第2116回 100年目を迎えたフランスカップ(1) 2部勢12チームが年を越す
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■100年目を迎えたフランスカップ
前回までの本連載では昨年12月までに行われたチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグのグループリーグの模様を紹介してきたが、年が明けて最初の試合は今年もフランスカップのベスト32決定戦である。今年はフランスカップが行われて100年目という節目の年であり、例年以上の注目を集めている。年末までに8回戦が終了し、いよいよ新年からは1部勢も参戦する。
■クレールフォンテーヌで試合前日を過ごしたロングオー
100年目ということで12月初めに行われた8回戦ではフランス協会から粋な計らいがあった。パリ近郊で試合を行うアマチュアチームのうち、抽選で1チームを試合の前日にクレールフォンテーヌに招待したのである。抽選で選ばれたロングオーは7部リーグに相当するPHのクラブであるが、試合前日に練習を聖地でできるという思わぬプレゼントに選手たちは大喜び、試合は4部に相当するCFAのクロワに0-7と大敗したが、選手たちにとっては一生の思い出となったのである。
■初戦の7回戦で20チーム中6チームが格下のチームに敗れた2部勢
フランスカップというとジャイアントキリングが話題になる。このところ優勝こそ1部勢が占め、現在パリサンジェルマンが2連覇中であるが、2012年には3部に相当するナショナルリーグのクビリーが決勝に進出したことは記憶に新しい。ただ、元気がないのが2部勢である。2部チームの優勝はこれまでにわずかに2回、1959年のルアーブルと2009年のギャンガンだけであり、近年は一昨年にオセールが決勝に進出したくらいで上位進出も少ない。
2部勢は11月中旬に行われた7回戦から参戦し、12月初旬に行われた8回戦にも勝ち抜いて年を越すことになる。7回戦では2部勢同士の対戦はなく、20チームすべてが3部リーグに相当するナショナルリーグ以下のチームと対戦したが、20チーム中14チームが順当勝ちした。足元をすくわれたのはアミアン、ブールアンブレス、オルレアン、ニーム、ツール、ソショーの6チームである。ソショーは昨季は準決勝に進出しており、今季のリーグ戦でも上位に入っているが、5部に相当するCFA2部のポンタリエに敗れてしまった。またアミアンもリーグ上位でホームで戦ったがシャンブリーに0-2と敗れている。それ以外の4チームはリーグでも下位であり、調子を落としている中で下位のリーグのチームに敗れたと言えるであろう。
■リーグ戦の上位勢は順当に8回戦も突破
12月上旬に行われた8回戦でも2部勢同士の対戦はなく、出場14チームがナショナルリーグ以下の挑戦を受けることになった。レッドスターとバランシエンヌが敗れたが、それ以外の12チームが年を越すことになった。
2部リーグの前半戦の順位はブレストが勝ち点38で首位、2位は勝ち点2差でスタッド・ド・ランスが追う。3位はRCランス、4位はストラスブール、5位はソショーである。以下6位トロワ、7位アミアン、8位ルアーブル、9位ニーム、10位クレルモンというのが上半分の順位である。この中でソショー、アミアンとニームを除く7チームがベスト32決定戦に臨む。2部は1部に比べて差が付きにくい構造となっており、前半戦の1部の首位のニースの勝ち点が44であるのに対し、ブレストは38、そして1部では前半戦の得失点差が10点以上のチームが首位のニース、2位モナコ、3位パリサンジェルマン、4位リヨンの4チームがあるが、2部では最高が3位のRCランスの+7であり、一桁のチームばかりである。
このような2部においてフランスカップで上位陣を倒すことによって混戦から抜け出すきっかけを作りたいところである。
1部勢20チームが参戦するベスト32決定戦の組み合わせ抽選は100年目ということでエッフェル塔で華やかに行われた。2部勢で1部勢に挑戦するカードが4つ、ルアーブルがギャンガン、クレルモンがボルドー、ACアジャクシオがモナコ、RCランスがメッスに挑戦する。また2部勢同士の対戦が1カード、オセール-トロワ戦である。上位勢との対戦で真価が問われるのである。(続く)