第2638回 フランスカップ準決勝(1) 組み合わせはリヨン-パリサンジェルマンとサンテチエンヌ-レンヌ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■オリンピック開幕とサッカーカレンダー

 コロナウイルスの感染拡大の影響はとどまらず、多くのスポーツイベントが延期となったが、F1のモナコグランプリのように延期から中止へとなったスポーツイベントもある。
 前回の本連載で6月から予定されていた欧州選手権、南米選手権は来年2021年に延期となったが、これは出場する選手の多くが所属する欧州のクラブの日程を消化するためである。UEFAはUEFAならびに所属各国の協会が主催する試合を6月末までに終える予定であったが、場合によっては7月末、あるいは8月末までにこの期間が延びる可能性は少なくない。7月24日には東京でオリンピックが開幕するため、それまでには欧州でのサッカースケジュールを終えることが望ましい。フランスの男子はオリンピックの出場権を獲得しているが、キリアン・ムバッペもオリンピックチームに加わる方向で調整を進めているところであった。オリンピックは完全な形で開催されることになっているが、4月18日に予定されていたサッカー競技の組み合わせ抽選会も延期されてしまった。

■リーグ戦で低迷し、フランスカップの優勝から遠ざかっているサンテチエンヌ

 3月中旬以降、日常が失われてしまったが、今回からはフランスサッカーが最後に完全な形で終えたフランスカップの準決勝について取り上げたい。フランスカップについては準々決勝まで紹介し、ジュレンヌ、パリサンジェルマン、リヨン、サンテチエンヌの順に準々決勝を勝ち抜いた。4チームすべてが今季の欧州カップに出場したチームである。
 ただ、この4チームのうち、他の3チームと少々異なるのがサンテチエンヌである。昨年のフランスカップではレンヌが優勝、パリサンジェルマンが準優勝、そしてリヨンも準決勝に進出と実績を残している。しかしサンテチエンヌは昨年はベスト32どまりであった。フランスカップの歴史をさかのぼると昨年の優勝はレンヌ、その前年はパリサンジェルマンが制し、リヨンも2012年に優勝している。ところがサンテチエンヌは1977年に優勝したのを最後にフランスカップを掲げていない。今年のリーグ戦の順位も3月初めの段階でパリサンジェルマンが1位、レンヌが3位、リヨンが5位と上位にいるのに対し、サンテチエンヌは16位と低迷し、2部降格の危険性も小さくはない。ヨーロッパリーグでもグループリーグの第5節で敗退が決定、それ以降は国内リーグでも精彩を欠き、現在のリーグ順位となっている。そういうサンテチエンヌは今年のフランスカップで最も期待を集めているチームといえるであろう。

■12月以降好調なタイトルホルダーのレンヌ

 また、レンヌは昨年のフランスカップ優勝チームとしてヨーロッパリーグに出場したが、第4節で敗退が決定、ファンの期待を裏切った。前年のヨーロッパリーグでの活躍が目覚ましかっただけにファンの失望は大きかった。しかし、それからこの準決勝までは15勝2分6敗、リーグ戦に限定すると10勝2分4敗で順位を大きく上げてきた。

■今季のフランスサッカーの両横綱のパリサンジェルマンとリヨン

 残りの2チーム、パリサンジェルマンとリヨンについては改めて紹介するまでもないが、フランス勢では欧州カップの決勝トーナメントに残っているのはこの2チーム、そしてリーグカップのファイナリストとして残っているのもこの2チームである。国内リーグ戦こそ差が開いてしまったが、今年のフランスサッカーの両横綱であることに疑いの余地はない。
 準決勝の組み合わせ抽選は準々決勝最後の試合となったエピナル-サンテチエンヌ戦の前に行われた。ファンとしてはパリサンジェルマンとリヨンという両雄の対戦を見たい、というファンもいれば、ライバル対決となるリヨン-サンテチエンヌが実現するかとローヌ地方のファンは気がかりであろう。さらに昨年の決勝でレンヌに敗れたパリサンジェルマンのファンは雪辱を期しているであろう。そしてこれらのカードが準決勝で実現するのか、それとも決勝戦で見ることができるのか、ということも気になるところである。
 組み合わせ抽選の結果、準決勝は3月4日にリヨン-パリサンジェルマン戦、5日にサンテチエンヌ-レンヌ戦が行われることになったのである。(続く)

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