第2623回 四強の決まったフランスカップ(1) 下位チームに順当勝ちしたボルドー以外のリーグカップ早期敗退組
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランスカップ3試合、リーグカップ2試合が行われる1月
1月に行われたリーグカップの準々決勝と準決勝を過去2回の本連載で紹介したが、今回からはそれと並行して行われたフランスカップのベスト16決定戦から準々決勝までを紹介しよう。
フランスカップのベスト32決定戦は本連載の第2611回から第2611回で紹介した。1部勢についていえば、上位チームは順当に勝利し、降格を争う下位チームがジャイアントキリングに遭遇した。1月3日から1月6日にかけて行われたベスト32決定戦の直後の1月7日と8日にリーグカップの準々決勝が行われ、中2日あるいは中3日で戦ったことは本連載第2621回で紹介した通りである。1月11日と12日の週末にはリーグ戦の後半戦が開幕、第20節が行われたが、その次の1月18日と19日の週末はフランスカップのベスト16決定戦が行われる。そして週半ばの21日と22日にはリーグカップの準々決勝、リーグ戦の第21節は1月25日と26日の週末に行われ、その直後の週半ばの1月28日と29日にはフランスカップのベスト8決定戦が行われる。
■最大7試合、最少3試合となる1月の1部勢
つまり1月は4回の週末があるが、そのうちリーグ戦は2回しか行われず、それ以外の2回はフランスカップが行われる。それに加えて週の半ばにリーグカップが2回、フランスカップが1回行われる。つまり、1部のチームにとっては最大7試合(リーグ2試合、フランスカップ3試合、リーグカップ2試合)戦うことになるが、逆に3試合(リーグ2試合、フランスカップ1試合)しか戦わないチームも出てくる。このような強行スケジュールの中でどのように選手起用をするのか、そして下位リーグ勢がどのようなジャイアントキリングを見せるのか、ということがベスト16決定戦以降のフランスカップの見どころである。
■延長戦でナショナルリーグのポーに競り負けたボルドー
まずはリーグカップで昨年中に姿を消した1部勢の戦いから紹介しよう。 ベスト16決定戦は1月16日の木曜日から始まったが、初戦で波乱が起きた。ナショナルリーグのポーがボルドーを迎える。ポーというと映画監督のダビッド・オールホッフェンの出身地として知られているが、ポーは前身のクラブから通算すると今年で創立100周年を迎える伝統クラブである。リーグは3部が最高であるが、フランスカップではこれまでに3回ベスト8決定戦まで進出したことがあり、1992年には1部勢のニームを倒したこともある。ボルドーはリーグカップは12月にブレストに敗れて姿を消し、リーグ戦の後半戦もリヨンに敗れている。1万5000人の地元ファンの前でポーが優勢に試合を進める。ポーは23分に先制するが、ボルドーも41分に追いつく。しかし、すかさずポーは43分に勝ち越す。このままポーが逃げ切るかと思われたが、82分にボルドーが追いつき、試合は延長戦に。延長後半の117分に決勝点をあげ、22年ぶり4回目のベスト8決定戦進出を決めたのである。
■順当に勝利したマルセイユ、ニース、モナコなどの1部勢
その翌日の17日の金曜日にはマルセイユがナショナル2部のグランビルとアウエーで対戦する。人気チームを迎えるとあってグランビルはカーンに舞台を移し、2万人近い観客がジャイアントキリングを楽しみにする。マルセイユはベスト32決定戦でも同じナショナル2部のトレリサック相手にPK戦で辛勝したばかりである。試合はファンの期待通り、スコアレスで時計が進む。ところが75分にグランビルのウィリアム・セアが2枚目のイエローカードで退場となる。ここからマルセイユは一気にゴールをゴンザレス、ラドニッチ、パイエが連続で決め、3-0と勝利した。
リーグカップでは昨年10月に姿を消したニースは、ナショナルリーグのレッドスターと対戦した。レッドスターの本拠地ボーエ競技場は2024年のパリオリンピックに向けて改装中であり、十分な収容人員が確保できないため、ニースでの開催となった。ニースは前半に2点を奪い、後半は防戦一方であったが、レッドスターの反撃を1点に押さえて2-1と勝利し、6年ぶりにベスト8決定戦に進出した。
モナコはベスト32決定戦でトゥールーズを破ったナショナル2部のサンプリべ・サンイレールと対戦したが、難なく3-1と下した。
これ以外にアンジェはナショナル2部のルーアン、レンヌはナショナル3部のアトレチコ・マルセイユ、モンペリエは2部のカーンをそれぞれ下し、ボルドー以外は下位のチームに順当勝ちしたのである。(続く)