第2793回 フランスカップベスト16決定戦(3) 優勝争いをする上位4チームは勝利

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■1部首位のリール、3位のリヨンも下位リーグのチームを下して16強入り

 前回の本連載ではフランスカップのベスト16決定戦で下位リーグのクラブに敗れた1部勢のマルセイユ、RCランス、ロリアンの3チームを紹介した。
 1部勢で下位のリーグのクラブの挑戦を受けたのは全部で8チームであり、リーグ戦で首位のリール、3位のリヨン、メッス、モンペリエ、アンジェは挑戦を退けてベスト16へと進出した。
 またこの時点で最下位のリーグから勝ち残っていた6部に相当する地域リーグ1部に所属するモンタニャルドは1つ上のリーグのナショナル3部リーグのソーミュールにPK戦で敗れ、また、海外県・海外領土のチームで残っていたマルティニークのフランシスケンも本土に渡ってアンジェと対戦して0-5と敗れている。

■2部から唯一16強入りしたトゥールーズ

 そしてこのところフランスカップでよい成績を残すことができない2部勢であるが、今年は1部と2部の差は1試合だけである。しかしながら、ベスト32に残ったプロ15チームのうち2部のチームは3チームに過ぎず、ソショー、トゥールーズ、バランシエンヌだけであった。ベスト16決定戦でトゥールーズはナショナル2部リーグのオーバーニュに勝利したが、ソショーは1部で3位のリヨンに2-5と敗れ、バランシエンヌも1部のメッスに0-4と大敗している。結局2部のチームの結果は番付通りとなり、ベスト16に残ったのは今季1部から降格してきたトゥールーズだけとなった。

■バルセロナ戦を控えたパリサンジェルマン、ブレストに勝利

 最後に紹介するのが、ベスト16決定戦における1部勢同士の対戦である。前々回の本連載で紹介した通り、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた組み合わせは32チームを4つのグループに分け、地理的要因を勘案するとともに、各グループには1部勢が3チームしか入らないようにした。したがって8チームを4つのカードに振り分ける際に3チームしかない1部勢同士が対戦する確率は低いはずであるが、1部勢対決が2カード行われることになった。
 まず3月6日に行われたのがブレスト-パリサンジェルマン戦である。パリサンジェルマンは、現在リーグ2位、チャンピオンズリーグでも決勝トーナメントに勝ち進み、スペインのバルセロナに第1戦で勝利しているこのフランスカップのベスト16決定戦の4日後にバルセロナとの第2戦を控えている。本来は楽な組み合わせを期待したいところであったが、1部勢とのアウエーゲームとなった。
 カップ戦のスペシャリストと言われているパリサンジェルマンの華々しい戦績はここで改めて紹介する必要もないが、実はカップ戦においてはタフな組み合わせ抽選をしばしば経験している。3年前も初戦となるベスト32決定戦ではレンヌとアウエーでの対戦となった。さらに続くベスト16決定戦でもギャンガンと対戦、最初の2試合が1部勢であり、これらを退け、最終的には優勝したが、6試合のうち4試合は1部勢相手であった。
 今年の相手のブレストは13位、直近のリーグ戦では好調であるが、パリサンジェルマンには35年間勝っていない。パリサンジェルマンは9分にキリアン・ムバッペの先制ゴール、前半終了間際の44分にはパブロ・サラビアが追加点で折り返す。後半はバルセロナ戦を控えていることもあってメンバーを交代させながらもムバッペがゴールを決め、3-0で1部勢対決を制した。

■地中海の戦いはリーグ4位のモナコがニースを破る

 そして3月8日、ベスト16最後の座を争うカードが、リーグ11位のニースが4位のモナコを迎えるという地中海沿岸のライバルの対戦となった。モナコはニースでは過去10戦で6勝4敗と勝ち越している。29分にニースのペナルティエリア内でボールを奪ってモナコのケビン・フォランドが先制点をあげる。終了間際の87分にもモナコはルーベン・アギラーが追加点を入れ、2-0と勝利する。
 リーグ戦で首位争いをする1位から4位までのチームはベスト16入りしたのである。(この項、終わり)

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