第1364回 国内カップ戦でも好調なリヨンとマルセイユ(2) 出足でつまずいたが、勢いに乗るマルセイユ
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■リーグ戦の序盤は低調な出足だったマルセイユ
前回はチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出し、国内のフランスカップ、リーグカップでも勝ち残っているリヨンを紹介したが、マルセイユも全く同様に国内の2つのカップ戦で勝ち残っており、国内外で4つのタイトルを追いかけている。
欧州カップに出場しているマルセイユにとって今季初めての国内カップ戦は10月26日に行われたリーグカップのベスト8決定戦のRCランス戦である。マルセイユはリーグ戦では開幕から低調で、6試合連続で勝利なし、第6節でリヨンに敗れて最下位に落ちた。RCランス戦を迎える段階でリーグ戦は12位、勝利は2勝のみ、この時点でマルセイユはチャンピオンズリーグで2勝しており、なんと国内相手と国外相手の勝ち数が同じという奇妙な状態でリーグカップに臨むことになった。
■RCランス、レッドスター、カーンに完封勝ち
相手のRCランスは昨季までは1部リーグの上位を占めるチームであったが、モナコとともに2部に陥落、そして2部でも精彩を欠いた戦いを続けており、下位に低迷している。かつてのリーグ戦では黄金カードといえる顔合わせであったが、リーグカップの初戦、しかも相手のRCランスは2部降格後も精彩を欠くとあっては、ファンの関心も低く、ベロドローム競技場は空席が目立つ。しかし熱心な2万人の地元ファンの前でマルセイユの攻撃陣が爆発、14分にCKからアンドレ・ピエール・ジニャックが先制点をあげたのを皮切りに、後半に入ってからはアンドレ・アイェウが2点目、そしてロイック・レミが3点目と4点目を決めてマルセイユが4-0と勝利する。この勝利を契機としてマルセイユはリーグ戦でも持ち直した。
そして年が明けて初戦はフランスカップのベスト32決定戦、本連載第1344回でも紹介したとおり、スタッド・ド・フランスでレッドスターに5-0と大勝し、幸先良い新年を迎える。その3日後にはリーグカップの準々決勝でカーンを訪れる。敵地の満員の大観衆の中でマルセイユはゴールラッシュを見せつけ、3-0と完勝する。
■延長でルアーブルを振り切り、地中海勢のニースを下す
ここまでカップ戦3試合で12得点無失点という圧勝続きのマルセイユであったが、初めての苦戦となったのが1月22日に地元で戦ったフランスカップのベスト16決定戦のルアーブル戦である。6分に先制を許し、ようやく64分にブランドンのゴールで追いつく。90分では決着がつかず、延長での戦いとなり、延長前半終了間際にモルガン・アマルフィターノのゴールで勝ち越し、レミの追加点もあり3-1と振り切った。
2月に入り最初の試合がリーグカップの準決勝である。古豪ニースとの地中海勢同士の戦いとなったがマルセイユは先手を取り、レミが先制点、前半終了間際に追いつかれるが、後半にブランドンが勝ち越し点をあげて、3年連続の決勝進出を決める。リーグカップの決勝は3年連続3回目の優勝を目指すマルセイユと11年ぶり2回目の優勝を狙うリヨンとの顔合わせとなった。
■4つのタイトルで雌雄を決するライバル
2月5日にはマルセイユとリヨンがリーグ戦の第22節で対戦した。出足でつまずいたとはいえ、その後立ち直り、11月の半ば以降負けなしで5位のマルセイユ、対するリヨンの順位はマルセイユよりも1つ上の4位である。マルセイユで行われたこの試合、4万人以上のファンが集まった中で、マルセイユは2点を先行しながら、リヨンが追いつき、2-2のドローとなる。
このドローが象徴するように、マルセイユはフランスカップでもリヨンと同じ成績を残し、フランスカップのベスト8決定戦では4部に相当するCFAのブール・ペロナと対戦する。ブール・ぺロナはリヨンと同じローヌ・アルプ地方のチームであり、フランスカップのスペシャリストとしてジャイアントキリングを起こしてきたことは本連載の第285回で紹介したとおりである。しかし、マルセイユの勢いを止めることはできず、マルセイユは3-1と勝利して準優勝した2007年以来5年ぶりの準々決勝進出を決めたのである。
リヨンとマルセイユは4つのタイトルで雌雄を決することになるのである。(この項、終わり)