第2283回 ベスト16の決まったフランスカップ (1) 過密日程を戦う3チーム
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■1月は最高8試合、最低5試合を戦う1部勢
本連載では年が明けてから最初の週末に行われたフランスカップのベスト32決定戦、そしてその次の週の半ばに行われたリーグカップの準々決勝の模様を紹介した。すなわち、リーグカップの準々決勝に進出した8チームはリーグ戦の後半戦の開幕戦がウィンターブレイク明けの3試合目になる。
そして1月は代表もクラブも国際試合がないことから、国内のカップ戦の試合が集中的に行われる。フランスカップのベスト32決定戦とベスト16決定戦、リーグカップの準々決勝と準決勝が予定されている。
一方、リーグ戦は2番目の週末の1月13日前後に第20節、そして週半ばの1月17日前後に第21節、3番目の週末の1月20日前後に第21節、最後の週末の1月27前後に第22節と4試合が予定されている。つまり、1月の試合数は最高8試合、最低5試合となるのである。
■8試合を戦うパリサンジェルマン、モナコ、モンペリエ
この8試合すべてを戦うのがパリサンジェルマン、モナコ、モンペリエの3チームである。過密日程であるということはそれだけチームの成績がいいということであり、パリサンジェルマンは2月以降はチャンピオンズリーグが待っているが、モナコとモンペリエは国内タイトルに専念することからこの1月の戦いは正念場である。
■2部勢に敗れたトゥールーズとナント
フランスカップのベスト16決定戦は火曜日の1月23日から木曜日の25日にかけて行われた。休み明けのベスト32決定戦では1試合しかジャイアントキリングはなかったが、リーグ戦の合間に行われるベスト16決定戦では、1部勢2チームが2部勢に敗れた。まず23日にトゥールーズが2部のブール・アン・ブレスに0-2と敗れたほかに、ナントも2部のオセールに敗れた。23日に登場した1部勢はこの2チームとカーン、マルセイユの4チームであったことから、半数の1部勢が下部リーグのチームに敗れている。
また、カーンも5部に相当するカネ・アン・ルシヨンに先行され、追いつき、延長になっても決着がつかず、PK戦で勝利するという辛勝であった。23日に登場した1部勢でトップクラブにふさわしい戦いをしたのは2部のエピナルをアウエーで2-0と下したマルセイユだけであった。
■シーソーゲームを制し、年が明けて無敗を保つモンペリエ
2日目以降の24日と25日には1部勢10チームが登場したが、そのうち下部チームと戦ったのはモンペリエとメッスだけであった。リーグカップでも勝ち残っているモンペリエは2部のロリアンをホームに迎えた。モンペリエは年初のフランスカップのベスト32決定戦こそ5部に相当するN3のポンタルリエにPK勝ちと辛勝であったが、年が明けてからリーグ戦では1勝2分、リーグカップで1勝といまだ無敗である。試合は7分にロリアンが先行するが、10分にモンペリエが追いつく。33分に再びロリアンが勝ち越し点を奪い、前半を2-1とリードして折り返す。後半に入ってモンペリエは55分に追いつき、60分に逆転、ついにこの試合で初めてのリードを奪う。ところが62分にロリアンが追いつき、文字通りシーソーゲームとなる。その2分後、モンペリエはカシミール・ナンガがこの日2点目を記録し、勝ち越す。このままスコアは動かず、モンペリエはベスト16入りを決めた。そしてモンペリエはこの3日後にあるリーグ戦の試合ではパリでパリサンジェルマンに挑戦するのである。
リーグでは最下位のメッスは2部のトゥールと戦い、120分間ノーゴール、PK戦を制して1部の面目を保った。
そして残る4試合は1部勢同士の戦いである。その中でチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出場しなかったチーム同士の対戦が1カードだけあり、それがトロワ-サンテチエンヌ戦である。両チームともリーグ戦では下位であるが、成績上位でアウエーのサンテチエンヌが押し気味に試合を進めるが、結局PK戦となり、後蹴のトロワは最初のキッカーが失敗したが、残り4人が成功させ、劣勢の中から生き残ったのである。(続く)