第1977回 8強が決まったフランスカップ(3) パリサンジェルマン、マルセイユも8強入り

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今季4回目の戦いとなるパリサンジェルマン-リヨン戦

 前回の本連載は2月10日に行われた4試合のうち3試合について紹介したが、最後の1試合が最も注目を集めた試合であった。そのカードはパリサンジェルマン-リヨンである。パリサンジェルマンは、国内のリーグ戦では独走し、それ以外に国内外で3つのカップ戦を戦っているが、フランスカップではベスト32決定戦から参戦し、初戦こそCFAのワスカルと対戦したが、ベスト16決定戦ではトゥールーズに逆転勝ちしてこのリヨン戦を迎える。またリーグカップではベスト8決定戦から参戦し、サンテチエンヌ、リヨンとトゥールーズに勝利して決勝進出、そして国外ではチャンピオンズリーグのグループリーグを勝ち抜いてイングランドのチェルシーとベスト8をかけて戦うことになっている。
 この組み合わせを見ていただいてお分かりのとおり、2つの国内カップ戦ではトゥールーズとリヨンと再戦することになる。トゥールーズはパリサンジェルマンの前に連敗したが、リヨンはパリサンジェルマンのタイトル総取りを阻止したいところである。このところのカップ戦で非常に強いパリサンジェルマンであるが、2011-12シーズンの準々決勝ではリヨンがパリサンジェルマンを2-1と下している。また、前半戦のリーグ戦では5-1とパリサンジェルマンが大勝、リーグカップ準々決勝で2-1といずれもパルク・デ・プランスで敗れている。さらにシーズン開幕前のチャンピオンズトロフィーも勝利したのはパリサンジェルマンであり、リヨンは不名誉な連敗をストップしたい。

■直前のリーグ戦ではよい成績を残した両チーム

 パルク・デ・プランスはこの日も満員の観衆で埋まる。3万5000人のシーズンチケットホルダーのうち多くのファンがこの試合を身にこれらなかったが、チケットのリセールを最安値は5ユーロで行い、いつも通り立錐の余地のない中でキックオフとなった。
 昨年末以来調子を落としていたリヨンも2月に入ってボルドーとアンジェに連勝し、このパリサンジェルマン戦を迎える。一方パリサンジェルマンは国内の試合では今季は負け知らず、そして3日前にはリーグ戦でライバルのマルセイユに勝利し、次週にはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントでイングランドのチェルシーと対戦する。

■ズラタン・イブラヒモビッチの2ゴール等でパリサンジェルマンが圧勝

 試合は前半からパリサンジェルマンのペースとなるが、リヨンのGKのアントニー・ロペスの活躍とパリサンジェルマンが好機を逃したこともあり、前半は両チーム無得点で後半を迎える。
 後半に入り、まず得点機を作ったのはリヨンであったが、パリサンジェルマンはCKに逃れる。そして先制点を奪ったのはパリサンジェルマンのCFのズラタン・イブラヒモビッチであった。63分に左サイドに回ったルーカスが、かつてパリサンジェルマンに所属したリヨンの右サイドDFのクリストフ・ジャレをかわしクロスを入れる。このクロスに合わせたイブラヒモビッチが先制点、さらにその4分後に今度は右サイドからのクロスをイブラヒモビッチは左足でゴールを決め、2点差とする。リヨンはその直後にマチュー・バルブエナを投入するが反撃はならず、逆に75分にパリサンジェルマンはアドリアン・ラビオが追加点をあげ、3-0と大勝した。

■マルセイユはトレリサックを下し4年ぶりの8強入り

 2月11日には最後の試合が行われ、ベスト16決定戦でリールをPKで下したトレリサックがマルセイユを迎えた。この両チームは6年前にもベスト32決定戦で対戦しており、当時はペリグーで試合を行ったが、今回はより大きな競技場ということでボルドーのシャバン・デルマス競技場で行われた。先述のとおり直前のリーグ戦でパリサンジェルマンに敗れたマルセイユはフランスカップで勝ち進んでパリサンジェルマンを倒したいところである。
 マルセイユはトレリサックの守備にてこずったものの、前半の34分にロマン・アレッサンドリーニ、後半の87分には1月末にイングランドのサンダーランドから移籍してきたスティーブン・フレッチャーが移籍後初ゴールを決める。マルセイユは2-0と勝利して4年ぶりの準々決勝進出となった。CFA2部のトレリサックはフランスカップ8戦目で力尽きたのである。(この項、終わり)

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