第1559回 フランスカップ優勝はボルドー(1) 準決勝の勝者はエビアンとボルドー
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■セミファイナルストは中位2チーム、降格圏内2チーム
フランスの今シーズンの最終戦は5月31日のフランスカップの決勝である。本連載ではこれまでに準々決勝までの戦いを紹介してきたが、シーズン最後のタイトルとなるフランスカップの準決勝と決勝の模様を紹介しよう。
本連載第1543回で紹介した通りフランスカップの準決勝進出チームはトロワ、ボルドー、エビアン、ロリアンの4チームである。この段階でリーグ戦は第36節まで終了しているが、4チームのリーグ戦での順位はロリアンが8位、ボルドーが9位が中位におり、エビアン18位、トロワ19位と降格圏内にいる。中位の2チームもリーグ戦の成績で来季のチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに出場することはできず、まさに最後のタイトルとなる。また、18位以下の2チームにとっては降格のリスクはあるものの、フランスカップというビッグタイトル獲得のチャンスを逃すわけにはいかない。
■大雨で延期となったトロワ-ボルドー戦
フランスカップの準決勝の組み合わせは5月7日にトロワ-ボルドー戦、8日にエビアン-ロリアン戦となり、降格圏内にあるチームが中位のチームを迎える構図になった。ホームで戦うチームにとってはリーグ戦の残りの試合も重要であるがホームゲームで力を抜いて敗れるわけにはいかず、エンジンフル回転で臨むことになる。
しかし、5月7日にトロワで行われる試合は数日前からこの地方に降り注ぐ雨の影響で、洪水の危険性があると判断して延期になった。当初から洪水の心配はあったが、試合の当日まで現地では試合を開催しようとしていただけにファンはちょうど1週間後の5月14日に試合が延期され気勢をそがれる形となった。
■リーグ戦で調子を落としているエビアンが大勝し、初の決勝進出
その翌日の5月8日にエビアンとロリアンの試合が行われた。エビアンはこの準決勝の直前にリーグ戦でトロワと対戦、トロワに0-1に敗れ順位が17位から18位に落ち、逆にトロワは最下位から19位へと順位を上げている。エビアンはフランスカップ準々決勝でパリサンジェルマンにPK戦で勝利した後、リーグ戦で3連敗となり、順位を16位から18位へと下げてきているが、再びフランスカップになり、パリサンジェルマンを破った勢いを取り戻した。10分にミロシュ・ニンコビッチが先制点をあげると20分にはコートジボワール代表のヤニック・サグボが追加点、さらに33分には右サイドからサグボがクロスをあげ、ケビン・ベリゴーが3点目をあげる。さらに試合終盤の79分には今度は左サイドからのクロスをバウイアが決めて4-0と大差で勝利する。エビアンは下位でありながら大勝することもあり、4点以上得点をあげたことは今季のリーグ戦でも2回ある。潜在的な得点力のあるチームが機能し、エビアンは初めてスタッド・ド・フランスのピッチを踏むことになったのである。
■ボルドー、オウンゴールで逆転勝ち
その翌週に大雨のため延期になったトロワ-ボルドー戦が行われた。トロワは延期となった試合の後に行われたリーグ戦の第36節ではアウエーでアジャクシオに勝利し、今季初めてリーグ戦での連勝となる。トロワは今季リーグ戦ではし第2節以降ずっと降格圏内にある。この終盤戦での連勝で調子を上げ、フランスカップ獲得と1部リーグ残留という2つの夢を追いたいところである。
一方のボルドーであるが、今季はヨーロッパリーグのグループリーグを首位で通過、リーグ前半戦を7位で折り返したが、ヨーロッパリーグは決勝トーナメントの2回戦でベンフィカに敗退、リーグ戦でも足踏みが続き、後半戦は思うように勝ち点を積み上げることができず、不本意な戦いが続き、このフランスカップを獲得したいという意志は強い。
1週間延期されたためその4日後に全く同じカードが組まれるという偶然もあり、両チームともこの第1戦で勝利したいところである。先制点はトロワ、7分に先制するが、ボルドーは41分にシェイク・ディアバテのゴールで追いつく。そして後半に入り63分、ボルドーはマリアーノがゴール前にロングパス、これをトロワのベテランストッパーのジェレミー・ブレシェがクリアミス、クリアボールが同僚のフローラン・ジャルジャに当たり、跳ね返ったボールがゴールイン。ボルドーが逆転勝ちを収めたのである。(続く)