第2146回 8強の決まったフランスカップ (2) ベスト16入りした1部勢
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ナショナルリーグのシャンブリーに苦戦したモナコ
前回の本連載ではベスト16に残った下部リーグのチームを紹介したが、ベスト16入りした1部勢を紹介しよう。
ナショナルリーグ勢との対戦で苦戦した1部勢が多かった。リーグで首位のモナコはナショナルリーグのシャンブリーと対戦、人気チームとの対戦とあってシャンブリーからボーベに舞台を移して7500人のファンが奇跡を期待する。モナコは前半に2点を入れて、後半立ち上がりの48分にムバッペがゴールを決めて3-0とリードを広げ、誰しもが勝負あったかと思われたが、シャンブリーは57分、81分に得点し、詰め寄る。そしてアディショナルタイムの93分についに同点に追いつき、試合は延長戦に入る。延長戦でも似たような展開となり、モナコは96分にケビン・エンドランが勝ち越し点、103分にもグリックが追加点を入れ、2点のリードを奪う。サイドの変わった111分にシャンブリーが反撃の1点、ドラマは再現するかと思われたが、モナコは5-4で逃げ切り、ベスト16入りしたのである。
■ギャンガンもロリアンもナショナルリーグ勢に延長戦で勝利
優勝経験のあるギャンガンもナショナルリーグのレゼルビエ相手に苦戦した。77分に得点を奪ったギャンガンであるが、アディショナルタイムに追いつかれて、延長戦となる。延長後半にマチュー・ボドメルの決勝点で辛勝する。
ベスト32決定戦で当時リーグ首位のニースを破った最下位のロリアンはナショナルリーグのシャトールー相手に先行される展開となる。前半を0-1で折り返し、後半に入って49分に追いついたものの、62分に勝ち越しを許す。77分に追いつき、延長後半の117分にようやくこの試合で初めてのリードを奪い、ベスト16入りした。
前回から紹介してきたとおり、ベスト16決定戦で下位のリーグ勢と対戦した1部勢は軒並み苦戦しているのが特徴である。
■バスティア戦に続き、レンヌ戦も大勝したパリサンジェルマン
そしてベスト16決定戦となれば1部勢同士の豪華なカードも関心の的である。1部勢同士のカードは5カードである。
リーグ戦では勝ち点26で並ぶ11位のリールと12位のナントの戦いはアウエーのナントが優位に試合を進めた。しかし、勝ち残ったのはホームチームであった。81分にリールのディエゴ・カルロスをナントの守備陣が不用意な反則で倒してしまう。PKをセバスチャン・コルチャが決めてリールは1-0というスコアでベスト16入りを決めた。
ディジョンをホームに迎えたボルドーは終盤に追いつかれたが、アディショナルタイムのガエタン・ラボルドのゴールで勝ち抜いた。
また、国内タイトルを独占しているパリサンジェルマンはレンヌとアウエーで対戦する。1回戦のバスティア戦に続き、1部勢との対戦となったパリサンジェルマンであるが、この日も相手を寄せ付けなかった。27分にはチアゴ・モッタからのパスをユリアン・ドラクスラーが決める。2週間前にドイツのウォルフスブルクから移籍してきたドラクスラーにとってはチーム加入後初のゴールとなった。38分にはルーカスが追加点をあげ、後半に入ってもドラクスラーが68分に得点をあげ、さらに90分にはハビエル・パストーレからパスを受けたハテム・ベンアルファがネットを揺らし、2か月間リーグ戦で勝ちから見放されているレンヌに4-0と完勝、バスティア戦の7-0に次いで2試合連続の大勝となった。
■最大の注目カードはマルセイユが延長戦でリヨンを下す
そして最大の注目カードはマルセイユ-リヨン戦である。マルセイユで行われた試合には5万3000人の観衆が集まった。昨年の準優勝チームのマルセイユはホームでのリヨン戦が苦手である。この日は序盤から試合を支配し、24分にロッド・ファンニがヘディングシュートで先制する。しかし、王者復活の兆しのあるリヨンも64分にナビル・フェキルのパスからコランタン・トリッソが得点して追いつき、試合は延長戦に入る。決勝点は109分、マルセイユのマテウス・ドリアが正面からゴールを決めて、2-1とリヨンを振り切り、ベスト16入りしたのである。(続く)