第2117回 100年目を迎えたフランスカップ (2) 1部勢に1勝3敗の2部勢
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■1部2位のモナコに競り負けたACアジャクシオ
前回の本連載では年明けから1部勢が参戦するフランスカップにおける2部勢の状況を紹介したが、今回からは1月6日から始まったベスト32決定戦で2部勢の1部勢挑戦を中心に紹介していこう。前回の本連載で紹介したとおり、勝ち残った2部勢12チームのうち1部勢に挑戦するのは4チームである。
初日の6日にまず挑戦するのがACアジャクシオである。2部で15位のACアジャクシオは1部で2位、チャンピオンズリーグのグループリーグでも首位突破を決めたモナコとアウエーで対戦する。ACアジャクシオにとっては荷の重い相手であるが、昨季のフランスカップでモナコはベスト8決定戦で2部のソショーに敗れている。またACアジャクシオはベスト16決定戦で1部のサンテチエンヌに敗れているが、延長戦までもつれ込んだ。観客はわずか2000人という少なさであったが、モナコは立ち上がりからACアジャクシオのゴールに襲いかかる。守勢一方のACアジャクシオはマンダンダ兄弟の弟のGKはリフィ・マンダンダの好守で得点を許さず、カウンターアタックに活路を見出す。しかし、19分にモナコはコロンビア代表のラダメル・ファルカオのゴールで先制する。後半もモナコペースの試合が続いたが、64分にモナコはペナルティエリア内でハンド、このPKをACアジャクシオは35歳のベテラン主将のヨアン・カバリが決めて同点に追いつく。ところがモナコはそのゴールの1分後にバレリー・ジェルマンが勝ち越し点をあげる。4分前に交代出場してきたジェルマンは値千金のゴールをあげた。結局、モナコが2-1と勝利、1部勢に最初に挑戦したACアジャクシオは敗退した。
そしてこの日はそれ以外に2試合が行われたが、いずれも2部勢が下位のナショナルリーグのチームと対戦するものであったが、ラバルはアバランシュに、GFCアジャクシオはレエルビエに敗れ、新年最初のサッカーデーは2部勢が3戦3敗してしまったのである。
■アントワン・コンブアレ率いるギャンガンはルアーブルを下す
その翌日の7日はルアーブルがギャンガンに挑んだ。ギャンガンは1部リーグ5位、ルアーブルは2部リーグ8位である。ギャンガンのホームゲームで行われたが、ギャンガンを率いるのはアントワン・コンブアレ、かつてパリサンジェルマンの選手として2回、監督として1回、フランスカップ優勝の経験がある。ギャンガンは前半の終わりの42分にムスタファ・ディアロが先制点をあげ、後半に入って60分位ジェレミー・ブリアンが追加点をあげている。ルアーブルは後半のアディショナルタイムになってようやくマリ代表のマナ・ダンベレが1点を返すにとどまり、2部勢は1部勢に2日連続して同じスコアで敗れたのである。
■10位対決は1部のボルドーが終盤の決勝点で勝利
さて、8日の日曜日は1部勢と2部勢の試合が2試合同時に14時15分にキックオフされた。2部10位のクレルモンは1部10位のボルドーを迎える。同じリーグ10位であるがクレルモンが順位を上げてきたのに対し、ボルドーは順位を下げてきた。上り調子の2部チームと下り調子の1部チームの対戦となったが、ボルドーは年末のリーグカップでリーグ首位のニースを3-2と下し、この日も試合を支配する。延長戦かと思われた87分にマルコムが決勝点を挙げて、ボルドーが勝利したのである。
■川島永嗣の起用も功を奏さず、1部19位のメッスは2部3位のRCランスに完敗
2部勢で唯一1部勢に勝利したのはRCランスであった。RCランスはリーグ3位と昇格圏内、対するメッスはリーグ19位と降格圏内である。メッスは今季1部に昇格したが、昇格を決めたのはこのRCランスとのアウエーゲームであった。0-1で敗れたが昇格が決まるという幸運な場所であったが、厳しい結果となった。メッスはGKを通常のトマ・ディディロンに代えて日本の川島永嗣を起用する。RCランスが試合を支配し、前半は無得点。しかし、後半に入って63分と90分に得点を奪い、2-0と勝利したのである。(続く)