第1383回 フランスカップに驚きのファイナリスト(2) ベスト8は1部勢6チームとナショナルリーグ勢2チーム
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■元気のない2部勢
年明けのベスト32決定戦に続き、1月下旬に行われたベスト16決定戦では主力選手をアフリカ選手権で失ったこともあり、1部勢が苦戦した。しかしながら、ベスト16の10チームのうち過半数の10チームは1部勢である。逆に元気がないのが2部勢で、この段階でだけのわずか1チームとなってしまった。今季の2部には本連載第1338回で紹介したとおり、近年までの有力チームが集まり、例年以上に注目を集めていたが、フランスカップでは次々と敗れてしまった。それだけ各チームがリーグ戦に集中しているのであるか。
■1部勢同士の対戦が4試合、ナショナルリーグ以下同士の対戦が2試合
ベスト8を決める戦いは2月7日と8日に行われる予定であったが、折からの寒波で3試合が延期になり、結局ベスト8が出そろったのは2月21日になった。
ベスト8決定戦で特筆するべきことはその組み合わせ抽選である。10チーム残った1部勢のうち、8チームが1部勢同士の戦いとなった。逆に3部リーグに相当するナショナルリーグ勢同士のクビリー-オルレアン、ナショナルリーグのGFCOアジャクシオと4部に相当するCFAのドランシーというカードもあり、ナショナルリーグ勢以下のチーム2チームがベスト8入りすることが組み合わせの段階で決定した。
■ボルドーの監督の発言に奮起したリヨンのカップ戦用メンバー
1部勢同士の戦いで最も注目を集めたのがリヨン-ボルドー戦である。この1戦は地上波でのテレビ中継も予定されており、当初はゴールデンタイムの20時30分キックオフの予定であったが、厳しい寒さが予想されるため、16時15分にキックオフ時間が変更となり、テレビ中継も行われた。平日の夕方のキックオフとあってリヨンの本拠地ジェルラン競技場の観衆は7000人と寂しかったが、寒波を吹き飛ばす熱い試合になった。選手層の厚いリヨンは3日前のリーグ戦のマルセイユ戦とは先発メンバーを大幅に変更する。このカップ戦用メンバーの起用に対し、ボルドーのフランシス・ジロ監督は「リヨンはカップ戦を軽視している」と発言、この発言はリヨンのファンを刺激し、試合前のメンバー紹介では、7000人のジェルラン競技場は満員時にも勝るとも劣らぬ大ブーイングで敵将を歓迎する。そしてそのカップ戦用メンバーが奮起する。前半の23分にボルドーに先制を許したが、36分にはヨアン・グルクフのパスをアレクサンドル・ラカゼットが同点ゴールを決める。この2人はいずれもマルセイユ戦では先発メンバーではなかった。試合は延長戦に入るが、リヨンはバフェタンビ・ゴミスとジェレミー・ブリアンのゴールで3-1とボルドーを突き放し、8強入りしたのである。
このほかの1部勢同士の対戦ではレンヌがエビアンを3-2で下し、北部勢同士の対戦となったバランシエンヌ-リール戦はバランシエンヌが2-1と勝利してリールの連覇をストップした。また、ディジョンと対戦したパリサンジェルマンはカップ戦のスペシャリストの異名通り、アウエーゲームを苦にせずに1-0と勝利、1部勢対決で唯一アウエーでの勝ち名乗りを受けた。
■下部リーグ勢との対戦で順当勝ちしたモンペリエとマルセイユ
ベスト8決定戦で下部のリーグのチームと対戦した1部勢は2チームである。2部のシャトールーと対戦したモンペリエ、そしてアジャクシオを下してベスト16入りしたCFAのブール・ペロナと対戦したマルセイユである。
モンペリエはアウエーでの戦いであったが、2-0とシャトールーを下した。ナショナルリーグ以下のチームが2チーム8強に残る一方で2部リーグのチームが姿を消した。
そしてマルセイユはベスト16決定戦で対岸のコルシカ島の雄アジャクシオを下したブール・ペロナとの対戦である。ブール・ペロナはベスト16決定戦に続き、ホームゲームとなった。ベスト16決定戦はブール・アン・ブレスで行ったが、さすがにマルセイユを迎えるとあってはそれでも足りず、サンテエチエンヌのジェフロワ・ギシャール競技場を使用することになった。結局この山間地での開催が寒波の影響を受け、試合は翌週に延期となり、さらに試合会場がマルセイユの本拠地ベロドロームになる。寒波に助けられたマルセイユは難なく3-1で勝利する。
ベスト8には1部勢が6チーム残ったが、残る2チームはドランシーを2-0で下したGFCOアジャクシオと延長の末オルレアンを2-0で破ったクビリーというナショナルリーグ勢となったのである。(続く)