第1098回 パリサンジェルマン、フランスカップを獲得 (4) モナコとパリサンジェルマンが決勝に進出

■クビリーだけではないフランスカップの主役

 今年のフランスカップのベスト4は4部に相当するCFAのクビリー、1部では中位のパリサンジェルマン、モナコ、ランスとなった。欧州カップの決勝トーナメントに残ったチームやリーグ上位のチームが姿を消してしまった。この段階でクビリーがフランスカップの主役のように思われる方も多いと思うが、決してそうではない。パリサンジェルマン、モナコ、ランスというチームはリーグ順位こそ中位であるが、1990年代以降の実力派チームである。特にパリサンジェルマン、モナコは今世紀に入ってから2回ずつフランスカップで優勝している。今世紀になってからフランスカップを2回制しているのはこの両チームだけである。

■久しぶりの決勝進出を狙うモナコとランス

 準決勝は4月13日と14日に1試合ずつ行われた。この段階で、欧州カップのフランス勢はバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)との準決勝にリヨン以外はすべて敗退している。また、国内タイトルとしてはリーグカップも決勝戦が終わっており、国内リーグ以外のタイトルはこのフランスカップとリヨンのチャンピオンズリーグだけになった。
 4月13日に行われたのが、モナコ-ランス戦である。モナコが準決勝に進出するのは5年ぶりであるが、このときは2部のスダンに敗れている。このシーズンはリーグ戦3位、リーグカップでも準決勝進出という好成績を残しており、それ以降今日に至るまでモナコはそれ以上の成績を残していない。
 モナコが準決勝を勝ち抜けば、実に「フリアニの悲劇」で決勝戦が行われなかった1992年以来18年ぶりのことになる。そして決勝進出は、後に日本でも活躍したジェラルド・パッシのゴールでマルセイユに勝利した1991年以来のことになる。
 一方のランスであるが、2部から復帰最初のシーズンであるが、リーグ戦は中位以下と苦しい戦いが続く。フランスカップでは優勝経験はないが、決勝進出はこれまでに3回ある。リーグ戦で初優勝した1998年が最後の決勝戦であり、このときはスタッド・ド・フランスでの最初の決勝戦であったが、パリサンジェルマンに敗れている。

■延長後半に決勝点をあげたモナコ

 両チームとも久しぶりの決勝進出をかけて戦った。モナコのルイ2世競技場はようやく1万人以上の観客で埋まるが、それでも半分は空席である。空席の目立つ観客席に赤と白のユニフォームのモナコは慣れたものである。モナコはランスのゴールを攻めるが前半は無得点に終わる。えんどの変わった後半も相変わらずモナコのペースであるがゴールネットを揺らすことはできない。そして4分と表示された後半ロスタイム、モナコはゴールチャンスをつかむが得点することができず、その直後にはランスが好機をつかむという展開となるが、得点にはならず、試合は延長戦となる。モナコは準々決勝のソショー戦に続く延長戦となった。
 延長後半で初めてスコアボードが動いた。110分、ソショー戦でも決勝ゴールを上げたナイジェリア代表のニジェール代表のムッサ・マズーがネネからのセンタリングを決勝ゴールに結びつける。モナコは19年ぶりの決勝戦へと向かうのである。

■前半ブレーキのメブリュト・エルディンが決勝点

 その翌日はクビリーとパリサンジェルマンの間で決勝進出が争われた。クビリーが抽選の結果、クビリーのホームゲームとなったが、ルーアンの競技場では観客を収容することができない。結局、カーンのミッシェル・ドルナオ競技場で試合が行われた。かつての文化大臣の名前を関するこの競技場は2万1000人の観衆で満員となる。ファンのお目当ては人気チームのパリサンジェルマンではなく、黄色いユニフォームのアマチュアチームである。
 試合はパリサンジェルマンが支配するが、なかなかゴールが生まれない。フランス生まれのトルコ代表であるメブリュト・エルディンがブレーキになる。そして荒れ気味に試合となり、前半には両チームあわせて5枚のイエローカードが飛び交う。そして後半に入って51分、エルディンがゴールを決める。この1点をパリサンジェルマンは守りきり、両チーム五枚ずつのイエローカードという荒れた試合を制し、2年ぶりの決勝進出を決めたのである。(続く)

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