第2315回 伏兵が決勝に進出するフランスカップ(1) 大勝してベスト8入りしたパリサンジェルマンとマルセイユ

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■カップ戦のスペシャリスト、パリサンジェルマンは2部のソショーと対戦

 前々回と前回の本連載ではボルドーで行われたリーグカップ決勝でパリサンジェルマンがモナコを下し、5年連続9回目の優勝を飾ったことを紹介した。カップ戦のスペシャリストのパリサンジェルマンはフランスカップ、リーグカップあわせて40試合連続で負けなし、フランスカップでも3連覇中である。本連載第2279回と第2284回で紹介したとおり、パリサンジェルマンは今季のフランスカップは初戦となるベスト32決定戦でレンヌ相手に6-1と大勝し、続くベスト16決定戦でも1部勢と対戦、ギャンガンを4-2と下している。
 第1戦、第2戦ともくじ運に恵まれず、1部勢との連戦となったパリサンジェルマン、盤石の強さで2月上旬に行われたベスト8決定戦に臨む。ベスト8決定戦には1部8チーム、2部4チーム、3部に相当するNから3チーム、4部に相当するN2から1チームの合計16チームが出場する。数字の上では1部勢と対戦する確率はほぼ半分であったが、パリサンジェルマンの相手は2部のソショーとなった。

■中国資本がファンに受け入れられないソショー

 ソショーは1933年のプロリーグ発足時のメンバーであり、長らく1部で活躍して古豪であり、1990年代の半ばに一時2部に低迷したものの、今世紀に入ってからは1部の座を保っていた。しかし、2014年に2部に降格してからは1部に復帰できない。中国資本となり、資金面でも期待されたが、2部で低迷が続いている。この試合でも中国資本に抵抗するファンが試合中に発煙筒を投げ込むなどして試合が中断した。ただ今世紀に入ってフランスカップ(2007年)、リーグカップ(2004年)の両タイトルで優勝している。今世紀に入って国内両カップを制しているのはソショー以外にはパリサンジェルマン、リヨン、ボルドー、ストラスブールだけである。

■アンヘル・ディマリアのハットトリック

 ソショーのホームゲームであったが、パリサンジェルマンは開始1分に先制点をあげたアンヘル・ディマリアが58分、62分にもゴールをあげるハットトリックを達成する。終了間際にGKのケビン・トラップがレッドカードを受けて退場し、ダニエウ・アウベスがキーパーグローブをつけてゴールを守るというハプニングがあったものの、4-1と大勝してベスト8入りする。

■マルセイユも2部勢相手に歴史的大勝

 パリサンジェルマンに対抗するように大勝したのがマルセイユである。マルセイユはこの時点でリーグ戦ではパリサンジェルマンとは勝ち点11差の2位、直接対決も残っていることから、望みをつなぐような試合をしたい。マルセイユの相手は2部のブール・アン・ブレス、アウエーで対戦した。9分にルイス・グスタボが先制点をあげたのがゴールラッシュの始まりであった。12分にディミトリ・パイエ、17分にルーカス・オカンポス、20分にはコンスタンティノス・ミトログルが鮮やかなヘディングシュートを決め4-0とする。ミトログルは40分にも追加点をあげて5-0で折り返す。後半になってもマルセイユの勢いは止まらず、48分と71分にオカンポスがゴールを決めてハットトリック、78分にはミトログルが得点をあげて2人目のハットトリック達成者となる。さらに試合終了間際にはクリントン・エンジエのPKで、最終スコアは9-0となる。
 フランスカップで1部勢のチームが9点を奪ったのは2001年1月のナント(相手は3部に相当するナショナルリーグのパシー)以来17年ぶりのことである。そしてマルセイユがあらゆる公式戦で9点差をつけて勝利したのは1948-49シーズンのフランスカップ、5回戦で当時地域リーグに所属していたシャンベリー相手に10-1と勝利して以来、実に69年ぶりの歴史的な大勝となったのである。
 そして何のいたずらであろうか、大勝してベスト8に進出したパリサンジェルマンとマルセイユは準々決勝で対戦することになったのである。(続く)

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