第715回 2006-07フランスカップ・ファイナル(2) マルセイユ、2年連続18回目の決勝進出

■ナントと契約したファビアン・バルテス

 フランスカップ準決勝はまず4月17日にソショーがモンソーレミンを下し、決勝進出を決め、その翌日の18日にマルセイユとナントがもう1つの準決勝を争った。
  マルセイユはこれまで国内タイトルに関してはリーグ8回、フランスカップ10回と言う圧倒的な成績を残す。しかしながら、1992-93シーズンのリーグ優勝、チャンピオンズリーグ優勝はいずれもタイトルを剥奪され、1991-92シーズンのリーグ優勝を最後にタイトルから見放されている。そして10回の優勝を誇るフランスカップも最後の優勝は1989年のことであり、それ以来決勝に進出しても敗れてきた。昨年は宿敵パリサンジェルマンと決勝で対戦したが、-で敗れている。この時のマルセイユのGKが代表のGKとしても活躍していたファビアン・バルテスであり、決勝戦での敗戦が相当ショックだったようで、表彰式をボイコットしている。そのバルテスはワールドカップ後、マルセイユを離れる。昨年暮れまで所属クラブが決まらなかったがようやくナントと契約し、年明けから試合に出場するようになった。

■リーグ最下位で2部降格の窮地に立つナント

 そのバルテスの所属するナントとマルセイユが対戦するわけであるが、ナントがこの時期にバルテスを獲得したのは理由がある。それはナントが下位に低迷し、前半戦を終了した段階で17位と2部降格の危機に瀕していたからである。しかし、バルテスを獲得してから、好転したわけではない。バルテスのデビュー戦となった後半戦再開の第20節のニース戦こそ完封勝利したものの、その後はまた負けが続き、4月1日の第30節のスダン戦で敗れ、最下位に転落してしまった。そしてフランスカップの準決勝を戦う段階でも最下位、しかも国内リーグでは4試合勝利から見放されている。ナントもまた名門であり、44年間1部リーグの座を守ってきている。そしてリーグ優勝8回、フランスカップ優勝3回を誇る。さらに特筆すべきはマルセイユが1992年以来タイトルから遠ざかっている間にナントは4回(1994-95シーズンと2000-01シーズンのフランスリーグ、1999年と2000年のフランスカップ)もタイトルを獲得している。ナントはパリサンジェルマンと並びカップ戦のスペシャリストとも言うべき存在であり、過去10年間のフランスカップで5回、リーグカップで2回準決勝に進出している。しかしその名門も今季はリーグ戦で前年に続き苦戦を強いられ、フランスカップで好成績を残してリーグでの最下位脱出、1部残留へとつなげたいところである。

■2月18日のリーグ戦ではスコアレスドロー

 一方のマルセイユは今季は8月には首位に立つなど好調で、リーグ戦でも常に上位につけている。1月下旬から3月初めにかけて勝利から見放されたが、4月になって盛り返し、フランスカップ準決勝を迎える段階で6位である。リーグ戦で3位以内に滑り込み、チャンピオンズリーグへの出場権を獲得することも可能であるが、久しぶりのタイトル獲得に向けて意気があがるところである。
 両チームの今季のベロドロームでの対戦は2月18日に行ったばかりであり、そのときはスコアレスドローとなっている。

■選手起用が的中、マルセイユ完勝

 ナントで最も注目を集めるのは古巣と対戦するバルテスである。そのバルテスと対峙するマルセイユのFWについては、1トップに誰を起用するかが注目を集めた。候補はジブリル・シセとミカエル・パジスが候補であったが、アルベール・エモン監督はパジスを先発に起用し、後半からパジスに変えてシセを投入する。この選手起用が見事的中し、前半28分にマルセイユはフランク・リベリーが先制点、後半に入ってトワフィル・マウリダが追加点、そして76分にはシセが相手のパスをインターセプトして3点目を決める。3失点を喫したバルテスはこれが最後のベロドロームでの試合となったのである。
 マルセイユはフランスカップで昨年に続き18回目の決勝進出を果たし、前回の本連載で紹介したソショーと対戦することになったのである。(続く)

このページのTOPへ