第924回 年明けの象徴、フランスカップ(3) 1部勢対決を制したレンヌとサンテエチエンヌ
■1部勢同士の対決は4試合
前回までの本連載はフランスカップのベスト32決定戦における下位チームの進撃について紹介してきた。今回からはリーグ上位チームや欧州カップで勝ち残っているチームの戦いについて紹介したい。
フランスカップの見所としてはいくつかあるが、これらのチームにとっては、フランスカップと言う栄冠の行方だけではなく、下位チームの挑戦をうまく退けることができるか、また年明けから本格化する欧州カップとの兼ね合いをうまくやっていくことができるか、ということであろう。フランスカップにおいて、他のタイトル争いと言う邪念が入ることがジャイアントキリングを呼び寄せることになる。
さて、今回のベスト32決定戦の組み合わせを見ると、1部20チームのうち、1部勢同士の戦いとなったのは、トゥールーズ-バランシエンヌ、ソショー-レンヌ、ボルドー-サンテエチエンヌ、ナント-カーンの4試合である。すなわちそれ以外の12チームは下部のリーグの挑戦を受ける形になる。
■リーグ上位チームの組み合わせ
本連載第920回で紹介したとおり、フランスリーグは前半戦を終えて、1位リヨン(勝ち点38)、2位ボルドー(35)、3位レンヌ(34)、4位パリサンジェルマン(33)、5位マルセイユ(32)である。また、欧州カップの決勝トーナメントに残っているのはチャンピオンズリーグではリヨンだけ、そしてUEFAカップはグループリーグを勝ち抜いたパリサンジェルマンとサンテエチエンヌ、そしてチャンピオンズリーグのグループリーグで3位となって転戦してきたボルドーとマルセイユ、合計5チームが年を越し、リーグ戦上位5チームのうち4チームが欧州カップでも生き残っている。リーグ3位のレンヌはUEFAカップのグループリーグで敗れ、逆にサンテエチエンヌはUEFAカップで勝ち残っていながらリーグで17位と低迷している。
リーグ上位チームのフランスカップの初戦の組み合わせを見ると、リヨンはCFA2部のコンカルノーと恵まれた組み合わせになったが、2位のボルドーは同じUEFAカップで勝ち残っているサンテエチエンヌ、3位のレンヌはソショーと1部勢との対戦となった。4位のパリサンジェルマンはCFAのモンルソン、5位マルセイユもCFAのブザンソンと対戦する。すなわち、リーグ上位陣、欧州カップ組ではボルドー、ソショー、サンテエチエンヌが厳しい組み合わせになり、それ以外のリヨン、パリサンジェルマン、マルセイユが恵まれた組み合わせとなった。
人気チームのマルセイユ、パリサンジェルマンはテレビ中継の関係で日曜日の4日に試合が組まれ、1部勢同士の対戦となるソショー-レンヌ戦、ボルドー-サンテエチエンヌ戦が3日に行われた。
■リーグ戦でわずか1敗のレンヌ、1点を守りきる
レンヌはリーグカップでは2戦目のベスト8決定戦でルアーブルに敗れ、リーグ戦、フランスカップでのタイトルに照準を絞っている。一方のソショーはリーグ戦では苦しい戦いが続き、前半戦終了時で19位、リーグ戦ではわずかに1勝しかあげていない。ただし、リーグカップの初戦でマルセイユに勝利しており、これが今季公式戦での初勝利、すなわちジャイアントキリングを起こす気配はある。しかし、11月8日の第13節で勝利を上げて以来、リーグ戦では5分1敗、リーグカップでは1敗と勝ち星から遠ざかっているソショーのチーム状態とリーグ上位のレンヌとの力の差は明白であった。今季リーグ戦で黒星は1つだけというレンヌはアウエーの試合であったが、42分に上げたゴールを難なく守りきり、1部勢同士の戦いを制し、ベスト16決定戦へと進出したのである。
■フランスカップの常勝監督アラン・ペラン、サンテエチエンヌを勝利に導く
サンテエチエンヌはリーグカップでは初戦で敗退しており、フランスカップ以外ではリーグ残留とUEFAカップでの上位進出が残された目標である。一方のボルドーはリーグカップは昨年度のリーグ成績が上位であったことからベスト16決定戦はシードされ、ベスト8決定戦からの参戦となり、ガンガンを下しており、UEFAカップ以外に国内のタイトルも3つとも希望が残っている。今季のリーグ戦では引き分けであったが、サンテエチエンヌが1-0と勝利する。実は、サンテエチエンヌのアラン・ペラン監督は、昨季はリヨン、一昨季はソショーの監督として2年連続してこのフランスカップを獲得している常勝監督だったのである。(続く)