマルセイユ-リヨン戦を制したマルセイユは4強へ
ファンの期待はパリサンジェルマンとマルセイユが昨年に続きスタッド・ド・フランスで対戦することであろう。まずこの両チームに注目してみたい。
まず、前々回の本連載で紹介したとおり、マルセイユはベスト8決定戦でリヨンを下しているが、マルセイユにとってはこれはフランス最強チームを下したというだけではなく、大きな意味がある。これまでにマルセイユとリヨンは7回対戦し、マルセイユの4勝1分2敗という成績であったが、この中にはホームアンドアウエー方式の対戦もあり、実際には5回の大会で対戦していることになる。そしてこのうち1回は1976年の決勝での対戦であり、それ以外の3回は興味深い結果となっている。最初は1962-63シーズンのベスト8決定戦で1回戦制で対戦し、リヨンが勝ち、リヨンは決勝まで進出し、モナコと0-0で決着がつかず再試合で敗れている。次の対戦は1972-73シーズンの準々決勝で1勝1敗となったが得失点差でリヨンが勝利、リヨンはこの年優勝を飾っている。そして1986-87シーズンのベスト8決定戦ではマルセイユが1勝1分で勝ち抜き、決勝でボルドーに敗れるものの準優勝に輝いている。また記憶に新しいところでは昨年の準決勝でマルセイユがリヨンを2-1と下し、決勝に進出している。すなわち、決勝で対戦した1976年を除く4大会で勝利したチームは決勝まで進出しているのである。
そのマルセイユはナショナルリーグのバンヌと地元ベロドロームで対戦する。マルセイユにとって2ランク下のリーグのクラブは敵ではなかった。開始早々ママドゥ・ニアンが先制点、その後も得点を重ね5-0と大勝する。2年連続の決勝進出が見えたのである。
■リーグ戦で手一杯のパリサンジェルマンは敗退、最下位のスダンは勝利
一方のパリサンジェルマンは28日にアウエーのソショーで試合を行う。パリサンジェルマンは25日に行われたホームのサンテエチエンヌ戦で0-2と敗れ、リーグ戦の順位を17位まで落としてしまう。そして3日には再びリーグ戦のスダン戦が控えている。6日間に3試合と言う強行日程となったが、パリサンジェルマンの新監督のポール・ルグアンはリーグ戦を重視すると表明し、このソショー戦には主力メンバーを温存し、新人メンバーで挑むことになった。一方のソショーはリーグ戦4位、首位リヨンとアウエーで引き分けたばかりである。試合は両チームの勢いの差が出た。ソショーは前半に2点を先制、パリサンジェルマンも後半に主力を投入したが、反撃は1点どまり、ファン待望のパリサンジェルマン-マルセイユ戦は実現しなかった。
スダン-ナント戦はリーグ戦では最下位と下から2番目の19位のチームの対戦となった。お互いに1部残留と言う大きなテーマを抱えながら、唯一可能性のあるタイトルへの執念もあり、スダンが先制するとすかさずナントが追いつき、そのまま延長戦でも決着がつかず、最下位のスダンがPK戦で勝利した。
■準々決勝でも驚きの勝利、CFAのモンソーレミン
そしてベスト8決定戦に引き続き、CFAに所属するモンソーレミンが1部のチームに勝利した。モンソーレミンはランスとの試合もグーニョンのジャン・ラビル競技場を選んだ。グーニョンはモンソーレミンから近いだけではなかった。モンソーレミンの主力メンバーはグーニョンに所属したことがあり、まさに地元であった。相手のランスはリールに代わってリーグ2位に上がってきたチームであるが、慣れ親しんだグラウンドで大応援団の声援に支えられたモンソーレミンは終盤に与えられたPKを決め、またもやリーグの強豪を破り、2000年のカレー以来6年ぶりのCFAからの準決勝進出を決めたのである。(この項、終わり)