第2148回 8強の決まったフランスカップ (4) 1部勢対決を制したボルドー、モナコ

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1季だけ1部でプレーしたニオール

 前回の本連載では下部リーグのチームのベスト8決定戦での戦いを紹介した。ベスト8決定戦に2部勢は3チーム残ったが、そのうち2チームがナショナルリーグ以下のチームと対戦し、オセールが4部に相当するCFAのフレジュス・サンラファエルに敗れ、ストラスブールがナショナルリーグのアブランシュにPK戦で敗れている。
 2部勢で唯一1部勢と対戦したのがニオールである。ニオールはホームゲームであるが、迎え撃つのはパリサンジェルマンである。今季はリーグ戦こそ首位ではないが、このところタイトルを独占、しかも国内カップ戦では無類の強さを誇る。現在2部で12位のニオールは、パリサンジェルマンと対戦したことがある。それは今から30年前の1987-88シーズンのことである。1925年創立と100年近い歴史を誇るニオールのクラブ史上唯一の1部経験がこのシーズンであった。ニオールで行われた試合ではパリサンジェルマンが2-1と勝利したが、パリでの試合はニオールが3-1と勝利している。これまでフランスカップでも最高成績が1990-91シーズンの準々決勝進出であり、ビッグクラブを倒せばその成績に並ぶ。

■途中出場のエディンソン・カバーニ、ハビエル・パストーレがゴールをあげる

 パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグも控えているとあって、主力を外した布陣でニオールと対戦する。試合は攻めるパリサンジェルマン、守るニオールという構図となり、ニオールの守備を控えメンバー中心のパリサンジェルマンは崩すことができない。終盤になりパリサンジェルマンはエディンソン・カバーニ、ハビエル・パストーレを投入し、パストーレが78分にFKから得点をあげ、均衡を破る。さらにアディショナルタイムの92分にはパストーレのCKからカバーニが追加点をあげる。パリサンジェルマンは途中出場の主力が残された短い時間の中にゴールを決めて、順当勝ちして8強入りしたのである。
 このベスト8決定戦では1部勢同士のカードが2つ組まれた。2月28日のボルドー-ロリアン戦、3月1日のマルセイユ-モナコ戦である。

■リーグ上位のボルドーが順当勝ち

 リーグ戦の成績はボルドーは5位、対するロリアンは最下位である。しかし、ロリアンがベスト32決定戦でリーグ戦で首位だったニースを破ったことを忘れてはならない。試合は低調なリズムの中で展開する。アウエーのロリアンの方がいくらかチャンスをつかんだものの、前半は両チームとも無得点に終わり、観客が7000人しか集まらなかったことはこの展開を予想していたのであろうか。
 両チームとも後半開始時に選手交代し、ロリアンで交代出場したジェレミー・アリアディエールが仕事をする。47分にアリアディエールのアシストからバンジャマン・ジャンノが先制点を奪う。これに対して60分過ぎにボルドーはガエタン・ラボルドのゴールで同点に追いつき、72分にはラボルドが逆転ゴールを決めてボルドーが2-1と勝利し、8強入りしたのである。

■4ゴールをあげたモナコがマルセイユを振り切る

 最も注目を集めたマルセイユ-モナコ戦は予想を上回る熱戦となった。このカードは1991年の決勝の再現である。この時はモナコが勝利しているが、それ以来モナコはフランスカップ優勝から遠ざかっている。マルセイユは今季モナコとはリーグ戦での対戦を終えており、アウエーで0-4、ホームで1-4と連敗している。さらに直前のリーグ戦のパリサンジェルマン戦で1-5と大敗しており、地元ファンの前で名誉を挽回したいところである。冬の平日の夜であるがベロドロームには3万5000人のファンが集まった。
 モナコはジョアン・モウチーニョが先制するが、前半終了間際にマルセイユはディミトリ・パイエのゴールで追いつく。後半に入り66分にモナコが勝ち越すが、84分にマルセイユが追いつき、試合は延長戦となる。延長前半の104分にモナコはバンジャマン・マンディのゴールで3たびリード、しかし、延長後半の111分にマルセイユはレミ・カベラが3回目の同点ゴール。
 最後に笑ったのはモナコであった。トマ・ルマールが113分にゴールを決めて4-3と勝利し、今季3回の対戦で3回とも4点を取って勝利、ベスト8入りしたのである。(この項、終わり)

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