第1500回 3強大苦戦のフランスカップ(1) 好カードが目白押しのベスト32決定戦の1部・2部対決

 おかげさまで第1500回の連載を迎えることになりました。4年前の9月に第1000回の連載を迎え、第1223回の連載を終えたところで、東日本大震災が発生しましたが、その後も日本の読者の皆様に支えられて、ようやく第1500回の連載を迎えることができました。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読よろしくお願いいたします。

■天皇杯同様に新年に注目を集めるフランスカップ

 前回までの本連載ではフランスリーグの前半戦はパリサンジェルマン、リヨン、マルセイユの3チームがそろって勝ち点38で折り返したことを紹介した。またパリサンジェルマンはチャンピオンズリーグ、リヨンはヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出が決まっており、今季のフランスのクラブシーンはこの3チームを中心に展開していくであろう。
 さて、新たな年になったが、最初の試合はリーグ戦ではなく、恒例のフランスカップベスト32決定戦である。例年本連載で紹介しているが、フランスカップが最も注目を集めるのは決勝戦とこの年初のベスト32決定戦であると言っても過言ではない。日本においてフランスカップに相当する天皇杯は決勝戦が元日に行われるが、その翌日には優勝チームの柏レイソル、準優勝チームのガンバ大阪の地元では百貨店で福袋が売り出され、長蛇の列ができたという。フランスも日本もカップ戦の盛り上がりは新年にあると言えよう。

■7回戦と8回戦を勝ち進みベスト32決定戦に挑む2部勢

 フランスカップはベスト32決定戦から1部リーグ20チームが参戦するが、すでにこの段階で2部の半数近い9チームが姿を消している。11月中旬に行われた7回戦から2部20チームは参戦しているが、7回戦でディジョンとスダンの2部勢同士が対戦し、ディジョンが延長戦で敗れたほか、ルマン、オセール、クレルモン、GFCアジャクシオの4チームが下位のリーグに所属するチームに敗れている。
 12月初めに行われた8回戦で勝てば年を越え、1部勢との対戦もありうる。チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場しているチームの第一の目的が年内のグループリーグで勝ち抜いて年明けからの決勝トーナメント進出であるように2部勢以下のクラブにとってフランスカップの8回戦を勝ち抜いて新年のベスト32決定戦に臨むことが大きな目標であろう。

■ほぼ半数が姿を消した2部勢

 その8回戦で2部勢同士のカードは1試合、いずれも上位進出経験のあるラバルとギャンガンのブルターニュ勢が対戦し、4季前の優勝チームであるギャンガンが勝利した。それ以外の2部勢13チームの結果であるが、下位チームに敗れたのはモナコ、ニオール、アンジェの3チームである。
 このうちモナコを破ったナショナルリーグのブール・ペロナは7回戦でもオセールを倒し、2試合連続して2部勢を下している。ブール・ペロナは昨季は4部リーグに相当するCFAに所属していたが、昨年のフランスカップでもベスト32決定戦に進出しただけではなく、1部のアジャクシオを下してベスト16に進出しており、フランスカップのスペシャリストと言えるであろう。
 結局、2部20チームのうち、ベスト32決定戦に駒を進めることができたのは11チーム、折り返し段階での順位に従って紹介すると、首位ナント、3位カーン、5位ギャンガン、6位イストル、8位RCランス、9位ルアーブル、10位ニーム、12位トゥール、13位シャトールー、17位アルル・アビニョン、20位スダンとなっており、2位のモナコと4位のアンジェが姿を消したものの、上位陣は越年している。

■1部勢と2部勢の対戦は好調なチーム同士の好取組が目白押し

 そしてこれら2部勢11チーム、3部に相当するナショナルリーグ以下のクラブ33チームに加え、新たに1部勢20チームが1月5日からベスト32決定戦が始まるが、その組み合わせ抽選で2部勢同士の対戦はなく、11チーム中半数以上の6チームは格上の1部勢と対戦、ナショナルリーグ以下の下部のチームとの対戦は5チームとなった。
 1部勢に挑戦する立場になった2部勢のチームであるが、前半戦2部3位のカーンが前半戦1部10位のサンテチエンヌ、5位ギャンガンが3位のマルセイユ、6位イストルが6位のバランシエンヌ、8位のRCランスが4位のレンヌ、10位のニームが8位のリール、13位シャトールーが7位のボルドー、これら12チームのうち前半戦の順位が2桁のチームは3チームしかない。前半戦の1部と2部で好調なチーム同士が対戦する好カードが目白押しとなったのである。(続く)

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