第1541回 フランスカップ準決勝への道 (3) パリサンジェルマン、マルセイユにホームで3連勝

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■他国でも同時期にカップ戦、注目のビッグクラブ同士の対戦

 ベスト16の出そろったフランスカップ、ベスト8決定戦は2月最後の週の26日、27日、28日に行われた。ちょうど他の国のリーグでも同時期に国内カップ戦が行われ、スペインではスペイン国王杯の準決勝、ドイツではドイツカップの準々決勝のバイエルン・ミュンヘン-ボルシア・ドルトムント、イングランドではFAカップのベスト8決定戦が行われている。
 フランスカップのベスト8決定戦に残ったチームは1部勢が12チーム、2部勢が1チーム、ナショナルリーグ勢が1チーム、CFA勢が1チーム、CFA2部勢が1チームという顔ぶれであり、上位同士の対戦が中心となる。スペインではバルセロナ-レアル・マドリッド戦の第2戦、ドイツではバイエルン・ミュンヘン-ボルシア・ドルトムント戦というような好カードも現れるが、フランスカップでも好カードが生まれた。それはパリサンジェルマンとマルセイユの1戦である。2月27日の20時55分にパルク・デ・プランスでキックオフとなった。

■マルセイユでのリーグ戦はドロー、パリでのリーグカップはパリサンジェルマンの勝利

 このライバル同士の対戦、今季は4回目となる。まず昨年10月7日のリーグ戦第7節、マルセイユのベロドローム競技場での対戦である。両チームのエースストライカーが活躍し、マルセイユのアンドレ・ピエール・ジニャックが先制するとすかさず、パリサンジェルマンはズラタン・イブラヒモビッチが2点をあげて逆転、それに対しマルセイユはジニャックが同点ゴールをあげて2-2のドローとなった。
 そのあとは3回連続してパルク・デ・プランスでの対戦となる。10月31日のリーグカップのベスト8決定戦、両チームにとってリーグカップの初戦となる試合でパリサンジェルマンが前半にチアゴ・シウバのPK、後半にジェレミー・メネスの追加点で2-0と勝利する。

■フランスカップの3日前にもリーグ戦で対戦、デビッド・ベッカムがデビュー

 そして3回目の対戦はこのフランスカップベスト8決定戦の3日前のリーグ戦の第26節、パリサンジェルマンのホームゲームである。この試合はロサンジェルス・ギャラクシーから移籍してきたデビッド・ベッカムがフランスでデビューするのではないかということで、両チームのファンならずとも注目した。気温零度という中でのキックオフセレモニーはかつてブラジル代表として活躍したロナウドが行う。そして先制点はパリサンジェルマンであった。前半の11分、ルーカスの放ったシュートがマルセイユのジョイ・バートン、さらにニコラ・ヌクルに当たり、スティーブ・マンダンダの守るゴールの中に吸い込まれていく。パリサンジェルマンは相手のオウンゴールで先制点を奪ったが、得点後以上の歓声となったのが76分のことである。ハビエル・パストーレと交代し、ベッカムがピッチに入ってきた。そしてロスタイムの91分、ベッカムが見せ場を作る。イブラヒモビッチが今季出場23試合で22得点目となるゴールを決め、パリサンジェルマンは2-0と勝利する。

■フランスカップでもズラタン・イブラヒモビッチの活躍でパリサンジェルマンが勝利

 このようにパリサンジェルマンが2勝1分と勝ち越し、本拠地パルク・デ・プランスでは無失点で連勝しているが、このマルセイユに対する優位性の原動力はイブラヒモビッチであり、出場した3試合で3得点をあげている。
 ベッカムが移籍後初めて先発するということで、スペインでもこの1戦はテレビ中継されることになった。ブレーズ・マツイディと守備的MFのコンビを組んだベッカムは大活躍、面白いようにパスを通す。ベッカムの加入によりリズムをつかんだパリサンジェルマンは34分にイブラヒモビッチがGKのマンダンダの両足の中を抜くシュートで先制点をあげる。さらに後半の64分にはマルセイユのジェレミー・モレルがイブラヒモビッチにペナルティエリア内でファウル、これで得たPKをイブラヒモビッチ自身が決めてパリサンジェルマンはホームでのマルセイユ戦、いずれも2-0というスコアで3連勝、シーズン終盤に向けてタイトルの夢が膨らんできたのである。(続く)

このページのTOPへ