第2453回 ベスト8が決まったフランスカップ(1) N3のバスティア、カーンにPK戦で敗れる
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■今回から6月に開催されるアフリカ選手権
本連載ではこれまで奇数年の2月はアフリカ選手権を取り上げてきた。しかし、アフリカ選手権は今回から6月に行われるようになった。ワールドカップ、欧州選手権、南米選手権と同時期であり、すなわち欧州のシーズンの終了後である。これはシーズン中の欧州のクラブから多くの選手がアフリカ選手権に出場し、大きな影響のあるクラブの存在が無視できないものになったからである。1月から2月にかけてアジアカップが行われたが、欧州のクラブに所属する選手も多数出場しており、アジアカップの開催時期の変更も近い将来、議論となるであろう。
■2月初めにベストメンバーで行われたベスト8決定戦
そのような中で2月の初めにはフランスカップのベスト8決定戦が行われた。これまでであればアフリカ選手権に出場する選手を欠いた陣容で戦うチームもあったが、今年はこの影響を受けない環境の中で熱戦が繰り広げられた。
フランスカップの16強の顔ぶれであるが、1部からはパリサンジェルマン、リヨン、リール、レンヌ、カーン、ナント、ディジョン、トゥールーズ、ギャンガンの9チーム、2部からはメッス、オルレアンの2チーム、ナショナルリーグからはリヨン・ドゥシェールとビルフランシュの2チーム、N2からはビットレとクロワの2チーム、そしてN3からSCバスティアの1チームである。
■財政破綻でN3に強制降格したバスティア、カーンに競り負ける
最も下位のリーグであるN3に所属するSCバスティアであるが、本連載にもしばしば登場している。コルシカ島の強豪チームであり、1961年にはフランスカップで優勝、1978年にはUEFAカップで決勝に進出しPSVアイントホーフェンに敗れている。そして1部リーグには34シーズン、2部には17シーズン在籍しており、2017年までは1部に所属していた。しかしながら財政的な問題が付きまとうクラブでもあり、2014-15シーズン終了後には大物選手の川島英嗣の獲得の動きもあったが、財政問題で2部に強制降格という危険性もあった。2016-17シーズンでは1部で最下位となり、本連載第2187回では2部降格と紹介したが、財務的な問題が起こったうえ、ファンがしばしばトラブルを起こしている。このような状況から、52年ぶりにプロチームとしての資格を失い、アマチュアリーグへの強制降格を余儀なくされた。そして5部に相当するN3から再スタートすることになったのである。
降格初年の2017-18シーズンは2位に終わり、上位リーグに昇格することができなかったが、2年目となる今季は首位をキープしている。バスティアのベスト8決定戦の相手はカーンである。カーンはリーグでは17位と下位低迷、バスティアのホームゲームとあってジャイアントキリングを期待する1万人のファンが集まった。
試合は開始早々の4分、カーンがこの試合最初のCKからマリック・チョクンテがヘディングシュートで先制する。バスティアはようやくルイ・ポッジのシュートで70分に同点に追いつく。そして試合は延長戦に入る。延長戦に入っても既定の90分と同様にカーンが開始4分後に得点を奪う。ファンの声援を受けたバスティアは終了3分前の117分に同点に追いつき、ベスト8の座はPK戦に委ねられることになった。先蹴のカーンは5人全員が成功、一方のバスティアは4人目が失敗、5-3でカーンが1部の意地を見せた。
■3度目の挑戦でベスト8入りしたビットレ
N2から勝ち残った2チームのうちクロワは1部のディジョンを迎えることになった。クロワは4年前もベスト8決定戦に進出しており、今回ディジョンに勝利すれば、クラブ史上最高の成績となる。しかし、立ち上がりにPKで失点し、その後も得点を奪われ、0-3と完敗する。
一方、ベスト16決定戦で2部のルアーブルを破ったビットレは今度はナショナルリーグのリヨン・ドゥシェールと対戦する。リヨン・ドゥシェールが2点を先行したが、ビットレはここから3点を奪って逆転勝利、クラブ史上3回目のベスト8決定戦で初めて勝利したのである。(続く)