第2760回 大会形式、日程を大幅に変更して行われるフランスカップ
読者の皆様、あけましておめでとうございます。連載を開始して20回目の新年を迎えました。
本年もよろしくご愛読のほどお願いいたします。
■従来に近い日程で開催されるチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ
本連載の恒例として、年明けの開口一番は1部勢が参戦するフランスカップのベスト32決定戦であった。年末年始の休み明け、多くの1部勢にとってはアウエーゲームということで、ジャイアントキリングの多発する新春の風物詩である。しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で、スケジュールが変更された。今回は国内のスケジュールの変化について紹介しよう。
前回までの本連載ではパリサンジェルマン、マルセイユ、レンヌが出場したチャンピオンズリーグのグループリーグについて紹介してきた。新型コロナウイルスの感染拡大により、シーズンの開始は遅れたものの、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグは年内にグループリーグを終え、年明けから決勝トーナメントという通常のスケジュールを確保することができた。
■年の変わり目が転換点となっていた国内のスケジュール
一方、従来のスケジュール通りにならなかったのが、国内のリーグとカップ戦である。フランスは従来のフランスリーグ、フランスカップ、リーグカップという三大タイトル制であったが、リーグカップが終了し、フランスリーグとフランスアップという二大タイトルとなった。これまではリーグ戦は年内に前半戦、年明けから後半戦が開始、そしてフランスカップは年内に2部までのチームが参戦、年明けから1部勢が参戦した。そういう点で年の変わり目が転換点となっていた。
■延長戦の廃止、日程の延期、プロとアマチュアは別々のトーナメント
ところが、今年はリーグの開幕が8月下旬にずれ込み、12月に行われるのは第17節までで、前半戦の最終節となる第19節は1月9日に行われる。
さらに大きな変更があったのがフランスカップである。新型コロナウイルスの感染拡大によるスケジュールの過密化を防ぐために以下のような措置が取られた。
まず、2部勢の参戦は従来は7回戦からであった。これは2回勝ち抜いて越年する、すなわち1部勢の参戦するベスト32決定戦に臨むわけであったが、今年は8回戦からの参戦となった。ベスト32決定戦により多くの2部勢が勝ち残っていることが想定される。
次に延長戦の取り扱いである。これまでは90分間戦って同点の場合は延長戦が行われ、そしてPK戦であった。今季は準決勝までは延長戦が行われず、90分間戦って同点の場合はPK戦での決着となる。
そして、新型コロナウイルスの感染拡大の第三波の襲来によって、アマチュアレベルの試合では延期が相次ぎ、3つ目として日程が変更となった。従来は9回戦に相当するベスト32決定戦が年明け最初の試合であったが、8回戦とベスト32決定戦の延期が11月の中旬に決定し、結局、年明け最初の試合は6回戦となった。
12月になって、さらなる修正が加わった。それはベスト32を決定するまでにプロである1部、2部とそれ以外のアマチュアチームは別々のトーナメントを行うということである。チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの予備戦は強豪国のリーグ上位チームと中堅国のリーグ優勝チームにわけて行われているのと同じ方式である。フランスカップの場合はアマチュアチームの日程未消化の影響を受けたプロチームの過密日程を防ぐために導入され、ベスト32は1部、2部のプロチームには15、ナショナルリーグ以下のアマチュアチームには17のチケットが準備されている。フランスカップというタイトルの実施が困難であるという不安の中で、大会形式や日程を変更させて、大会実施を継続しているのである。
■海外県・海外領土からはベスト32決定戦進出チームが決定
ところで、フランス本土が感染拡大に悩む中で、海外県・海外領土では日程が消化され、2チームがベスト32決定戦に進出することが決まった。
12月20日には海外県・海外領土では予定通り8回戦が2試合行われた。マダガスカルの近くにあるマヨットとレユニオンのチームが対戦し、マヨットのムトサペレがレユニオンのJSサンピエロワーズをPK戦で下し、マヨットのチームとして初めてベスト32決定戦に進出した。また南米の仏領ギアナと中南米のグアドループのチームが対戦し、仏領ギアナのUSシナマリーもベスト32決定戦に臨むことになった。(この項、終わり)