第1501回 3強大苦戦のフランスカップ(2) 注目のブール・ペロナを下した昨季リーグ王者のモンペリエ
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■1部勢同士の対戦のないベスト32決定戦
1部勢が参戦し、2部以下のチームが虎視眈々とジャイアントキリングを狙うフランスカップベスト32決定戦、前回の本連載では7回戦、8回戦と勝ち抜いてきた2部リーグ勢を紹介したが、今回は1部リーグ勢の初戦の組み合わせを紹介しよう。
どういうくじ運のめぐり合わせであろうか、前回の本連載で2部勢同士の対戦がないことを紹介したが、1部勢同士の対戦もないというたいへん珍しい組み合わせになった。すなわちこれは1部勢20チームすべてがジャイアントキリングの対象になっていることを示している。
■前半戦の上位チームは上位リーグのチームと対戦、下位チームは下位リーグのチームと対戦
2部リーグ勢と対戦する6チームを改めて紹介すると前半戦3位のマルセイユ、4位のレンヌ、6位のバランシエンヌ、7位のボルドー、8位のリール、10位のサンテチエンヌと順位表の上位のチームが並んでいる。3部リーグに相当するナショナルリーグのクラブと対戦するのも6チーム、2位のリヨン、9位のニース、11位のモンペリエ、12位のトゥールーズ、13位のバスティア、16位のアジャクシオという顔ぶれである。そして4部リーグに相当するCFA所属のクラブと対戦するのは14位のブレスト、15位のスタッド・ド・ランス、17位のエビアン、19位のトロワの4チームである。5部リーグに相当するCFA2部のクラブとは首位のパリサンジェルマン、5位のロリアン、18位のソショーの3チームが対戦する。そして1部勢と最も力の開いた6部リーグに相当するDHのクラブと対戦するのが最下位のナンシーである。
このように見ると、不思議なことであるが、前半戦上位のチームほど上位のリーグのクラブと、下位のチームほど下位リーグに所属するチームと対戦する傾向が強いようである。
■僅差での勝利が目立った1月5日に登場した1部勢
1部リーグで首位争いを行うパリサンジェルマン、リヨン、マルセイユは2日目の6日の日曜日に登場する。ベスト32決定戦の初日となった1月5日の土曜日には1部勢は9チームが登場した。結果を見れば、敗れたのはナショナルリーグのルーアンにPK戦で敗れたアジャクシオ、CFAのプラベネックに敗れたスタッド・ド・ランス以外の7チームは初戦を突破し、7勝2敗とまずますの結果のように思えるが、下部のリーグのチーム相手に苦戦するチームが多かったのは事実である。2点以上の差をつけて勝利したのは5-1というスコアを残したロリアンとナンシーだけであり、それ以外の5チームは1点差あるいはPK戦での勝利という薄氷の上での初戦突破であった。
■優勝経験のある2部勢を連破したブール・ペロナ、モンペリエに敗れる
その翌日の1月6日、先述したリーグ戦で首位争いを行うパリサンジェルマン、リヨン、マルセイユ以上に注目を集めたチームがあった。それは前回の本連載にも登場したナショナルリーグのブール・ペロナである。昨年はアジャクシオを倒し、ベスト16に進出、ベスト8決定戦はマルセイユとホームで対戦する予定であったが、寒波のためマルセイユで戦うことになり敗れるという不運があり、今季はここまでプロチームである2部のオセール、モナコというフランスカップ優勝経験のあるチームを連続して下してきた。ブール・ペロナのベスト32決定戦の相手は昨季のリーグチャンピオンでフランスカップ優勝経験チームであるモンペリエである。
ブール・ペロナはブール・アン・ブレスに舞台を移してチャンピオンズリーグにも出場したモンペリエを迎える。さかのぼること15年前、ブール・ベロナはモンペリエを下したことがある。一方のモンペリエですが昨季のフランスチャンピオンの面影はなく、チャンピオンズリーグはグループリーグで最下位、国内リーグでも中位以下である。シード扱いとなったリーグカップはボルドー、ニースに勝利し、準決勝に進出しており、国内のカップ戦に活路を見い出す。モンペリエは開始早々に先制点、33分にも追加点を奪い、ブール・ベロナの反撃はPKによる1点のみ。ブール・ペロナの快進撃はここで止まったのである。(続く)