第1968回 荒れに荒れたフランスカップ (2) 1部勢対決はGFCアジャクシオ、マルセイユ、ボルドーが勝利
5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■12月以降はベロドロームで勝利のないマルセイユ
前回の本連載ではフランスカップベスト16決定戦の中でわずか12日間の中に3回も対戦することになるパリサンジェルマン-トゥールーズ戦を紹介したが、1部勢同士の対戦はこれ以外にGFCアジャクシオ-ギャンガン、アンジェ-ボルドー、マルセイユ-モンペリエの4試合があった。
これらの中でなんといっても注目はマルセイユの試合であろう。地中海に臨む南仏の都市のクラブ同士の対戦となった。
パリサンジェルマンのライバルであるマルセイユ、ヨーロッパリーグのグループリーグを勝ち抜いて2016年を迎え、リーグカップもベスト8決定戦に勝利して、数字の上ではパリサンジェルマン同様、四冠を狙うことができたが、本連載第1965回で紹介した通りリーグカップ準々決勝ではトゥールーズに敗れてしまう。また、マルセイユは本拠地ベロドロームでは昨年11月26日のヨーロッパリーグのフローニンゲン(デンマーク)戦以来かれこれ2月近く勝利から見放されている。リーグ戦第21節を終えた時点のマルセイユの勝ち点は29、首位パリサンジェルマンの57のほぼ半分である。そのパリサンジェルマンがトゥールーズを下した翌日、マルセイユは本拠地にモンペリエを迎えることになる。
片やモンペリエもリーグ戦前半戦の成績は15位、ローラン・クルビス監督が辞意を表明し、かつてDFとしてフランス代表にも名を連ねたパスカル・バイユが監督に就任するが、新監督になってリーグ戦ではボルドーとバスティアに連敗している。
■ベロドロームに集まった3万7000人の観衆の声援に応えたマルセイユ
このように調子を落としたチーム同士の対戦となったが、ベロドロームには3万7000人以上の観客が集まった。地元ファンの歓声に支えられたマルセイユが優勢に試合を展開する。41分にマルセイユはゴール前でレミ・カベラからボールを受けたジョルジュ・ケビン・ヌクドゥがシュート、これをモンペリエのストッパーがオウンゴール、先制点をあげる。マルセイユは後半も攻め続け、55分にブリース・ジャジェジェが追加点をあげ、2-0と勝利する。これまでに最多の10回の優勝を誇るフランスカップに一歩近づいたのである。
■今季1部に初昇格のGFCアジャクシオ、カリド・ブタイがハットトリック
GFCアジャクシオは今季1部に初昇格した。初昇格ながらこの時点で13位であり大健闘と言えるであろう。対するギャンガンは今季のリーグ戦では18位と降格圏内にいる。またGFCアジャクシオは4年間のフランスカップでは準決勝に進出した。この模様は本連載の第1385回と第1386回で紹介しているが、準決勝で優勝したリヨンに敗れたとはいえ、当時ナショナルリーグに所属していた「もう1つのアジャクシオのチーム」の快挙は記憶に新しい。
このGFCアジャクシオが近年のフランスカップで2009年と2013年の2回優勝したギャンガンを圧倒する。5分に先制点を決めたカリド・ブタイが21分、48分にも得点をあげ、ハットトリックの活躍でベスト16に入る。GFCアジャクシオを率いるのはティエリー・ローレイ、かつてモンペリエで活躍し、フランス代表歴もあるがフランスカップは決勝に2度進出(1987年マルセイユ、1994年モンペリエ)しながらいずれも敗れている。自らが選手として届かなかったフランスカップにあと4勝となった。
■9戦負けなしのボルドー、アンジェを圧倒
最後に紹介するアンジェ-ボルドー戦はリーグ戦の順位よりもチームの勢いが勝った結果となった。アンジェはこの時点でリーグ戦では3位である。対するボルドーは上位の常連でありながら、今季はヨーロッパリーグはグループリーグで敗退、リーグ戦も10位と順位表の中盤をうろついている。しかし、ボルドーは12月2日にバスティアに負けたのを最後に9戦負けなしで現在4連勝中である。ボルドーはリーグ戦とはメンバーを入れ替えたが、アンジェを圧倒し、前半ロスタイムにジュシエが先制点を挙げ、後半もエンゾ・クリベリが追加点、アンジェの反撃を1点に抑えて、16強入りしたのである。(続く)