第1799回 秋の王者のマルセイユが消えたフランスカップ(1) 1部勢同士が対戦した4試合
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■今年も新年最初の試合はフランスカップベスト32決定戦
新年の訪れとともに、サッカー界は後半戦を迎える。国内リーグ戦は前回までの本連載で紹介した通り、新年を迎えて後半戦となる。チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグは年が変わってから決勝トーナメントとなる。そして今回から紹介するフランスカップは新年から1部リーグのチームが参戦してくる。
これらの試合のうち、新年になって最初に行われるのがフランスカップである。1部勢20チームを加えたベスト32決定戦は1月3日から5日にかけての2015年最初の週末に各地で32試合が行われた。例年このベスト32決定戦で注目を集めるのがジャイアントキリングであるが、1部勢同士の対戦もある。ベスト32決定戦に出場する64チーム中20チームが1部勢であるが、1部勢同士のカードは4カードであり、8チームが1部のチームと対戦する。1月3日のバスティア-リール戦、1月4日のボルドー-トゥールーズ戦、RCランス-リヨン戦、1月5日のモンペリエ-パリサンジェルマン戦である。
前半戦を折り返した時点で2位のリヨン、3位のパリサンジェルマン、6位のボルドーと上位のチームが出場する。
■降格圏内のバスティアがリールに勝利、年末に大敗したボルドーが勝利
1月3日の土曜日、この日最も遅くキックオフを迎えたのは20時45分開始のバスティア-リール戦である。バスティアは19位で降格圏内、チャンピオンズリーグにも出場したリールはテニスのデビスカップ開催のために1試合未消化であるが13位、下位同士の対戦ではあるが、この日唯一の1部勢対決ということでゴールデンアワーのキックオフとなった。試合はホームのバスティアが2-0と勝利した。
翌日の日曜日の1月4日の1部勢対決はいずれも14時15分キックオフ、ボルドー-トゥールーズ戦、RCランス-リヨン戦の2試合である。ボルドーとトゥールーズは今季はリーグ戦だけではなく、リーグカップでも対戦しており、2試合ともボルドーが勝利している。トゥールーズはリーグ戦の順位は15位であり、順位の上では上位のボルドーであるが、気になるのは前回の本連載で紹介した昨年のリーグ最終戦、ホームでリヨンに0-5と大敗した試合である。この大敗からチームが立ち直っているのか、新年最初の試合を心配げにシャバン・デルマス競技場に集まったファンは8000人に満たなかった。そのファンの心配を払拭するようにボルドーは立ち上がりから好調で10分にPKでトマ・トゥーレが先制点、さらに後半に入って71分にアブドゥ・トラオレが追加点をあげる。トゥールーズの反撃を84分のPKだけにとどめ、2-1と勝利し、2年ぶりのフランスカップ優勝へ好スタートを切った。
■攻撃力が健在のリヨン、RCランスを振り切る
昨年のリーグ最終戦でボルドーに大勝したリヨン、引き続いてのアウエーゲームでもその勢いは衰えていなかった。5分にナビル・フェキルが先制点をあげると、14分にはアレクサンドル・ラカゼットがPKで追加点、さらに30分位はムハマド・ダボが3点目をあげ、大量3点のリードをあげる。RCランスも76分にPKで1点を返し、試合終了間際の90分にはアダモ・クリバリーがゴールを決め、1点差に追い上げるが5分間のロスタイムにゴールをあげることはできず、リヨンが3-2と振り切る。この日はリーグ戦で上位の2チームが勝利した。
■パリサンジェルマンはアウエーでモンペリエに完勝
そして1月5日のモンペリエ-パリサンジェルマン戦は昨年のリーグ最終戦と同じ顔合わせで舞台だけが入れ替わっている。首位浮上のチャンスのあったパリサンジェルマンはモンペリエ相手にスコアレスドロー、久しぶりのノーゴールで首位浮上どころかリヨンと入れ替わって3位に陥落している。また、昨年のフランスカップでもパリサンジェルマンはモンペリエに敗れており、苦手意識を持ってもおかしくはない。
前半こそ両チーム無得点であったが、後半65分にクレマン・シャントームが先制するとパリサンジェルマンの勢いは止まらない。79分にズラタン・イブラヒモビッチ、91分にルーカスがゴールを決めて、3-0と大勝し、好スタートを切ったのである。(続く)