第2639回 フランスカップ準決勝(2) 4回目の対戦でようやくリヨンを下したパリサンジェルマン
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■4つのタイトルを戦うリヨンとパリサンジェルマンが準決勝で対戦
フランスカップの準決勝は3月4日にリヨン-パリサンジェルマン戦、5日にサンテチエンヌ-レンヌ戦というカードとなった。チャンピオンズリーグの決勝トーナメント、リーグカップの決勝に残り、クラブにとってすべてのタイトルを戦い続けているパリサンジェルマンとリヨンが準決勝で対戦するのももったいない感じがするが仕方がない。
会場はリヨンのグルーパマ競技場、リヨンはホームゲームでリーグ戦では大きく水をあけられているパリサンジェルマンに勝利し、タイトル争いで優位に立ちたいところである。
■カップ戦のスペシャリストをクラブ創立初期から感じさせたパリサンジェルマン
これまでフランスカップの歴史の中でリヨンとパリサンジェルマンが対戦したのは4回、5試合である。最初は1975-76シーズンのことである。この時はホームアンドアウエー方式で行われ、準々決勝で対戦した。1970年に創立したパリサンジェルマンはフランスカップでは最初の3年はベスト32決定戦で敗れていたが、4年目の1972-73シーズンは2部に所属しながら1部のナンシー、メッスを撃破し、準々決勝に進出する。2部で2位となり1部に復帰した1973-74シーズンは準々決勝でマルセイユと対戦、クラブ史上初めてのフランスカップでのライバル対決となったが、1勝1分で準決勝に進出する。1回戦制の準決勝ではRCランスに敗れるが、現在に続くカップ戦のスペシャリストの源流を感じさせた。そして1975-76シーズンは前年決勝への道を断ったRCランスをベスト16決定戦で下し、ベスト8決定戦では2部のセートを下して3年連続の準々決勝進出、ここでリヨンと対戦する。すでにフランスカップの優勝3回を誇るリヨンと対戦する。パリでの第1戦は1-1のドロー、3日後にリヨンで行われた第2戦はリヨンが2-0と勝利する。リヨンは決勝に進出するが、マルセイユに敗れる。
■全盛期のリヨンが低迷期のパリサンジェルマンを下した2008年の決勝
それから30年以上、両チームはフランスカップで顔を合わせず、2007-08シーズンの決勝で対戦した。この模様は本連載の第852回と第853回で取り上げたが、当時はリヨンの全盛期、方やパリサンジェルマンは2部降格をかろうじて逃れるというどん底のシーズンであった。リーグ最終戦で優勝を決めたリヨンがリーグ最終戦で1部残留を決めたパリサンジェルマン、両チームの戦いは拮抗し、無得点のまま延長戦に入る。延長前半の102分のシドニー・ゴブーの決勝点でリヨンが優勝を飾る。
■黄金時代突入前夜のパリサンジェルマンを下したリヨン
リヨンの黄金時代が去った2011-12シーズンには準々決勝で対戦する。パリサンジェルマンはこのシーズンは好調であり、特に後半戦は首位のモンペリエを猛追したが、最終的には2位になる。パルク・デ・プランスでの試合であったが、リヨンが3-1と勝利し、リヨンはこのシーズン3回目の対戦で初めて勝利、準決勝ではGFCOアジャクシオ、決勝でもクビリーといずれも3部リーグに所属するクラブを下して、優勝している。
■リヨンを初めてパリサンジェルマン、10回目の優勝を果たす
そして直近の対戦が2015-16シーズンである。2013年に19年ぶりのリーグ優勝を果たしたパリサンジェルマンはその後もリーグを制覇し続け、4連覇する。フランスカップも2014年に優勝、さらにリーグカップも2014年に優勝して3連覇とタイトルを独占している。このようにパリサンジェルマンが黄金時代を迎えた中で、ベスト8決定戦でリヨンと対戦した。これまで3回対戦し、一度も勝てなかったリヨンに対し、パリサンジェルマンは3-0と圧倒する。ズラタン・イブラヒモビッチが2ゴール、アドリアン・ラビオが1ゴール、3-0というスコアでパリサンジェルマンはフランスカップで4回目の対戦でようやくリヨンを下した。そして、パリサンジェルマンは準々決勝でサンテチエンヌ、準決勝でロリアン、決勝でマルセイユを破り、10回目の優勝を飾ったのである。
このように最初の対決からなかなかリヨンに勝利することができなかったパリサンジェルマンがようやく初勝利をあげ、今回の対戦につながるのである。(続く)