第2316回 伏兵が決勝に進出するフランスカップ(2) 常連パリサンジェルマンと新顔カーンが準決勝進出
7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ネイマール不在で再戦するパリサンジェルマンとマルセイユ
ベスト8に進出した人気の2チーム、パリサンジェルマンとマルセイユは2月28日に行われる準々決勝で対戦することになった。本連載第2301回でも紹介したとおり、両チームはリーグ戦でもその3日前の25日にパルク・デ・プランスで対戦しており、この試合は3-0とパリサンジェルマンが勝利している。ただ、この試合でパリサンジェルマンのネイマールは右足首を骨折し、長期離脱することになった。ネイマール不在となって最初の試合がネイマールが負傷したのと同じ相手、同じ場所、そしてそれが宿敵マルセイユとのホーム、パルク・デ・プランスでの試合とあれば両チームのファンならずとも関心の高まるところである。
■パリサンジェルマン、マルセイユを圧倒し準決勝進出
負傷のネイマールだけではなくパリサンジェルマンは大きく先発メンバーを入れ替え、7人が3日前の試合には先発していなかった。一方、マルセイユの選手の入れ替えは3人だけであった。しかし、この試合も3日前の再現となった。ネイマールに代わって入ったアンヘル・ディマリアが大活躍し、前半のアディショナルタイムにユルゲン・ドラクスラーのパスを受け、右足で先制点をあげる。そしてディマリアは後半開始早々の48分にも追加点をあげる。さらにパリサンジェルマンは81分にもエディンソン・カバーニがゴールを決め、終わってみれば3-0とリーグ戦と同じスコアとなった。しかし、リーグ戦ではマルセイユのシュートをしばしば浴びたが、この日はパスをつないでボール保持率も一方的でマルセイユにほとんど攻撃をさせることがなかった。また、同スコアであったが、リーグ戦には出場していなかったマルセイユのGKスティーブ・マンダンダの度重なる好セーブがなければ、スコアはさらに開いていたであろう。
■パルク・デ・プランスを苦手とするマルセイユ
一方のマルセイユはフランスカップはいいところなく敗れてしまったが、パルク・デ・プランスでの試合を苦手としているようで、これまでパルク・デ・プランスでパリサンジェルマンと対戦したことは10回、その戦績はパリサンジェルマンの7勝2分1敗(2分のうち1試合はパリサンジェルマンがPK戦で勝ち抜き、もう1試合は2回戦制の時代)である。またリーグ戦でも2015年10月の試合を最後にノーゴールが続き、フランスカップ優勝回数では10回を誇るマルセイユは1989年の優勝を最後に栄冠から離れ、マルセイユが10度目の優勝をした時には2回しか優勝していなかったパリサンジェルマンは3連覇して優勝回数を11回に伸ばしたのである。
■6年ぶりの優勝を目指すリヨンを下してカーンが初の準決勝進出
さて、ベスト8決定戦では1部勢同士の戦いが2試合あった。モンペリエ-リヨン戦とメッス-カーン戦である。モンペリエはリーグ戦で6位であるが、上位チームとの勝ち点差からリーグ戦の成績でヨーロッパリーグに出場するのは厳しく、このフランスカップにかけたい。一方のリヨンはリーグ戦4位、残された国内タイトルを獲得したい。この試合はリヨンが2-1と勝利、優勝した2012年以来6年ぶりに準々決勝に進出した。
もう1つの1部勢対決、リーグ戦最下位のメッスは11位のカーンを迎え、85分に追いつかれ、延長後半に勝ち越したが、直後に追いつかれ、PK戦にもつれこむ。ここでヒーローとなったのがカーンのGKブリース・サンバである。2本ストップする活躍でカーンが勝ち上がった。
そしてカーンとリヨンは準々決勝で対戦する。1部勢のモナコ、モンペリエに勝利したリヨン、2試合連続でPK戦を勝ち抜いたカーンの顔合わせ、リーグ戦でも勝利しているリヨンが有利かと思われたが、77分にカーンのイスマエル・ディオマンデが決勝点を決める。メッス戦の延長後半の同点ゴールに続く殊勲のゴールであった。カーンはクラブ史上初めて準決勝に進出したのである。(続く)